マレーシアでは、直接税と間接税の双方において税制上の優遇措置が認められます。根拠となる法律は、1986年投資促進法、1967年所得税法、1967年関税法、1972年販売税法、1976年物品税法、および1990 年自由地域法です。これらの法律に基づく優遇措置は、業種として、製造業、農業、観光業(ホテル業を含む)と特定サービス産業およびR&D(研究開発活動)、職業訓練事業、環境保護事業を対象としています。
直接税の優遇措置とは、一定の期間、法人税の全部または一部が免除されることを意味します。一方、間接税の優遇措置とは、輸入関税、販売税、および物品税が免除されることを意味します。
1.製造業に対する優遇措置
1.1 製造企業に対する主な優遇措置
製造業部門に投資する企業に対する主な税制上の優遇措置は、パイオニア・ステータスと投資税額控除(ITA)です。
パイオニア・ステータスと投資税額控除の認可基準は、付加価値のレベル、使用される技術の高さ、産業間連携強化への寄与など特定の優先事項に基づいています。対象となるプロジェクトは、「奨励事業」または「奨励製品」(付属資料Ⅰ:奨励事業および奨励製品リスト‐一般参照)といわれています。
- (i)パイオニア・ステータス
-
パイオニア・ステータスを認められた企業は、所得税納付の一部免除を5年間受けることができます。この場合、生産日(生産レベルが生産能力の30%に達した日と定義)から始まる免税期間中、法定所得* の30%に対してのみ課税されます。
2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
奨励地域への投資を促進するため、サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」+に投資する企業は、5年間法定所得の全額が免税となります。この追加的優遇措置は、2010年12月31日までに受理されるすべてのプロジェクトに適用されます。
パイオニア・ステータスの申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (ii)投資税額控除(ITA)
-
パイオニア・ステータスの代わりに、投資税額控除(ITA)を申請することができます。投資税額控除を認められた企業は、最初に適格資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出(認可プロジェクトで使用される工場、プラント、機械、その他の設備に対する支出)総額の60%に相当する控除枠が得られます。
企業は、この控除枠で該当賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。法的所得の残りの30%には、現行の法人税率が課税されます。
奨励地域への投資を促進するため、サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に投資する企業が、2003年9月13日以降に申請した場合は、5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する控除枠が与えられます。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の100%を相殺することができます。この追加的優遇措置は、2010年12月31日までに受理されるすべてのプロジェクトに適用されます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
* 法定所得は、所得総額から収益的支出と基本控除を差し引いて算出されます。
+ 半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」とは、クランタン州、トレンガヌ州、パハン州、およびジョホール州のメルシン地区を指します。
1.2 投資奨励地域への製造業事業の移転に対する優遇措置
事業コストの削減とビジネス競争力強化を目的として、既存の企業がその製造拠点を投資奨励地域に移転する場合、下記の通り2度目の優遇措置を受けることができます。
- 5年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
2004年9月11日以降に受理されるすべての申請が、この優遇措置の対象となります。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
1.3 ハイテク企業に対する優遇措置
ハイテク企業とは、最先端技術分野における奨励事業や奨励製品の製造に従事する企業のことです(付属資料II奨励事業および奨励製品リスト-ハイテク企業 参照)。ハイテク企業は、下記の優遇措置の対象となります。
- 5年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 最初の資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の60%(奨励地域の場合は100%)に相当する投資税額控除。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
ハイテク企業は以下の基準を満たさなければなりません。
- 総売上に対するマレーシア国内での研究開発費の割合は、少なくとも年間1%を占めること。企業には、この条件を満たすために事業開始から3年間の猶予が与えられています。
- 大学卒業資格あるいはディプロマ(短大・専門学校卒)を取得し、関連分野で最低5年間の経験を持つ理科系か技術系スタッフの総数が、全従業員数の少なくとも7%を占めること。
1.4 戦略的プロジェクトに対する優遇措置
戦略的プロジェクトとは、国家に重要な製品の生産や事業活動に係わるプロジェクトのことです。これらは通常、長期計画期間と多額の設備投資を伴い、高度な技術を備え、統合的で、広範囲な産業間連携を創出し、経済に多大な影響を与えるプロジェクトのことです。
戦略的プロジェクトは、下記の優遇措置の対象となります。
