1. マレーシアの労働力
マレーシアは、勤勉で、規律正しく、教育され、更なる向上が可能な労働力を提供しています。新規に労働市場へ加わるマレーシアの若者は、少なくとも11年間、つまり高等学校レベルの学校教育を終了しています。従って、新しい技術や技能を訓練することは容易です。
製造業における技術的訓練を受けた労働力への高まる需要に対応するため、マレーシア政府は、国内外の大学、カレッジ、職業訓練校を卒業したエンジニア、技術者、熟練労働者を増員する政策をとっています。
さらにマレーシアには、労使関係が良好で調和がとれた、自由で競争力のある労働市場があります。マレーシアの労働コストは、生産性が高いにもかかわらず工業先進国に比べ相対的に低いといえます。
2. 人的資源の開発
人的資源省の傘下にある全国職業訓練評議会(NVTC)は1989年5月に設立され、国家の技術的・経済的発展のニーズに沿った職業技術訓練の戦略とプログラムを計画、促進、調整しています。
全国職業訓練評議会(NVTC)は、あらゆる公共や民間の訓練施設設立の調整を行っています。また、現行および今後の既存や新規の技術需要を評価調査し、将来の職業産業訓練のニーズを明確にし、国家職業技能資格(NOSS)の開発を継続的に行っています。現在、能力認定(certificate)、修業資格 (diploma)、高等修業資格(advanced diploma)など800以上の国家職業技能資格が設けられています。今後の国家職業技能資格(NOSS)の発展には、マレーシアの20の主要産業が割り当てられています。全国職業訓練評議会(NVTC)は、2005年から、追加で5,000の国家職業技能資格(NOSS)の開発を予定しています。
2.1 工業技能訓練施設
マレーシアでは、職業技術訓練校、工科専門学校、工業訓練研究所で、様々な工業分野において雇用される若者を育成しています。ほとんどの場合が政府機関によって運営されていますが、民間の学校も産業で必要とされている熟練労働者を育成し、政府の取り組みを補足しています。訓練に従事している主な政府機関は下記の通りです。
- 人的資源省は、現在14ヶ所の工業訓練所(ITI)を運営しています。この工業訓練所(ITI)では、入社前又は新入社員に対する基礎、中級、上級の産業技術訓練プログラムを提供しています。これには、機械、電気、建物、印刷業における実習や、技能向上プログラムや教官養成訓練プログラムも含まれます。また人的資源省は、指導者高等技術研修センター(CIAST)、日本マレーシア技術学院(JMTI)、4ヶ所の高等技術センター(ADTEC)も運営しています。
- 起業家育成省傘下のMajlis Amanah Rakyat (MARA)またの名を先住民信託評議会。MARAは、基礎、中級、上級の訓練プログラムを提供する技能訓練所を、全国で12ヶ所運営しています。また MARAは、ドイツ・マレーシア研究所(GMI)、英国マレーシア研究所(BMI)、マレーシア・フランス研究所(MFI)の3ヶ所の高等技能訓練研究所の運営に関与しています。
- 教育省は、産業で必要とされる技術を伴った人材創出のため、90ヶ所の技能訓練校および職業訓練コースを提供しています。工科訓練校の卒業生は、新入社員として就職したり、高等教育省の管轄下にある工科専門学校やコミュニティ−カレッジおよび他の省の管轄下にある職業訓練施設において、能力認定 (certificate)や修業資格(diploma)レベルの高等教育に進学することも出来ます。
- 2004年3月に設立された高等教育省は、20の工科専門学校と34のコミュニティ−カレッジを監督しており、産業界に技能者を送り出す準備をしています。高等教育レベルでは、正式な職業訓練が工科専門学校やコミュニティ−カレッジ行われており、エンジニアリング、商業、サービスの分野において、半熟練レベルの訓練された人材を社会に創出することを目的としています。第9次マレーシア計画(2006-2010)では、更に多くの技能訓練校やコミュニティーカレッジが設立される予定です。
- 青年スポーツ省は、7ヶ所の青年技能研修センターと青年高等技能研修センターで、基礎、中級、上級レベルの工業技能研修を提供しています。また、短期コースや技能向上プログラムなども実施しています。
