ASEAN JAPAN CENTRE 日本アセアンセンター

事業報告

日ASEAN 持続可能な観光におけるベストプラクティス知識共有セッションをマニラで開催 

概要 

「Knowledge Sharing Session on ASEAN-Japan Sustainable Tourism Best Practices」が、2026年2月24日、フィリピン・マニラにおいて開催されました。本セミナーは、日本アセアンセンターとフィリピン観光省の共催、観光庁の後援のもと実施され、観光業界関係者、学術関係者、関連団体など計73名が参加しました。 

本セミナーは、2023年に東京で開催された日ASEAN観光大臣特別対話のフォローアップ事業として実施されたものです。日本アセアンセンターは、日本およびASEAN加盟国における持続可能な観光の優良事例を紹介する専用ウェブプラットフォームを構築し、本セッションはその取り組みの一環として、知見の共有と実践事例の普及を図ることを目的としました。 

開会にあたり、フィリピン観光省観光開発計画担当アンダーセクレタリーのヴェルナ・C・ブエンスセソ氏が歓迎挨拶を行いました。同氏は、持続可能な観光が雇用創出や中小零細企業(MSMEs)の支援、地域の均衡ある発展において重要な役割を果たすことを強調しました。また、責任ある投資や環境配慮、政府機関および国際パートナーとの連携を通じて、国家開発目標を地域社会の具体的な利益へと結びつけていく重要性を述べました。 

フィリピン観光省 ヴェルナ・C・ブエンスセソ氏

続いて、観光庁の国際観光部長の中野 岳史氏が挨拶を行い、持続可能な観光の推進に向けたASEANとの協力を一層強化していく日本の姿勢を示しました。 

基調講演では、国連世界観光機関(UN Tourism)アジア太平洋地域事務所の吉田順子氏が登壇し、持続可能な観光開発を巡る国際的な動向や政策の方向性について説明しました。あわせて、地域レベルでの取り組みを国際的な枠組みと整合させていくことの重要性が強調されました。 

その後、フィリピン観光省観光開発計画・調査・情報管理局のアレックス・M・マカトゥノ氏より、2026年1月に新たに策定された「ASEAN Tourism Sectoral Plan 2026–2030」について説明が行われました。同計画では、より強靭で包摂的かつ持続可能な観光産業の構築に向けた戦略的優先分野が示されました。 

UN Tourismアジア太平洋地域事務所吉田順子氏 
フィリピン観光省 アレックス・M・マカトゥノ氏

パネルディスカッションでは、日本およびASEAN各国から具体的な実践事例が紹介されました。 

日本・豊岡観光イノベーションの一幡堅司氏は、地域内の宿泊事業者の予約データを一元的に管理するデジタルシステムを紹介しました。この仕組みにより業務効率化と人手不足の緩和が図られ、地域全体の観光基盤の持続可能性向上につながっていることが説明されました。 

フィリピンのThe Regenesis Project創設者マリアンヌ・アモレス氏は、「人を通じて自然を癒し、自然を通じて人を癒す」という理念のもとで展開する再生型観光の取り組みを紹介しました。環境修復活動を組み込んだ体験型プログラムを通じて、環境的に損なわれた地域の再生と参加者の意識向上を同時に実現する事例が共有されました。 

また、ラオスのOck Pop Tok共同創設者ジョアンナ・スミス氏は、地域社会を中心に据えた観光開発の重要性を強調しました。文化遺産の保護、環境への配慮、公正な取引の実践、そして地域の能力強化を通じて、観光が長期的な社会・経済の発展に貢献する必要性が示されました。 

パネリスト(左2人目から)マリアンヌ・アモレス氏、ジョアンナ・スミス氏、一幡堅司氏

閉会にあたり、日本アセアンセンターの平林国彦事務総長が挨拶を行い、持続可能な観光を推進する上で、地域のリーダーシップと個々人の情熱が重要な原動力となることを強調しました。また、本セッションで共有された知見を今後の具体的な取り組みへとつなげ、日本とASEAN加盟国の協力をさらに深化させていくことへの期待が示されました。 

日本アセアンセンター 平林国彦事務総長

主なポイント  

  • 持続可能な観光は、雇用創出や中小零細企業の支援、地域の均衡ある発展に貢献する重要な分野である。 
  • デジタル技術の活用は、地域観光の効率性と強靭性の向上に寄与する。 
  • 再生型観光は、観光を通じて自然環境の回復と地域社会の活性化を同時に実現し得る。 
  • 地域社会の参画、文化の保全、公正な実践は、観光の持続可能性を支える重要な要素である。 
  • 日本とASEAN地域の継続的な連携が、地域全体の持続可能な観光推進に不可欠である。 

AJC5.0(事業戦略)
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2025年度

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