日本アセアンセンターは、2026年3月23日から25日にかけて「カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム地方自治体 リバースピッチ能力強化ワークショップ 」を開催しました。
本ワークショップでは、CLMV諸国から13名の上級スマートシティ担当官が東京に集結しました。最初の2日間は事例共有セッションとリバースピッチに関する講義が対面で行われ、最終日には日本のスタートアップ企業との模擬リバースピッチおよびネットワーキングイベントで締めくくられました。
背景と目的
大企業がソリューションをクラウドソースするために活用するオープンイノベーションは、近年、世界のビジネスコミュニティにおいて注目を集めている課題解決手法のひとつです。これは、企業が直面している課題を共有し、それを解決し得る革新的な製品やソリューションを持つスタートアップ企業との協業を模索する手法です。
現在、オープンイノベーションは政府や自治体が創造的な解決策を見出すための手段としても活用されつつあります。シンガポールの「Open Innovation Network」や日本の「チャレンジ長野」は、各政府・自治体がスタートアップのエコシステムを活用し、課題解決や国民の生活の質向上に取り組んでいる好例です。
本ワークショップを通じて、当センターは、地域のコミュニティや直面する課題を熟知している地方自治体に対し「リバースピッチ」の概念を普及させることを目指して開催されました。これにより、各自治体が国際的なオープンイノベーション・プラットフォームを通じて、実証実験に向けた革新的なソリューションを探索できるよう支援しました。
活動内容

イベントの冒頭では、国土交通省の佐藤奈美氏(建設産業国際展開推進室長)から参加者への歓迎の辞が述べられ、ASEANスマートシティ・ネットワークに対する日本の継続的なコミットメントが再確認されました 。
続いて、エンタープライズ・シンガポールの元リージョナル・グループ・ディレクターであるファビアン・タン氏がオンラインで登壇し、事例共有を行いました 。「チャレンジ長野」を通じ、小規模ながら人気の観光地である白馬村が、シンガポールのテック系スタートアップおよび日本の物流企業と協働して公共交通インフラの課題を解決した事例を紹介しました 。
概念の理解を深めた後、参加者は名古屋商科大学大学院のゴイ・ホーチン教授による3日間のワークショップに参加しました。

デザイン思考に基づき、ゴイ教授は通常ビジネス向けに行っている講義を行政官向けにカスタマイズして提供しました。行政としてどのように課題を特定し、それをビジネスフレンドリーな言葉で表現し、拡張性のあるソリューションを見極めるべきかについて解説しました。

さらにワークショップ内では、日本のアグリテック・スタートアップ創業者であるデニス・パストリー・ルバンガ博士も招かれ、スタートアップ側が政府や自治体と協働する際に何を求めているかについて視点が共有されました。
主なポイント
- オープンイノベーションは、政府や自治体が地域課題を解決する手法としては未だ十分に活用されていません。
- グローバルなオープンイノベーション・プラットフォームに参加することで、政府や自治体は地域のエコシステム内だけでは得られない技術的なソリューションにアクセスすることが可能となります 。
- スマートシティは革新的なソリューションのテストベッドとして適しており、従来の手法をリープフロッグ、より効率的かつ持続可能な成果を達成することが期待できます。
今後に向けて
2026年度も日本アセアンセンターは、地域のインフラを継続的に改善するための手法として、オープンイノベーション・プラットフォームおよびリバースピッチの活用をさらに推進する方法を探求していきます。この取り組みを通じて、より多くのASEANおよび日本の地方自治体を広範なテック系スタートアップのエコシステムと結びつけ、革新的なソリューションを通じた地域社会の発展に貢献することを目指します。