2.2 人的資源開発基金
1993年1月から施行されている1992年人的資源開発法により、人的資源開発基金(HRDF)が設立され、人的資源開発協議会(HRDC)によって運営されています。2001年Pembangunan Sumber Manusia Berhad法による法人化に従って、人的資源開発協議会(HRDC)は現在ではPembangunan Sumber Manusia社(PSMB)として知られています。
人的資源開発基金(HRDF)は、徴収/給付システムに基づいて運営されています。所定額を納付した雇用者は、雇用するマレーシア人従業員の研修費の全額または一部を支払うために、基金から研修給付金を受ける資格があります。
製造会社は、下記の通り拠出します。
50人以上の従業員を雇用する会社 (1993年1月1日より適用) |
従業員の月額給与の1% |
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払込資本金がRM250万以上で 10人以上50人以下の従業員を雇用する会社 (1995年1月1日より適用) |
従業員の月額給与の1% |
払込資本金がRM250万未満で 10人以上50人以下の従業員を雇用する会社は、 オプションとして人的資源開発協議会(PSMB)に登録することができます。 (1996年8月2日から適用) |
従業員の月額給与の0.5% |
現在では、Pembangunan Sumber Manusia社(PSMB)の雇用者口座に課徴金残高がある限り、給付金支給額は、マレーシアで行われた研修に対しては対象費用の100%、海外で行われた研修に対しては50%までとなっています。
訓練を受けた労働力を特定産業に提供することを目的として、現場実習制度がPSMBによって開発、実施されています。第8次マレーシア・プランでは、連邦政府からRM1,600万の予算が、実習生の授業料支出のためPSMBに割り当てられました。同時に、雇用者は、実習生月額手当、保険料、研修用消耗品など対象となる研修費について100%の給付金を得ることができます。現在までに、PSMBは雇用者のニーズに対応するため、メカトロニクス、ホテル産業、プラスティック射出成形、工業用ミシン、情報技術(プログラミング)、情報通信(マルチメディア・アーチスト・オーサリング)、工作機械と金型、木材製品(家具製造)などの様々な現場実習制度を実施してきています。
2005年には、雇用者が最適な研修プログラムをインターネットを通じて調達するのを促進するため、PSMBはwww.hrdportal.com.myにHRD検索サイトを開発しました。この検索サイトは、ワンストップ・センターとしての役割を果たし、サイト内の双方向機能を通して、研修提供者がより効果的且つ効率的に研修プログラムを宣伝できるようにしています。
2.3 管理職
2002年には、およそ53,000人の学士号取得者と22,000人のディプロマ取得者が、マレーシアにある18の国立大学と各種高等教育機関を卒業しています。これらの卒業生は、ビジネス経営、情報技術、機械工学、薬学、科学、数学などからアート・デザインまで、様々な分野を専攻しています。
大学やカレッジに加え、全国生産性公社(National Productivity Corporation)やマレーシア経営研究所(Malaysian Institute of Management)、マレーシア管理職研究所(Malaysian Institute of Personnel Managers)などの機関でも、管理者の養成が行われています。さらに、マレーシアの管理職レベルの人材の多くが、海外で教育を受けています。
3. 労働力コスト
マレーシアの製造業部門で適用される最低賃金法はありません。基礎給与額は立地や業種によって異なり、ボーナス、制服の支給、無料送迎あるいは交通費の支給、実績奨励金、その他手当などの付加給付も、会社によって異なります。
経営者レベル・管理職レベルの賃金や付加給付も、業種や企業の雇用方針によって異なります。ほとんどの会社では、賃金に加えて医療費、個人傷害生命保険、無料送迎あるいは交通費の支給、年次ボーナス、退職手当、被雇用者積立基金(EPF)への拠出増額といった付加給付を行っています。
