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概要

事務総長からのメッセージ

「この世で一番大事なことは、自分が「どこ」にいるかということではなく、「どの方角に」向かっているか、ということである。」

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、多くの人々の命を奪い、教育や就業の機会を激減させ、社会、経済、貿易、観光といった分野に大きな影響を与えています。気候変動問題は、さらに大きなインパクトを世界中に与えることが予想されています。このような破壊的な事態に陥る時、私たちは、無力であると考えがちです。しかし、このような時こそ、私たちの持っている最も重要な力 人々の多様性を互いに尊重し、地域・国境を越えて結びつき、結束する を発揮する必要があります。

私は、40年近い自分の専門家人生の大半を、ASEANを中心としたアジア・太平洋地域で過ごしてきました。そして、各国の為政者や、医師、看護師、教師、社会事業家、経営者、若いオピニオンリーダー、難民・避難民など様々な困難な中にある人、障がいとともに生きる人など、多くの人々の意見に耳を傾けながら、現場で地域の人々とともに働いてきました。そこから学んだことは、ASEAN諸国の地政学的な重要性、そしていかにASEAN諸国が目指す互いの多様性を尊重しながらASEANとして結束する姿勢や、その平和・安全・安定と、持続可能な開発、環境の保全と生物多様性の維持が、世界と日本の繁栄と安定にとっても、大きな意味を持っている、ということです。

日本アセアンセンターは、今年で設立40周年を迎えました。この間、センターは日本とASEAN諸国間との貿易・投資・観光・人物交流の促進を主な活動の柱とし、そして条約に基づいて設置された国際機関としての信頼性と継続性を強みに、日本とASEAN諸国との連帯醸成に長年貢献してきました。しかし、日本、ASEAN地域や世界の環境は大きく変動し、デジタル変革など社会の利便性が向上する一方で、偏狭な利己主義も顕在化しています。このような時代の転換期に、私たちも、これまでにない発想で、自らの視野を広げ、得られる成果をより大きな波紋にしていくために工夫をこらし、組織・地域・国境を越えて結びつきをさらに強化していくことが強く求められています。

私たち日本アセアンセンターは、40年以上ASEAN諸国と日本の懸け橋となってきた歴史と、ASEAN諸国が日本にとって重要であると理解している多様な専門家集団を抱えています。そしてなにより、心の底から日ASEAN諸国の関係の発展・深化を願っています。私は、この信頼できる仲間たちとともに、日ASEANの新しい時代にも適合する「心と心のパートナー」としての関係を、双方の将来の子どもたちのためにも、より強化・発展させる役割を担えるよう、誠心誠意努力します。

Oliver Wendell Holmes

2021年9月

事務総長
平林国彦