ASEAN JAPAN CENTRE 日本アセアンセンター

The people of ASEAN-Japan

日本の若者に、ASEAN諸国の暮らしや文化を伝えたい【エージョ・コスコルエラさん】

フィリピン出身のエージョ・コスコルエラさんは、ASEANユース機構日本支部のマネージングディレクターを務めた経験があり、2023年3月まで、東京の中高一貫校で英語教師として働いていました。エージョさんが一貫して、教育とASEAN諸国の相互理解にこだわってきた理由とは?(本インタビューはエージョさんが現役教師だった時に実施しました。)

「教育」とアジア諸国の「文化継承」
これが私のライフワークです

― ASEANユース機構日本支部のマネージングディレクターとして、どのような活動をされていたのですか?

ASEANユース機構自体は2013年に設立されましたが、日本支部が始動したのは2021年でした。その年は試験運用的に3つのプロジェクトを実施しました。中でも、最後に行った「パンデミック下でのフードサステナビリティ」をテーマにしたウェビナーは、最も規模が大きく、約100人の参加があり、盛況でした。

このセミナーでは、日本で環境問題や社会問題に取り組んでいるNPOの女性、フィリピンでフード・レスキューを行っている団体の創設者、東南アジアにおける農村開発の研究者、タイで農業体験プログラムを運営している女性といった多様な登壇者を招き、ASEANにおける持続可能な食料問題について考える場になりました。

― 日本で英語教師になろうと思った理由は何ですか?

私はもともと教育やアジアの文化・歴史に関心があり、修士課程では「持続可能な文化遺産」を研究テーマにしていました。また、フィリピンの大学で基礎日本語を教えたこともありますし、韓国で韓国人学生に英語で韓国の文化や歴史ついて教えるといった、おもしろい経験もあります(笑)。

日本のJETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)で、日本の子どもたちが国際的視野を広げ、異文化理解を深めるための外国人教師を募集していると知ったとき、私のこれまでのキャリアを活かせる最良の選択だ!と思ったのです。

中学校での授業風景。「生徒がリラックスして英語を話せるように心がけています」

連想するのはビーチとバナナだけ!?
東南アジアの国々を深く知ってほしい

― 日本の中高生への印象を教えてください。

日本の学生は、恥ずかしがって英語を話すことに消極的ですね。それは、英語教師として、とても苦労する点です。また、日本に来て気づいたことは、日本人は欧米の大国のことはよく知っているのに、日本に近いアジアの国については、あまり知らないということです。

ASEANについて調べる授業を始めたとき、生徒たちが「東南アジア」と聞いて思い浮かべるのは、ビーチとバナナくらいでした。

欧米にばかり目を向けるのではなく、世界全体に視野を広げて、身近なASEANの人々や文化にも、もっと関心を持ってもらいたいです。多様な文化に対して、もっと敏感になってほしいですね。

― 学校ではどのような授業を行っているのですか?

私が担当しているのは、プロジェクトをベースにした英語の授業です。学んだ英語を活用してプロジェクトに落とし込むのですが、例えば、模擬国連を実施したりしています。

中1の授業では、ASEANについて調べ、それを英語で発表するプロジェクトを行いました。生徒たちは、自分たちのチームで選んだ国について調べ、ジオラマやプレゼンテーションボードを作成。そして、展示発表会を開催し、来場者に英語で解説します。その活動を通して、生徒たちは英語の読む・書く・聴く・話す力を自然に身につけることができます。

中学校の生徒が作成したジオラマやプレゼンテーションボード

― プロジェクトの過程で、学生たちに変化はありましたか?

ASEANの国々に「行ってみたい」「見てみたい」という声が増えました。

カンボジアについて調べていたグループの1人は、カンボジア料理を知るために、実際に都内のカンボジアレストランに行き、カレーやデザートを食べてきたそうです。その体験をプレゼンテーションに活かしているのを見て、とてもうれしく感じました。

また、教育の普及活動などを行っているカンボジアのNGOに寄付をするプロジェクトでは、「NGOの人たちとZOOMで交流するための予備知識を得るために、カンボジア人留学生と話したい」という要望が、生徒たちから出ました。そこで、日本アセアンセンターに協力してもらい、ASEAN諸国出身の留学生やスタッフの方々に話を聞くオンライン授業を行ったりもしました。

日本アセアンセンターサイト内のアニメーション『ここにもそこにもASEAN』も、中学校の授業で活用。

日本の学生たちと共有した時間は財産
この経験を、次の活動につなげたい

― エージョさんの今後の展望を聞かせてください。

学校で生徒たちが作成したコンテンツを見ると、彼らがASEANの国々に強い関心を持って取り組んでくれたことがわかります。自分の働きかけが実を結んだ経験は、私の財産です。生徒たちからもらったたくさんの財産を糧に、新しいステージで、世界に大きなインパクトを与えるような活動をしていきたいと思っています。

エージョ・コスコルエラさん

フィリピンの都市バギオ出身。学生時代、交換留学で日本の長崎県で1年間過ごす。大学でマスコミュニケーションの学士号を取得後、韓国の西江大学で国際関係の修士号を取得。韓国のASEANユース ネットワークの副会長(2018-2019年)及び、ASEANユース機構日本支部のマネージング ディレクター(2021年)を務め、若者向けスキルと能力開発プロジェクトに取り組む。また、JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)のもと、2019年から東京の私立中高一貫校に派遣され、国際教育の英語教師として働いている。

取材・文/栗本和佳子 撮影/猪飼ひより 写真提供(授業風景)/エージョ・コスコルエラ

登録されているカテゴリー
Youth development Education
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