- 10年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 最初の資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除枠で該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
1.5 中小企業に対する優遇措置
2004年賦課年度からの優遇措置として、払込資本金RM250万以下の中小企業は課税対象所得のうちRM50万までは法人税率20%の軽減税率が適用されます。それを超える部分の課税対象所得には通常の28%の税率が適用されます。株主が配当を受け取った場合、その配当所得には20%の税額控除が与えられます。
株主資本がRM50万未満で最低60%のマレーシア資本を有する、マレーシアで設立された小規模製造企業は、以下の優遇措置の対象となります。
- 5年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した適格資本的支出の60%(奨励地域の場合は100%)に相当する投資税額控除。この控除枠で該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
個人企業やパートナーシップの場合も、新規の非公開有限会社か有限責任会社を設立し現在の生産活動を引き継ぐことによって、この優遇措置を申請することができます。この優遇措置の対象となるには、小規模企業は下記の2つの基準のいずれか1つに該当しなければなりません。
- 付加価値が少なくとも15%であること。
または、 - 企業活動が地方の社会経済開発に貢献すること。
これらの企業は、小規模企業のための奨励製品および奨励事業リスト(付属資料IV:奨励事業および奨励製品リスト‐小規模企業 参照)に記載されている製品の製造や事業に参画しなければなりません。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
1.6 産業間連携強化に対する優遇措置
大企業が産業間連携プログラム(ILP)へ参画することを奨励するため、従業員の研修、商品開発と試験、下請業者から納入される製品の品質を確認するために工場監査において発生する支出は、所得税算定の際に控除することが認められています。
中小企業を含む下請け業者のうち、産業間連携プログラム(付属資料V:奨励事業および奨励製品リスト‐産業間連携プログラム 参照)における奨励製品の製造や奨励事業への参画を希望する企業は、下記の優遇措置の対象となります。
- 5年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 最初の資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の60%(奨励地域の場合は100%)に相当する投資税額控除(ITA)。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
下請け企業が奨励製品の製造や世界市場向けの事業活動に参画することを促進するために、承認された産業間連携プログラムにおいて、価格、品質、能力面で「世界水準」に達することができる下請け業者は下記の優遇措置の対象となります。
- 10年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 最初の資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
1.7 機械設備製造に対する優遇措置
- 1.7.1 特定の機械機器製造に対する優遇措置
-
特定の機械および機器類の生産に関わる企業は、下記の優遇措置の対象となります。それらの機械・機器とは、工作機械、プラスチック射出成型機、プラスチック押出成型機、資材運搬(マテハン)機器、包装機械、産業用ロボット、工場自動化設備、特定産業向けの特殊加工・処理機器、およびこれらの機械・機器類の部品やコンポーネントなどです。
- 10年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 最初の資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- 1.7.2 重機械産業に対する追加的優遇措置
-
クレーン、採石機械、バッチ・プラント、港湾用マテリアル・ハンドリング機械などの重機械の製造に再投資する既存の現地企業からの申請は、下記の優遇措置の対象となります。
- 再投資によって増加した法定所得の70%(奨励地域の場合は100%)が5年間免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年の期間内に発生した追加的適格資本的支出の60%(奨励地域の場合は100%)に相当する投資税額控除。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の70%(奨励地域の場合は100%)を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
この優遇措置は、2003年9月13日以降にマレーシア工業開発庁(MIDA)に受理された申請に適用されます。
- 1.7.3 機械設備産業に対する追加的優遇措置
-
特殊機械設備や工作機械などの機械設備の製造に再投資する既存の現地企業からの申請は、下記の優遇措置の対象となります。
- 再投資によって増加した法定所得の70%(奨励地域の場合は100%)が5年間免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した追加的適格資本的支出の60%(奨励地域の場合は100%)に相当する投資税額控除。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の70%(奨励事業の場合は100%)を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
