ASEAN JAPAN CENTRE 日本アセアンセンター

事業報告

持続可能な包装に向けたブルネイのグリーン化政策 

ブルネイ政府は、持続可能な開発と環境保護を重視した国家戦略「Brunei Vision 2035」にしたがい、国内企業および市民の間の環境にやさしい社会を実装するため、環境配慮型の持続可能な包装への取り組みを主導する旨を表明しています。 

ブルネイによる持続可能な包装推進を支援するため、日本アセアンセンターはBrunei Economic Development Board (BEDB)との共催により、2025年2月3日にブルネイ・ダルサラームにおいて「Workshop on Green Packaging and Labelling in Brunei Darussalam(ブルネイ・ダルサラームにおけるグリーン包装とラベルに関するワークショップ)」を開催しました。このワークショップは、ブルネイからの輸出製品に適した包装資材についても検討する機会となりました。 

メイン画像:Dr. Hajah May Fa`ezah Haji Ahmad Ariffin(Ministry of Finance and Economy and Council Director of the ASEAN-Japan Centre for Brunei Darussalam、右から4人目)が、Ms. MORI Rika(First Secretary, Embassy of Japan in Brunei Darussalam、右から2人目)、Mr. Chairat Liengkajornkiet(Director of Programme Operations, the ASEAN-Japan Centre、左から4人目)、ならびにBrunei Economic Development Boardの講演者および幹部とともに、ワークショップの開会式で記念撮影に応じました。

開催主旨

本事業は、日本の持続可能な包装・ラベルの先駆的技術を紹介し、ブルネイにおける知識と関心の向上を目指して開催されました。さらには、ブルネイにおける環境課題への取組みと持続可能な経済成長を支援するための日本の知見を提供し、持続可能な包装・ラベルのデザインソリューションの導入に向けて、日本企業とブルネイ企業間の永続的なビジネス関係を育むことも目指しました。 

事業内容

開催に際して、日本アセアンセンターにおけるブルネイ政府代表理事が歓迎の辞を述べ、持続可能な包装がブルネイにおいて開発の鍵であり、特に中小企業が国内および国際市場で拡大・競争する上で重要な役割を果たすことを強調しました。

続いて、在ブルネイ日本国大使館より、2024年が日本ブルネイ外交関係樹立40周年の記念年であったこと、また、日本とブルネイの良好な二国間関係について言及がありました。

日本アセアンセンターは、ブルネイ政府の優先分野とトレンドに即したプログラムとして事業を立案しており、本事業はCapacity Building for Brunei Darussalam towards Advancing Circular Packaging Design and Labelling(2024年3月に東京および近郊にて実施)の後継事業としてより多くのブルネイ企業および政府関係者に向けて開催するものであり、日本ブルネイ間のビジネス連携の具現化に貢献すると述べました。 

続くブルネイ、日本の専門家による講演では、ブルネイのFood Packaging of National Standards Committee on Foodにおいて共同議長を務めた専門家よる講演、´’Small Changes, Big Impact: A step-by-step guide to sustainable packaging’ が行われ、ガラス、金属、プラスチック、木材、紙・板紙など、食品包装資材の主要な特性と種類、その長所と短所について紹介し、Green Food Packagingという概念と、従来の包装に代わる持続可能な包装資材の選定方法について説明しました。 

公益財団法人日本容器包装リサイクル協会は、Plastic Packaging and Product Recycling System in Japanと題した講演を行い、日本における製品リサイクルシステムの活動、「容器包装リサイクル法」や「プラスチックリサイクル法」の概要について解説し、ブルネイ参加者との意見交換を行いました。また、EU加盟国を含む一部の国々で導入が進むDeposit Refund Systems(DRS)の事例(缶、ペットボトル、ガラスびんなど)も紹介しました。 

最後の講演では、日本および他国で使用されている持続可能な包装材の具体例が日本企業によって紹介されました。講演後に設けられた質疑応答では、多くのブルネイの参加者が積極的に議論に参加していました。 

主なポイント

  1. 包装設計において最も重要なのは、ブルネイから何を輸出するかを決めることであり、輸出製品の包装資材の品質は、製品の鮮度を長く保つための非常に重要な要素です。 
  1. 持続可能性は重要であり、リサイクル可能または堆肥化可能な包装でも、保存安定性は維持されなければなりません。  
  1. 今回のワークショップでは、日本における包装回収およびリサイクル制度の実例が紹介され、大変有益な洞察が得られました。ブルネイで日本のシステムを応用するには、現地の条件や文化的背景に適応させる必要があります。 
  1. ブルネイの包装業界は初期段階にあり、国内市場も比較的小さいというのが現状です。そのため、中小零細企業のエコシステムを支えるには大きなギャップがあるものの、企業がこのギャップを埋めることで、地元の中小零細企業のニーズを満たすだけでなく、近隣諸国市場など、地域全体へのビジネス展開も期待できます。 

今後の展望と連携   

本事業は、環境配慮型包装およびラベリング分野におけるブルネイと日本の企業間での今後の協力に向けた継続的な対話の重要性を提示しました。日本アセアンセンターは引き続き、ブルネイと日本の企業間でのビジネス連携や共同開発を促進し、ブルネイ製品の日本市場への持続可能な輸出の可能性を高めることを目的に活動して行きます。 

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