大阪商工会議所と共催されたASEANビジネスフォーラムの重要なポイント
- ASEANの成長: ASEANは、2030年までに世界で4番目に大きな経済圏になると予測され、2027年には日本のGDPを上回る見込みです。
- デジタル経済の成長: ASEANのデジタル経済は2024年に2630億米ドルに達し、合意が近いASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の効果により、2030年までに1兆米ドル、2035年には2兆米ドルに達する可能性があります。
- 環境へのコミットメント: ASEANは2050年から2065年までにカーボンニュートラリティを目指しており、ASEANパワーグリッドなどの取り組みにより、数兆ドル規模のグリーン投資を引き寄せることが期待されています。
- 日本の関与: 日本企業は、単なる製造拠点としてだけでなく、ASEANを消費市場とイノベーションのハブとして活用することが求められています。
- パートナーシッププラットフォーム: 大阪商工会議所の日本アセアンビジネス促進プラットフォームは、ASEANと大阪の中小企業、スタートアップ、商工会をつなぎ、共創を促進しています。
- 満員、非常に高い満足度: ASEANビジネスフォーラムは約100名の参加者を集め、会場は満席となり、内容に対する満足度は90%に達しました。ASEAN地域への強い関心が示されています。
8月7日、ASEAN-Japanセンター(AJC)は、大阪商工会議所(OCCI)との共催で、ASEAN事務局次長のサトヴインダー・シン氏(ASEAN経済共同体担当)の訪問を記念して、ASEANビジネスフォーラムを大阪商工会議所で開催しました。
このフォーラムは、ASEANの長期的な戦略計画として、回復力、包括性、持続可能性に向けたASEAN共同体ビジョン2045が2025年5月に採択されたことを受けて、日本とASEANの新たな経済協力の可能性を紹介するために開催されたものです。また、翌8月8日、ASEANの58回目の設立記念日を祝うため、大阪関西EXPO会場からAESEAN事務局のあるジャカルタとも繋がって開催された、EXPO 2025大阪・関西のASEANスペシャルデーの関連イベントとしても行われました。
冒頭、開会のことばで、大阪商工会議所の廣瀬恭子副会頭は、グローバルな不確実性や地政学的リスクの高まりの中で、ASEANと日本の絆を強化する重要性を強調しました。

ASEANの成長、デジタルトランスフォーメーション、そしてグリーン未来
ASEANの経済成長について、サトヴィンダー・シン氏(ASEAN事務局ASEAN経済共同体担当事務局次長)は、ASEANが2030年までに世界第4位の経済圏に成長する見込みであることを述べ、特に若くダイナミックな中間層が経済を牽引すると説明しました。ASEANのGDPは2027年までに日本を上回ると予測されています。
シン氏は、ASEANが進めてきた経済統合の成果として、「99%以上の関税が撤廃されたこと」を挙げ、持続可能性を含むASEAN商品貿易協定(ATIGA)の更新についても言及しました。さらに、RCEP(地域的包括的経済連携協定)がASEANのグローバルな連携を強化している点も指摘されました。
デジタルトランスフォーメーションにおいては、ASEANのデジタル経済が2024年に2,630億米ドルに達し、2030年までに1兆米ドルに成長する見込みであるとしました。また、現在合意が近いASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)が、2035年までに2兆米ドル規模にまで拡大する可能性があると強調しました。
シン事務局次長は、持続可能性についても、ASEANは2050年から2065年までにカーボンニュートラルを達成することを掲げ、ASEAN電力網やカーボンニュートラル戦略がこれを支える重要な施策となることも強調しました。

日本の企業の役割とアジアでのアジリティ
JETRO(日本貿易振興機構)調査部アジア太平洋州課長の藤江秀樹氏は、世界の分断が進む中でもASEANが貿易、投資、革新の中心地として成長し続けていると強調しました。これまで日本企業はASEANをコスト効率の良い生産拠点として見ていました。しかし、現在ではASEANが革新のハブ、消費市場としての役割も担っており、新たな社会的課題に取り組むための機会を提供していると述べました。
さらに、藤江氏は、ASEANの急速な経済発展、世代交代、ライフスタイルの変化がビジネス環境を変革していると述べ、日本企業の相対的な存在感がかつての優位性を失いつつある現状に触れ、競争力を維持するためには市場を迅速に探索し、アイデアをテストし、地元の大企業やスタートアップと革新を駆使したパートナーシップを結ぶことが必要だと強調しました。
また、藤江氏は、ASEANにおける日本商工会議所連合会(FJCCIA)の重要な役割を強調し、持続可能性、デジタルガバナンス、サプライチェーンの強靭性を進め、ASEANと日本が共にグローバルバリューチェーンにおける地位を強化していく必要があると述べました。
パネルディスカッション:ASEANを革新のハブとして
パネルディスカッションでは、以下の発表者の方々から、各国の魅力や特徴、ASEANの多様性について、また、その多用性と成長力によって持たされる、日本にとってのビジネス機会についての識見や提言が紹介されました。
- マレーシア投資開発庁 大阪事務所長 グラム・ムスザイリ氏
- 在大阪フィリピン共和国総領事館 貿易投資部商務参事官 マイケル・アルフレッド・V・イグナシオ氏
- 在大阪タイ王国領事館 タイ投資委員会 大阪事務所長 シリポン・ナークチュア氏
- 大阪商工会議所 国際部長 根来宜克氏
発表者は、ASEANが地域ごとの強みを持っていることを説明し、次のような特徴を挙げました:
- マレーシア: グリーンテクノロジー、EV、デジタル経済における戦略的なハブで、競争力のあるインセンティブと強力なASEAN域内との接続性とインフラが整備されていることが特徴であり、投資誘致を積極的に推進。
- フィリピン: 若くダイナミックな労働力とCREATE法(企業復興税優遇法)などの投資促進改革により、2025年の経済成長率は5.5〜6.5%を見込む。労働者の高い英語力が強みであり、インフラ、再生可能エネルギー、ITサービスなど、日本企業に新たな機会が豊富。
- タイ: バイオ循環型経済、EV、電子産業、スマートエレクトロニクス、デジタル・クリエイティブ産業分野など5つの戦略的成長産業が、強力なサプライチェーンに支えられている。対象優遇措置には、バイオエネルギーや、バイオテクノロジー、持続可能な農産物および農産加工物、さらにスマート農業などの、日本の得意分野が含まれる。

- 大阪商工会議所:ASEAN主要国の経済団体とともに2023年に立ち上げた、日本アセアンビジネス促進プラットフォームを紹介。このプラットフォームは、各国機関などと連携し、サプライチェーンの強靭化、環境などの共通課題やビジネス促進に向けて、日ASEANのスタートアップ・中小企業を中心とした各国企業同士の連携や共創を後押する取り組み。セミナー、商談会、オンライン視察、個別相談会、専門ミッション派遣など、具体的な事業を通じて中小企業を支援している。
終了の挨拶:大阪の「三つのO」

フォーラムの締めくくりに、平林国彦日本アセアンセンター事務総長、は、大阪(Osaka)のOは「Openness(開かれた心)、Opportunity(挑戦を育てる土壌)、Onenes(一体感と共生を大事する伝統)」の精神を象徴するもので、これからの日本の再興:発展に必要であることを強調。また、これらの価値観は、ASEANの新しいビジョンと密接に共鳴しており、ASEANと日本の共創を進める上で、共感、協力、価値創造の観点が重要である、と述べました。
フォーラムはネットワーキングセッションで終了し、参加者が新たな協力の機会を探り、つながりを深める機会を提供しました。