製造業における給料と諸手当の詳細情報については、マレーシア工業開発庁発行の冊子「マレーシアで事業を行う際に必要な費用」をご参照ください。
4. リクルートの手段
登録された民間の職業紹介所に加えて、雇用者と求職者は全国にある政府の職業紹介所を利用することができます。従業員を募集している雇用者は、職業紹介所に登録している求職者の詳細情報を入手することができます。職業紹介所の活動は下記の通りです。
- 雇用者の人材募集を支援するための広報キャンペーン。
- 面接や適性検査の準備とアレンジ。
工科専門学校とコミュニティー・カレッジも卒業予定者に対する雇用者との面接の機会を提供しています。
5. 労働基準
労働局は、労使協調を維持するために、労働関連法を管理する役割を担っています。労働法は、あらゆる雇用タイプに適用する最低条件を定めています。ビジネス経営に対する柔軟性については、労働局長に対して免除申請する方法によって促進されています。
5.1 1955年雇用法
主要な法規である1955年雇用法は、半島マレーシアとラブアン連邦直轄地の月額賃金がRM1,500未満の従業員と、月額賃金額に関わらず全ての肉体労働者に適用されます。雇用者は労働契約を結ぶこともできますが、法に定められた最低の手当てに反するものであってはなりません。月額賃金が RM1,500からRM5,000の従業員は、個々の労働契約の項目や条件に関して、労働裁判所における裁判によって救済を求めることができます。
1955年雇用法に基づく雇用者の義務は下記のとおり規定されています。
- すべての従業員に、労働契約の解除などを含む雇用条件を明記した書面の労働契約書を渡さなければなりません。
- 従業員の個人明細、賃金の支払い、控除などに関連する労働記録を保管すること。
- 夜間勤務や出産給付金などに関する、女性従業員に対する特別規定。
- 正規の勤務時間とその他労働時間に関する規定。
- 年次有給休暇、病気休暇、祝祭日の権利。
- 超過勤務や時間外労働に対する手当て。
5.2 サバ州とサラワク州の労働法令
サバ州労働法令とサラワク州労働法令は、それぞれの州における労働法の運用を規定しています。サバ州労働法令とサラワク州労働法令は、1995年雇用法の規定と相似しています。
5.3 1991年被雇用者積立基金法(EPF)
1991年被雇用者積立基金法は、従業員への強制拠出を規定しています。この法律により、雇用者と従業員(外国人労働者および別表1に属する従業員を除く)は、被雇用者積立基金(EPF)に、該当従業員の月額給与の最低12%(雇用者)と11%(被雇用者)をそれぞれ拠出しなければなりません。雇用者と従業員は、定められた拠出額以上の拠出をすることが奨励されています。
全ての雇用者は、雇用後直ちに従業員を被雇用者積立基金に登録しなければなりません。しかし、マレーシア国籍以外の労働者および同法の別表1で明記された従業員である個人住宅での仕事やそれに関連した仕事の雇用者などには、加入の義務はありません。しかしながら、この場合でも被雇用者は被雇用者積立基金に加入を選ぶこともできます。この場合の拠出金は月額最低RM50から最大RM5,000までです。
すべてのマレーシア国籍以外の従業員は、強制拠出の義務はありません。しかしながら、RM5の雇用者負担と、従業員の月額給与の11%を従業員が負担することで加入することを選ぶこともできます。
5.4 1969年被雇用者社会保障法
社会保障機関(Social Security Organisation, SOCSO)は、1969年被雇用者社会保障法に基づき、雇用傷害保険制度と疾病年金制度を運営しています。しかし、社会保障機関(SOCSO)は、マレーシア人労働者と永住者のみに適用されます。
月額賃金額がRM2,000を超えない従業員を雇用している工場を含むすべての事業所は、上記2つの社会保障制度に加入し従業員に保険をかける義務があります。
雇用傷害保険制度は、就業中による傷害で身体に障害をきたしたり死亡した場合、現金給付か医療介護といった補償を従業員に提供します。従業員の月額賃金に対し約1.25%の拠出金を、雇用者のみが負担します。
疾病年金制度は、55歳までのあらゆる原因による疾病や死亡に対し、24時間補償を従業員に提供します。1%の月額拠出金は、雇用者と被雇用者が半分ずつ公平に負担します。