この優遇措置は、2003年9月13日以降にマレーシア工業開発庁(MIDA)に受理された申請に適用されます。
1.8 自動車用モジュール部品・モジュールシステムに対する優遇措置
新規企業、既存企業を問わず、自動車用モジュール部品・モジュールシステムの設計、研究開発、および生産に携わる企業は、下記の優遇措置の対象となります。
- 5年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 最初の適格資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の60%(奨励地域の場合は100%)に相当する投資税額控除(ITA)。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
適格自動車用モジュール部品・システムとは、フロントコーナー・モジュール、リアコーナー・モジュール、インパネ・モジュール、ストラット・ショックアブソーバー・スプリング組立モジュール、バンパー・モジュール、フロント・クロス・メンバー・モジュール、機能一体化ドアモジュール、燃料タンク・モジュール、座席シート・モジュール、ペダル・モジュール、ドアトリム・モジュール、フロアコンソール・モジュール、タイヤ・車輪モジュール、ブレーキ・システム、ワイパー・システム、排気システム、オーディオ・システム、ヒーター・ベンチレーション・エアコン・システム、エアバッグ・システム、パワーおよびシグナル分配システム、アラーム・システム、シートベルト・システム、外部照明システム、ボディー・イン・ホワイト・モジュール、エンジン制御システム、安全システム、テレメティック(telemetics)、カーナビゲーション・システム、燃料噴射システム、自動車コンピュータ制御システムなどです。
この優遇措置は、2002年9月21日以降にマレーシア工業開発庁(MIDA)に受理された申請に適用されます。
1.9 パーム油バイオマスの活用に対する優遇措置
パーム油バイオマスを利用して、パーチクル・ボード、MDFボード、合板、パルプや紙などの付加価値のある製品を製造する企業からの申請は、下記の優遇措置の対象となります。
- (i)新規企業
-
- 10年間の法定所得が全額免税になるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
- 10年間の法定所得が全額免税になるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
- (ii)再投資を行う既存企業
-
- 再投資によって増加した法定所得の100%が10年間免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
- 5年間に発生した追加適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
-
1.10 製造業部門に対する追加的優遇措置
- (i)再投資控除
-
12ヶ月間以上操業し、生産能力の拡大、生産設備の近代化と自動化、関連製品への多角化のために適格資本的支出を行った製造業企業は、再投資控除(RA)を申請することができます。
再投資控除(RA)では、適格資本的支出総額の60%に相当する控除枠が認められ、賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
次のケースにおいて企業は、再投資控除枠で賦課年度の法定所得の100%を相殺することができます。
- サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」で再投資事業を行う場合。
または、 - 財務省が定めるある一定の生産性基準を達成した場合。各サブセクターにおける規定された生産性基準に関する詳細については、国税局(「連絡先住所 – 関連団体」参照)にお問い合わせください。
再投資控除(RA)は、再投資が初めて行われた年から連続した15年間にわたり認められるものです。企業は、例えば、建物が完成した後や工場に機械が設置され操業を開始した時など、対象となるプロジェクトが完了したときのみ申請できます。再投資控除(RA)の対象となった資産は、再投資した時点から2年間は処分できません。
2002年9月21日からの措置として、パイオニア・ステータスの有効期限内に再投資する予定の企業は、そのパイオニア・ステータスを放棄して再投資控除(RA)に切り替えることができます。
再投資控除の申請先は国税局(IRB)ですが、パイオニア・ステータスの放棄申請先はマレーシア工業開発庁(MIDA)となります。
- サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」で再投資事業を行う場合。
- (ii) 加速減価償却
-
再投資控除(RA)の対象となる15年間が経過した後に、奨励製品の製造に投資する企業は、税制上の加速減価償却(ACA)を申請することができます。この加速減価償却により初年度40%、年次控除20%の控除が認められるので、資本的支出は3年で償却できることになります。
申請書は、企業が奨励製品を生産していることを証明したマレーシア工業開発庁(MIDA)発行の文書を添えて、国税局(IRB)に提出します。
- (iii) 電力安定化機器に対する加速減価償却
-
電力の不安定供給が原因とされる事業コストを削減するため、電力供給安定化機器に対する設備投資をする企業は、2年間の加速減価償却の対象となります。
この加速減価償却の対象となる機器は、財務省に認定されたものに限ります。
この優遇措置は、2005年賦課年度から適用されます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (iv) 工業ビル・システムに対する優遇措置
-
工業ビル・システム(IBS)は、建設の質を向上し、より安全で清潔な労働環境を創出し、外国人労働依存を低減するものです。工業ビル・システム・コンポーネントの製造に使用される金型を購入に対して出費する企業には、3年間の加速減価償却が適用されます。
