ASEAN JAPAN CENTRE 日本アセアンセンター

事業報告

包摂性と持続可能性の未来へ:ASEANビジネス・インベストメント・サミット(ABIS)2025における日本アセアンセンターの取り組み 

日本アセアンセンター(センター)は、本年マレーシア が議長を務めるASEAN のテーマである「包摂性と持続可能性」を支持するため、2025年10月にクアラルンプールで開催された ASEAN Business and Investment Summit(ABIS)2025 に参加しました。 

同サミットでセンターは、2026年にASEAN議長国となるフィリピンASEAN経済協議会と、女性起業家のデジタル活用と投資促進をテーマとしたサイドイベントを共催しました。本イベントを通じて、日ASEAN協力のさらなる深化、包摂的デジタル変革の推進、そして人を中心とした持続可能な経済成長の重要性を参加者へ発信しました。 

目的 

今回のサイドイベントの目的は、「デジタルイノベーションと包摂的投資が女性起業家にどのような新たな機会を提供し得るか」を議論するとともに、国境を越えた協力を促進しながら、ASEANと日本が共に目指す「公正なデジタル移行(Just Digital Transformation)」の方向性を明確に示すことでした。 

主な活動とハイライト 

センターは、 フィリピンASEAN経済協議会とともに、ABIS2025のサイドイベントとして「Driving Inclusive Futures in ASEAN and Japan: Women’s Entrepreneurship in a Digital World」を共催しました。 

モデレーター 

  • Madiha Fuad 氏(マレーシアPlusVibes 創業者・CEO、ASEAN Women Entrepreneur of the Year 2024) 

パネリスト 

  • Josephine Romero 氏(フィリピンASEAN経済協議会) 
  • 深瀬マリー麻美 (マレーシア・日本Summys Ventures) 
  • 平林国彦事務総長(日本アセアンセンター) 

また、フィリピンASEAN経済協議会議長 Joey Concepcion 氏も参加され、以下の2つの主要テーマについて議論が深められました。

  1. 包摂的テック&イノベーション 
  1. 女性主導MSMEのデジタル化 

平林事務総長は冒頭挨拶で、「デジタル変革とはテクノロジーの話ではなく“人”の話である」と述べ、心臓外科医としての経験から、 
「命は“つながり”によって支えられています。たとえそのつながりが断たれても、再び結び直されることで命は続いていきます。」 
と語り、デジタル化における “人間中心の視点” の重要性を強調しました。 

登壇者からの示唆 

Romero は、女性MSMEがデジタルツールに触れる機会と適切なトレーニングを受けることの重要性を強調し、「正しい知識と訓練により、デジタルのリスクを理解し、安全かつ効果的に活用できるようになる」と述べました。 

深瀬マリー麻美氏は、AIが女性起業家のイノベーション、事業効率、マーケット拡大を大きく支援することに加え、異文化理解と交流が信頼構築や事業存在感の強化に役立つと強調しました。 

平林事務総長は、日本アセアンセンターが15年以上にわたり女性起業家の支援に取り組んできた実績を紹介し、AIを活用した財務リテラシー、投資準備、インパクト測定を支援する新たなプログラム 「ImpactLink」 を紹介しました。本プログラムは、「才能ではなく、アクセスの壁に直面している女性起業家」を支える実践的な解決策として位置づけられています。 

フィリピンASEAN経済協議会による総括 

フィリピンASEAN経済協議会は本セッションについて、次のように総括しました。 
「本セッションは、内容的に極めて重要であると同時に、まさに最適なタイミングで開催されました。女性起業家のエンパワーメントという包摂的成長の中核をなすテーマに向け、主要パートナーがそれぞれの取組を結び付けるための優れたプラットフォームとなりました。さらに、フィリピンがASEAN議長国となる2026年に向け、より深く、より大きなインパクトを生む協力関係を発展させるための重要な基盤を築くものでもあります。」 

主なポイント

  • 女性起業家はデジタル経済の「周縁」ではなく「未開拓の中心」である。 
  • 包摂的デジタル化には、金融、デジタルツール、ネットワークを統合する総合的なエコシステム(連携・相互支援のしくみ)が不可欠。 
  • AI を活用した財務管理の理解度深化やその効果測定など、実践的なデジタル活用が女性主導中小企業の国境を越えたビジネスの展開を後押しする。 
  • 包摂的デジタル変革は、経済的な機会創出だけでなく、社会全体がより危機に強く、回復力を高めることにも寄与する。 

今後の方向性

ABIS 2025 で得られた成果と機運を踏まえ、センター はフィリピンが議長国を務める 2026 年の ABIS に向けて、フィリピン経済協議会をはじめとする地域の主要パートナーとの連携を一層強化してまいります。 

今後も、センターは、女性起業家のエンパワーメント、包摂的なデジタル変革の推進、そして「人」を中心とした持続可能で機会に満ちた ASEAN–日本パートナーシップの発展に貢献していきます。 

写真提供:マレーシアASEAN経済協議会

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