主な要点
- 力強い経済の勢いと高い成長への野心:ベトナムは、驚異的な経済成長を遂げた2025年を経て2026年を迎えました。2025年のGDP成長率は8.02%に達し、当初の世界予測を大幅に上回っています。過去最高となる9,300億5,000万ドルの貿易額と10年連続の貿易黒字に後押しされ、ハノイ(ベトナム政府)はさらなる未来を見据えています。現在のベトナムの青写真では、2030年までにASEANにおける上位3大工業国の一角を占めることを目指しており、長期目標として2045年までの高所得国(先進国)入りを掲げています。
- 礎石となる戦略的パートナーとしての日本:日本は、ベトナムの海外直接投資(FDI)において引き続き主要な原動力であり、5,700件以上のプロジェクトに対して総額約800億ドルに上る投資実績を誇ります。投資家の信頼感は非常に高く、すでにベトナムに進出している日本企業の56.9%が今後1〜2年以内の事業拡大を計画しており、これはASEAN地域全体で最も高い拡大意欲です。この勢いは、両国間で結ばれた「包括的戦略的パートナーシップ」に大きく支えられています。
- 半導体・AI・テック分野への戦略的転換:ベトナムは、労働集約型の製造業から、高付加価値な技術主導型経済への転換を積極的に進めています。主なハイライトは以下の通りです。
- 半導体: グローバルなマイクロチップのハブとなるため、「C = SET + 1」フォーミュラ(Chips:半導体、Specialized:専門化、Electronics:電子機器、Talent:人材 + 1つの安全な投資先)を展開しており、2030年までに5万人のエンジニアを育成するという意欲的な目標を掲げています。
- 人工知能(AI): 人工知能法(2025年)の成立に続き、ベトナムは国内のイノベーションを促進するため、規制の「サンドボックス(実証実験環境)」の設置や、国家AI基金の創設を進めています。
- フンイェン省へのスポットライト:日本資本のゲートウェイ:北部の経済三角地帯(ハノイ — ハイフォン — クアンニン)内に戦略的に位置するフンイェン省は、日本の製造業における主要なハブとして紹介されました。日本が開発を主導し大成功を収めている「タンロン工業団地」を擁する同省は、電子機器や自動車部品などの大規模プロジェクトを惹きつけ続けています。今後、フンイェン省はクリーンエネルギー(洋上風力やLNG)やスマートシティインフラを統合し、「グリーン移行」を最優先事項として推進していきます。
- 日本の中小企業(SME)に向けた細やかな支援と強力なインセンティブ:より幅広い層の日本の中小企業を誘致するため、ベトナムは各省に専門の「ジャパン・デスク」を設置し、言語や行政上の障壁の排除に取り組んでいます。極めて重要な点として、ベトナム政府は行政手続き(レッドテープ)の30%削減を確約しているほか、以下のような極めて競争力の高い優遇税制・財政インセンティブを提供しています。
- 法人所得税(CIT): 最低10%〜17%への引き下げ
- 土地レンタル料の免除: 優先投資地域において最長15〜17年間免除
- 輸入税の免除: 国内で未生産の機械、設備、および原材料が対象
ベトナム-日本投資・貿易協力会議
国際機関日本アセアンセンターは、ベトナム商工省貿易振興局(VIETRADE)、日本貿易振興機構(JETRO)、および駐日ベトナム大使館商務部との共催により、2026年7月2日に「ベトナムー日本投資・貿易協力会議2026」を開催いたしました。
本会議には、両国の政府高官、工業団地開発事業者、日本企業の代表者が一堂に会し、経済回廊の拡大、サプライチェーンの強靭化、そして新たな二国間事業の創出について模索しました。セミナーの核心として、ベトナムのマクロ経済の急成長、ハイテク産業への構造転換、起業に役立つ具体的な投資インセンティブに焦点が当てられ、地域の主要な専門家から以下のような知見が共有されました。
- 平林国彦氏(国際機関日本アセアンセンター事務総長)は開会挨拶に登壇し、日本とフンイェン省との間の400年にわたる歴史的な交易関係に光を当て、本会議がその深い結びつきを継承するものであると強調しました。また、日本企業がビジネスパートナーを選定する際、短期的な利益よりも長期的な信頼や人間関係を最優先している点に言及しました。
- レ・ホアン・タイ氏(VIETRADE副局長)は歓迎の挨拶を述べ、日本がベトナム国内で790億ドルを超える5,700以上の現行プロジェクトを抱えている実績を挙げ、二国間パートナーシップの強固さを強調しました。さらに、住友商事やパナソニックなどの大手日本企業に選ばれている成功モデルとして、フンイェン省のタンロン工業団地を具体例として挙げました。
- タ・ドゥック・ミン氏(駐日ベトナム大使館商務参事官)は、2025年にGDP成長率8.02%、貿易額9,300億ドルを記録し、ベトナムが上位中所得国のグループに正式に参入したことを報告しました。また、AIや半導体などのハイテク分野をターゲットとした「新世代FDI」への戦略的転換について詳述し、行政手続きの30%削減や、現地でのサポートを提供する「ジャパン・デスク」の設置による障壁緩和を約束しました。
*プレゼンテーション資料はこちら:リンク
- 安永豊氏(日本貿易振興機構[JETRO本部]調査部アジア大洋州課長)はデータに基づく分析を示し、製造業が依然として極めて重要である一方で、2023年に1億人を突破した同国の人口の購買力向上に伴い、小売やサービスをはじめとするベトナム国内市場への日本企業の投資額が急増している点に注目しました。 同時に、拡大を計画している56.9%の日本企業の高い関心を維持するためには、ベトナム北部における労働力不足への対応や、行政手続きの透明性向上が今後の課題であると指摘しました。*プレゼンテーション資料はこちら:リンク
- ブー・タイン・バン氏(フンイェン省商工局長)は、北部の経済三角地帯(ハノイ — ハイフォン — クアンニン)における同省の戦略的な立地条件をアピールし、これまでに総額175億ドルに達する約1,000件のFDIプロジェクトを受け入れてきた実績を紹介しました。同省は「ビジネスの伴走者(ビジネス・コンパニオン)」としての哲学を約束し、インフラの整備、治安の維持、高品質な人材の供給を通じて、同省の4大経済柱(ハイテク産業、クリーン農業、エネルギー、スマート都市観光)を支えていく方針を示しました。*プレゼンテーション資料はこちら:リンク

本会議は、ベトナムと日本の企業、地方自治体、および工業団地関係者による、午後の専用ビジネスマッチングセッションを以て閉幕いたしました。各組織ごとに個別の商談テーブルが設けられたこのセッションは、参加者がメールでのやり取りを省き、直接的なビジネス関係を構築し、リアルタイムで具体的な商談を行うための極めて有意義なプラットフォームとなりました。
今後に向けて
グローバルサプライチェーンの再編が続くなか、国際機関日本アセアンセンターは、ASEAN加盟国全体における企業成長と産業連携の支援に引き続き取り組んでまいります。知識の共有や戦略的なネットワーキングを通じて参入障壁を低減することにより、本会議はベトナムと日本の間の経済関係を強化し、持続可能な貿易パートナーシップを育成するための新たな一歩となりました。