5.5 1952年労働者災害補償法
1952年労働者災害補償法により、雇用中の事故で負った傷害に対して補償金を支給し、雇用者対して労働者に保険をかける義務を課しています。2005年外国人労働者補償計画(保険)法令が上記の法に基づき発行され、外国人労働者を雇用する雇用者に対して、法令に基づいて指定された保険会社において保険をかけることを義務づけ、勤務時間内や時間外の事故で負った傷害に対する補償金の支払いを義務づけています。
5.6 1994年職業安全保健法
1994年職業安全保健法(OSHA)は、職場における高いレベルの安全性と健康を促進、奨励するための合法的な枠組みを規定しています。この法律の目的は安全面、健康面の意識を高めること、および個々の産業において安全確保のための組織をつくり、それを自律的に実践することにあります。長期的には雇用者、被雇用者双方において職場における安全確保の文化を醸成することを目的としています。職業安全保健局(DOSH)が1994年職業安全保健法の実践に責任を負っています。同局は1967年工場および機械法の実践にも責任を負っています。
1994年職業安全保健法(OSHA)は、雇用者、被雇用者、自営業者、デザイナー、製造業者、設備や物質(substance)の輸入業者・サプライヤーなどの義務全般を規定しています。これらの規程は一般的な表現がなされていますが広範な義務を規定しています。この法律は、事実上あらゆる分野で働く人々の安全・健康を保護するとともに、それらの仕事により危険にさらされ得る一般人の保護まで対処する包括的法体系を構築しています。製造業、鉱山・採石場、建設、農業、林業、漁業、電気・水道、運輸、倉庫業、通信、卸・小売業、ホテル、レストラン、金融、保険、不動産、ビジネスサービス、官公庁、法定サービスなどあらゆる職場で働く人の安全が対象となった法律です。
雇用者、被雇用者、自営業者、デザイナー、製造業者、設備および物質(substance)の輸入業者・サプライヤーの義務は1994年職業安全保健法 (OSHA)に明確に記載されています。雇用者は実践的な範囲内で、従業員の健康・安全・福利の保護に努めなければなりません。この義務は安全な機械設備および就労システムを提供し、維持管理する際に特に遵守することが求められます。設備および物質(substance)の使用、取り扱い、保管そして輸送の際にも安全と健康が守られる措置が講じられなければなりません。1994年職業安全保健法(OSHA)で「設備」とは機械、機器、器具、工具、部品を指します。「物質」(substance)とは天然および人工の物質で固体、液体、気体、蒸気あるいはそれらの組合せをいいます。
物質の輸送・保管・使用により生じる健康への悪影響は最小限に抑えなければなりません。このためには、健康への影響が考えられる物質の取り扱いや適切な使用に関して、実用的な予防策をとらなくてはなりません。雇用者の義務の中に、法的必要条件に関する情報を含んだ安全対策への必要な情報の提供や指示、訓練、監視業務が含まれています。さらに、特別な危険物を取り扱う組織の雇用者は、組織に適した特別な訓練の実施の検討が求められています。
40人以上を雇用する職場では、安全・保健委員会が組織されなければなりません。委員会の主な役割は従業員の安全と健康を守るための方法を常に検討し、何か問題が生じた場合それを調査することです。雇用者は職場で事故、危険な状況の発生、職業中毒や疾病が発生あるいは発生しそうな場合は最寄りの職業安全保健事務所に届け出なければなりません。
機械機器の操作、据え付け、修理、取り壊しにあたっては専門家が必要になります。そのため、クレーン、エレベータ、空調システムなどの機械・設備の取り付けは、安全を確保するため、資格をもつ専門家があたらなければなりません。さらにボイラーのようなリスクの高い機器は、ボイラーマンやスチームエンジニアが操作する必要があります。危険な化学物質を扱う場合は取り扱い専門家が空気の汚染、人への影響を常に監視しなければなりません。また、安全保健担当官および職業保健医が職場の安全が計られているか監督することが求められています。
