ASEAN JAPAN CENTRE 日本アセアンセンター

事業報告

FTA(自由貿易協定)の活用による貿易機会の促進:タイと日本の中小企業を支援

国際機関日本アセアンセンター(AJC)は、2024年3月5日にタイ・バンコクにてタイ商務省貿易交渉局(DTN, MOC)、日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所との共催で、セミナー「日タイ 中小企業のためのFTA活用によるさらなる貿易促進に向けて」を開催いたしました。

AJCは、中小企業のFTA利用推進により日本とタイを含むASEAN間の貿易を促進することにコミットします。

AJCは、中小企業の貿易促進を目的としてFTAの利用促進を図るため、各種情報調査を基に、政府支援機関(今回のセミナーではタイ商業省貿易交渉局及び日本貿易振興機構バンコク事務所)、商工会議所等との連携によりFTA利活用促進セミナーを実施しています。AJCは、今後もセミナーのフォローアップを通じて中小企業のFTA利活用が促進されるよう努力いたします。

日本とタイの間には利用できるFTAが3つ存在し、タイから日本への輸出におけるFTA利用率は93.7%と高い利用水準にある。(タイ商業省貿易促進局:DTN, MOC)

現在、タイと日本の間には、ASEAN日本包括的経済連携(AJCEP)協定、日タイ経済連携協定(JTEPA)、地域的包括的経済連携(RCEP)協定の3つの二国間および多国間FTAがあり、また、タイと日本の貿易関係は長年にわたりしっかりと築かれております。しかし、日本からタイへの輸出におけるFTA利用率は54.8%と低く、まだ改善の余地があります。

タイにおける日系企業は、FTA拡大に向けたタイ政府の政策に対して高い期待を寄せています。(ジェトロ・バンコク事務所)

タイには約6,000社の日系企業があり、そのうちの70%が輸出に従事していると言われています。アメリカと中国の緊張が高まり、タイやベトナムへのサプライチェーンの移行が進行中であることを考慮すると、FTAの有無は、東南アジアでの生産拠点の設立や拡大を検討する際に重要な要因となります。

原産地規則の緩和によりRCEP がツナ缶やツナの加工品の輸出によく利用されています。(ITI吉岡シニアエコノミスト)

タイと日本の間のFTAの関税率を比較すると、JTEPAは1.7%、AJCEPは1.9%で、RCEPは最も高い2.7%ですが、原産地規則が緩いために特定の品目で利用されています。繊維製品についても、非原産地材料で作られた製品が輸出される場合に同様の条件が適用されるため、RCEPの利用が多いです。

FTAを利用する実際の効果は、FTAを通じて輸入される国での製品の価格競争力に現れます。(元大阪商工会議所 麻野氏)

FTAを利用することで、生産者や輸出業者は関税の削減や撤廃の恩恵を受けることができ、輸入業者のコスト負担は大幅に軽減されます。FTAを利用する実際の効果は、輸入国の製品の価格競争力に現れると言えます。

今後の展望

FTAを活用することで、関税の削減と撤廃の恩恵として生産者や輸出業者は、製品の価格競争力を向上させ、さらなる販売拡大による利点を享受できます。現在、タイ政府はFTAの範囲を広げるために積極的な姿勢を示しています。戦略的な対応は、特に国際競争に直面する中小企業にとって重要です。AJCは、セミナーのフォローアップを通じて企業のFTA利用を促進するためにさまざまな問題解決の取り組みを続けていきます。

イベントについて

日タイ中小企業のためのFTA(自由貿易協定)利活用によるさらなる貿易促進に向けて
日 時:2024年3月5日(火)
主 催:国際機関日本アセアンセンター
共 催:タイ商業省貿易交渉局・日本貿易振興機構バンコク事務所
後 援:日本 経済産業省
会 場:イースティングランドホテル パヤタイ サイアムホール
会場参加者数:120名以上(オンライン視聴者45名を含む)

登壇者(敬称略):
ナピトーン・スリサパナン タイ商業省副大臣
黒田 淳一郎 ジェトロ・バンコク事務所長
大東 道郎 経済産業省通商政策局通商交渉官(ビデオ出演)
吉岡 武臣 一般財団法人国際貿易投資研究所主任研究員
麻野 良二 元大阪商工会議所証明センター所長
ハナン・ウィシパサラノン タイ商業省外国貿易部
スワディ・ニョムタイ タイ商業省貿易部
北見 創 ジェトロ・バンコク事

ビデオ録画のダウンロードと視聴が可能。
日本語:AJC_FTA Seminar in Thailand_JPN.mp4  
タイ語: AJC_FTA Seminar in Thailand_TH.mp4
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