ASEAN JAPAN CENTRE 日本アセアンセンター

事業報告

日ASEAN AI協力:政策・人材・産業連携への示唆  

ウェビナー録画: https://youtu.be/5lm5InQ6kcw 

2026年3月4日、日本アセアンセンターは、ASEAN-Japan Insights Seriesの一環として、ウェビナー「日ASEAN AI協力:政策・人材・産業連携への示唆」を開催しました。本イベントでは、学術界、産業界、地域機関の専門家が参加し、ASEAN加盟国(AMS)と日本において信頼性が高く包摂的なAIエコシステムを構築するための、AIガバナンスの強化、人材育成、産業連携の促進に向けた実践的な方策について議論しました。 

概要

本ウェビナーでは、急速に拡大する地域のデジタル経済の中で、ASEANと日本が人工知能分野における協力をどのように深化させているかが紹介されました。特に、ASEANにおい主要な地域的取り組みである ASEAN  デジタル経済枠組み協定(DEFA) 「ASEAN AIガバナンスおよび倫理ガイド(ASEAN Guide on AI Governance and Ethics)」 は、地域全体で相互運用可能で信頼性の高いAIシステムの発展を形づくる重要な枠組みとなっています。 

登壇者からは、スタートアップ、政策立案者、地域機関の連携が、政策枠組みを実際のイノベーションへと結び付ける上で不可欠であるとの指摘がありました。同時に、AI導入に関する準備状況の差、データガバナンス枠組みの違い、各国の社会・制度的背景の相違に対応することが、ASEAN加盟10か国と日本において包摂的かつ効果的なAIエコシステムを構築するための重要な課題であると強調されました。 

各登壇者は以下のテーマで発表を行いました: 

  • マーク・ブライアン・マナンタン氏(2025年AJYEFリサーチフェロー)は、ローカライズされたAIモデルの開発に向けた双方向・多分野の交流や、スマート製造、フィンテック、グリーンテクノロジー分野における日本のAI活用の拡大を通じて、ASEANと日本がAI協力を強化できる可能性について議論しました。また、規制の断片化のばらつきや地域競争の激化といった課題への対応の重要性についても指摘しました。 
    発表資料リンク:リンク 
  • ハズレミ・ハミド氏(ASEAN事務局 デジタル経済部 上級担当官)は、DEFAがASEAN加盟国間でのデジタルサービスの相互運用性の実現を目指していることを強調しました。また、日本などの地域パートナーと連携する能力を強化し、地域における包摂的な技術革新を促進する重要性についても述べました。 
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  • 足立幸 太郎 氏(TechShake 共同創業者・CEO)は、スタートアップ連携やイノベーション拠点を通じて、日本の技術と資本を東南アジアの人材や市場と結び付けるASEAN–日本AI共創モデルを紹介しました。また、ASEAN市場を理解するための地域の文脈に即した視点の重要性や、事業拡大のために現地企業とのパートナーシップが不可欠であることを強調しました。 
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登壇者の発表で示された主なポイント 

  1. 技術協力へのシフト:ASEANと日本は、従来の経済関係を超え、デジタル経済やAIを含む先端技術分野におけるより深い協力へとパートナーシップを拡大しています。DEFAの実施は、国境を越えたサービスの相互運用性を形づくる可能性がありますが、規制は依然として国ごとにばらつきが残る可能性があります。 
  1. AIガバナンスと標準の強化:「ASEAN AIガバナンスおよび倫理ガイド(ASEAN Guide on AI Governance and Ethics)」や計画中の「ASEAN AI Safety Network」などの地域枠組みは、信頼できるAIの推進とともに、広島AIプロセスなどの国際的な取り組みとの整合性強化を目指しています。 
  1. パートナーシップによる共創:スタートアップ、産業界、政策関係者の連携により、日本の技術と資本を東南アジアの人材や市場と結び付け、地域課題に対応する実践的なAIソリューションの創出が進められています。 

パネルディスカッション(司会:調査・政策アドボカシーチーム プログラム・マネージャー  カトリーナ・ナバロ)での主な論点 

  • 調和よりも相互運用性(Interoperability) 
    DEFAなどの取り組みでは、完全な規制の統一ではなく、ASEAN加盟国と日本の多様な国内制度が相互に連携できる相互運用可能な規制アプローチの重要性が強調されています。 
  • 地域の文脈とパートナーシップの重要性 
    AIの導入を成功させるためには、強力な現地パートナーとの連携、人材交流、そして各国の市場や地域社会に対する深い理解が不可欠です。 

AIガバナンスと能力構築の強化 
計画中のASEAN AI Safety Networkなどの地域的取り組みは、ガバナンス枠組みの強化、対応力格差の縮小、そして責任あるAI開発の促進を目的としており、日本との協力を通じてこれらを推進することが期待されています。 

日ASEAN AI協力の今後 

議論では、日本とASEANのAI協力が地域全体のデジタルトランスフォーメーションとともに進展していることが強調されました。DEFAや計画中のASEAN AI Safety Networkといった取り組みは、ASEAN加盟国と日本の間でデジタルガバナンスと地域統合を強化する継続的な努力を示しています。 

また、人材の流動性、スタートアップ間の連携、そして各地域の実情に根ざしたイノベーションが、ASEANの多様な市場においてAI技術の開発と活用の在り方を形づくる上で、ますます重要な役割を果たしていることも指摘されました。 

ASEAN-Japan Insights シリーズとは?   

ASEAN-Japan Insights シリーズは、先進的で社会の関心の高い日ASEANの情報を共有するプラットフォームであることを目指しています。これは日英同時通訳によるウェビナーシリーズとして、日本と ASEANで関心が高いトピックを定期的に取り上げ、域内の産業、学界、政府、企業間での情報共有と知識共有を促進するものです。    

日ASEANヤング・エキスパート・フェローシップ・プログラムとは?  

日ASEANヤング・エキスパート・フェローシップ(AJYEF)プログラムは、日本とASEAN 関係における将来の専門家を育成するためにAJCが立ち上げた先駆的な取り組みです。フェローたちは、研究活動、専門的な成長機会、政策対話への参加を通じ、地域協力、新たな経済機会、共通課題に関する新たな視点を提供します。  

本ウェビナーは、2025年度AJYEFフェローによる研究および政策アウトリーチ活動の一環として開催されます。 

今後のウェビナーに関するお問い合わせや参加をご希望の方は、info_rpa@asean.or.jp 

 までリサーチ&ポリシー・アドボカシークラスター宛にご連絡ください。 

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