DOSHによって施行される1994年職業安全保健法(OSHA)の下には7つの規定があります。それらは下記の通りです。
- 雇用者による労働安全保健についての原則の提示(例外)規定 1995年
- 作業上事故をもたらす危険のある傷害物に対する規定 1996年
- 危険化学物質の分類・包装・表示規定 1997年
- 安全・保健委員会規定 1996年
- 安全・保健担当官規定 1997年
- 健康に危険を及ぼす化学物質の使用基準規定 2000年
- 事故告知・危険事項・職業中毒・職業病規定 2004年
これらの規定に違反した場合は法廷で裁かれることになる可能性があります。改善命令や停止命令に従わなかった場合RM5万以下の罰金あるいは5年以下の懲役またはその両方が課せられる可能性があります。
これにひきかえ、1967年工場および機械法(FMA)の目的は、従業員の安全、健康、福利に関する事項の工場管理や、機械の登録や検査の内容を規定することです。ボイラー、圧力容器、エレベータや移動型のクレーン、タワークレーン、人運搬用のホイスト、天井クレーン及びゴンドラといったその他のリフト設備などの危険性の高い機械は、職業安全保健局(DOSH)の検査を受ける必要があります。全ての工場および一般機械は据え付け・操業前に職業安全保健局 (DOSH)に登録されなければなりません。
1967年工場および機械法(FMA)のうち、以下の16の規定に関して職業安全保健局(DOSH)は責任を負っています。
- 人運搬用および荷物用電気エレベータ規定 1970年
- 機械の囲い込みと安全に関する規定 1970年
- 通知・適合基準および検査規定 1970年
- 担当者設置規定 1970年
- 安全・保健および福利規定 1970年
- スチームボイラーおよび圧力容器規定 1970年
- 能力証明および試験規定 1970年
- 管理規定 1970年
- 違反に対する示談規則 1978年
- 示談が可能な違反についての規定 1978年
- 鉛規定 1984年
- アスベスト規定 1986年
- 建築物運用および建設エンジニアリング(安全)業務規定 1986年
- 鉱物のほこりに関する規定 1989年
- 騒音に関する規定 1989年
- 通知・適合・検査(改正)規定 2004年
6. 労使関係
6.1 労働組合
政府は、健全で、民主的で、責任ある労働組合の育成を奨励し、結果として1959年労働組合法と1959年労働組合規定を制定しました。
これらの法令は下記の通り規定しています。
- 労働組合は、その加入対象を、特定の企業、職種、職業、業種、または同様の職種、職業、業種に属する従業員のみに限定すること。
- すべての労働組合は登録されていなければなりません。
- 組合は、投票権を持つ全組合員数の最低3分の2の無記名投票による同意によって、ストライキを起こすことができます。
- 労働組合法の遵守を確認するため、すべての労働組合は定期的に査察されます。
6.2 1967年労使関係法
1967年労使関係法は、労働争議の防止と解決を含む、雇用者と労働者および労働組合の関係を規定しています。この法律は下記の事項を明記しています。
- 雇用者、労働者および労働組合の法的権利の保護。
- 労働組合としての認知、活動範囲、団体交渉の要求の提出手続き。
- 昇進、配属転換、新規雇用、経費削減、解雇、復職、職務の配置に関することは団体交渉の対象とすることができない事項とされており、これらに関連してストライキやロックアウト実施の禁止。
- 法律は、雇用者と労働組合が相違点について介入なく協議し解決することができる労使協調のカギとしての産業内自治を重視しています。交渉が決裂した場合、両者は産業調停裁判所に労使関係局に持ち込むことができます。
- 人的資源大臣は、いかなる労働争議のいかなる段階においても、介入して産業調停裁判所に持ち込むことができます。
- すでに労使関係調停裁判所に持ち込まれ、団体協約や裁判所の賠償裁定がなされた労働争議についてのストライキやロックアウトの禁止。
6.3 労働組合が組織されていない企業の労使関係
労働組合が組織されていない企業では、通常の紛争解決方法は、被雇用者が上司、現場監督、雇用者に対して直接改善を要求することです。また、被雇用者は人的資源省に苦情を申し立てることができ、これにより同省は事情調査を行います。