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The people of ASEAN-Japan

日ASEAN友好協力50周年ロゴデザイン・コンテスト受賞【田邊真也さん】

2022/10/31

Art

2023年「日本ASEAN友好協力50周年」の公式ロゴマークには、日本出身の田邊真也(たなべまさや)さんの作品が採用されました。本作品は、日本とASEAN加盟国で一般公募され集まった393点の作品の中から、インドネシアのジャカルタに所在するASEAN日本政府代表部とASEAN諸国の常駐代表部による審査の結果、選ばれました。

グラフィックデザイナーとしてお仕事をされている田邊さんから「日本ASEAN友好協力50周年ロゴマーク・キャッチフレーズコンテスト」に応募されたきっかけや、作品の構想から完成までの裏話などを伺いました。これまでASEAN諸国との接点はあまりなかった、とおっしゃっていた田邊さんですが、マレーシアやインドネシアのリゾート地への旅行や、ミャンマーやベトナム関連の仕事にデザイナーとして関わった経験、そして大好きな東南アジア料理のことまで、話題は尽きませんでした。

採用ロゴ

未来永劫に絆が続くようにと
稲穂に思いを込めて

―本作品は、日本とASEAN加盟国で一般公募され集まった393点の作品の中から、インドネシアのジャカルタに所在するASEAN日本政府代表部とASEAN諸国の常駐代表部による審査の結果、選ばれました。

実は家族旅行中に、最終選考に残っているとの連絡を受けました。驚きつつも、温泉につかりながら「まだ最終選考に残っているだけだから浮かれてはいけない」と考えていました。

その後、最終的にロゴが採用されたという受賞の連絡を受けて、とても嬉しく、喜びをかみしめました。試行錯誤して制作したロゴが認められ、デザイナー冥利に尽きます。デザイナー仲間からも「すごい!」と褒められ、鼻高々でした。

―応募するにあたり、どのような思いでデザインを考えましたか?

今回のロゴは国際的に使用されるロゴということで、挑戦し甲斐のあるコンテストだなと思い応募を決意しました。デザイナーとしては、まずは奇想天外で誰も思いつかないようなデザインを目指してしまいがちです。しかし今回は、日本アセアンセンターのWEBサイトなどでASEAN諸国と日本の間で、言語、生活、文化、宗教、色々な違いのある人たちが思いをひとつにして活動されていることを知り、そのように多様な人たちが一緒に使えるロゴを作ろうと考えました。そして同時に、あまり複雑に考えるのではなく、シンプルで意味が伝わりやすいロゴが良いだろうと思いました。

―どのようにアイデアを膨らませていったのでしょうか。

デザインには、ASEANのエンブレムにある10本の稲穂をなんらかの形で取り入れたいと考えていました。日本とASEANの将来に思いを馳せ、日ASEAN関係がより深く、強く、未来永劫続いていくものにしたいと思い、稲穂をメビウスの輪にしました。中央の赤丸は日本国旗の日の丸で、日本とASEANを包み込む海を波で表しました。また、日本の役割を強調するために和のテイストも少し加えたいと思い、波を浮世絵風のデザインにしました。

色は、日本の国旗とASEAN旗に使われているものから選択したいと最初から決めていました。日本の赤、ASEANの稲穂の黄金色と濃いめのブルーを使いました。

さまざまな文化を受け入れ
多様性に富むASEANの国々に感動

―これまでASEAN諸国との関わりはありましたか?

観光でマレーシアのクアラルンプールやランカウイ島、インドネシアのバリ島に行ったことが何度かあります。仕事関係では、知り合いにASEAN方面で事業をおこしたいという方がいて、デザインの仕事でお手伝いをしたことや、ミャンマーやベトナムを活動対象とする日本のNPOのロゴ制作や活動のお手伝いをさせて頂いたこともありました。

田邊さんの仕事場風景。ここからさまざまな作品が生まれる。

―訪れた国々の印象はいかがでしたでしょうか?

クアラルンプールやランカウイ、バリを訪問した際の印象ですが、現地の人々の日本人に対する親しみを感じました。私の片言の英語でもコミュニケーションが取りやすく、すぐに仲良くなれた人も多くいました。また、他国の文化を受け入れるのが上手な印象を受けました。例えば、バリ島のホテルのデザインは伝統的なものもあれば、洗練されたヨーロッパ調のものもあり、レストランも多国籍でした。

マレーシアの首都クアラルンプールを訪れたときは、人々や文化の多様性に驚きました。リトルインディアがあったり、チャイナタウンがあったり。また食事も多様で、あれほど色濃く色々な文化が入り混じった首都を見たことがなかったので、感動しました。色んな文化を受け入れ発展していくという面では、日本はASEANから学ばなくてはいけないことが多いと思いました。旅先で友達になった方々とは、今でもFacebookでつながっています。

お互いに理解し認め合うことが
発展につながる

―田邊さんが考える、日本ASEAN友好とは?

日本は高齢化社会の問題を抱えており、それと同時に昨今では多くのASEAN諸国の若い方々が勉強や仕事を求め来日されています。その反面、日本人のASEAN諸国の人々や文化に対する知識や理解はまだまだ浅い印象です。お互いが仲良くなる第一歩として、日本人ももっとASEAN諸国の方々の文化や生活、宗教などを知ること、理解すること、認め合うことが大事だと思います。その中で、経済や文化の交流がもっと発展していけばいいなと思います。今はASEAN諸国出身の方が働く姿を街中でたくさん見かけるようになりました。私も今後、日本に暮らし働くASEAN諸国の方々の手助けになるようなことができたらと思います。

田邊真也さん

1997年よりグラフィックデザイン制作個人事務所、TDO 田辺デザイン事務所にて、省庁、国立大学・病院、その他多種多様な企業や店舗、個人から、ロゴ・ポスター・冊子・チラシ等のグラフィックデザイン全般やイラストレーションの制作を受託。

取材・文/日本アセアンセンター 写真提供(現地写真)/田邊真也

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