この優遇措置は、2006年賦課年度から適用されます。
- (v) 輸出増加価値に対する免税
- 輸出を促進するため、マレーシアにおける製造企業は、以下の税控除を得る資格があります。 a) 輸出品の付加価値が30%以上の場合、輸出増加額の10%相当額を法定所得から控除。 b) 輸出品の付加価値が50%以上の場合、輸出増加額の15%相当額を法定所得から控除。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
マレーシア製品の輸出をさらに促進するため、マレーシア人が株式の60%以上を保有する製造企業は次の優遇措置が受けられることになりました。
a) 当該企業が著しい輸出の増加を達成した場合、輸出増加額の30%を法定所得から控除。 b) 当該企業が新規輸出市場を開拓した場合、輸出増加額の50%を法定所得から控除。 c) 当該の業種において最も著しい輸出増加を達成した企業に対して、輸出増加額全額を法定所得から控除。これらの優遇措置は、2003年課税賦課年度から適用されます。
- (vi) グループ控除
- 民間からの投資を増進するため、1967年所得税法に基づき、マレーシアで設立された全ての居住会社に対してグループ控除が適用されます。下記を条件として、グループ控除は、当年度における未控除損失の50%を限度に、同一グループ内の他の企業(認可食品生産、森林プランテーション、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、オプティクス、フォトニクスに従事する新規企業を含む)の所得を相殺することができます。a) 受給企業と引渡し企業が、それぞれRM250万以上の普通株の払込資本金を保持していること。 b) 受給企業と引き渡し企業が、同じ会計期間であること。c) グループによる受給企業と引き渡し企業の直接または間接的な株式保有が、70%を下回らないこと。d) 70%の株式保有は、前年度と当該年度を通じて継続的なものであること。e) 所有権や外国企業の買収による損失は、グループ控除の対象にはなりません。f) 以下の優遇措置適用企業は、グループ控除の対象にはなりません。
– パイオニア・ステータス
– 投資税額控除/投資控除
– 再投資控除
– 船積み利益に対する免除
– 1967年所得税法の第127条に基づく所得税免除
– 投資優遇企業上記の優遇措置が導入されると、認可食品生産、森林プランテーション、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、オプティクス、フォトニクスに対する既存のグループ控除優遇措置は打ち切られます。しかし、上記の事業に対するグループ控除を享受する企業は、引き続き子会社による損失の100%で自社の所得を相殺することができます。
この優遇措置は2006年の賦課年度から適用されます。
注: 製造業部門に関するその他の優遇措置については、セクション16をご参照ください。
a) 当該企業が著しい輸出の増加を達成した場合、輸出増加額の30%を法定所得から控除。 b) 当該企業が新規輸出市場を開拓した場合、輸出増加額の50%を法定所得から控除。 c) 当該の業種において最も著しい輸出増加を達成した企業に対して、輸出増加額全額を法定所得から控除。これらの優遇措置は、2003年課税賦課年度から適用されます。
2. 農業部門に対する優遇措置
1986年投資促進法により、農業に関連する「企業」とは以下の通り定められています。
- 農業協同組合、農業関連協会。
- 農業に携わる個人やパートナーシップ。
農業分野における奨励品目の生産や奨励事業(付属資料I:奨励事業および奨励製品リスト‐一般 参照)に従事する会社は、下記の優遇措置の対象となります。
2.1 農業部門に対する主な優遇措置
- (i)パイオニア・ステータス
-
製造業部門と同様に、奨励品目の生産や奨励事業に携わる会社は、パイオニア・ステータスの対象となります。
パイオニア・ステータスを認められた企業は、所得税納付の一部免除を受けることができます。この場合、生産日(農産物を初めて販売した日と定義)から始まる5年間の免税期間中、法定所得の30%に対してのみ課税されます。
2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」へ投資する企業は、5年間法定所得の全額が免税となります。既にこの優遇措置を認められているが操業を始めていない場合、あるいは申請済みで審査中のプロジェクトにも適用されます。この追加的優遇措置は、2010年12月31日までに受理されるすべてのプロジェクト申請に適用されます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (ii)投資税額控除
-
奨励製品の生産か奨励事業に従事している企業は、パイオニア・ステータスの代わりに、投資税額控除(ITA)を申請することもできます。投資税額控除を認められた企業は、最初に適格資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出総額の60%に相当する控除枠が与えられます。
企業は、この控除枠で賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。法定所得の残りの30%には、現行の法人税率で課税されます。
サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に投資する企業は、発生した適格資本的支出の100%に相当する控除枠が与えられます。この追加的優遇措置は、2010年12月31日までに受理されるすべてのプロジェクト申請に適用されます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
農業事業の利益を増大するために、政府は適格資本的支出の定義を下記に対する支出にまで広げました。
- 土地の開墾と整地。
- 作物の植え付け。
- 栽培、家畜の飼育、養殖、内陸漁業、深海漁業、その他農業あるいは牧畜業事業のためにマレーシアで使用されるプラントや機械設備の導入。
- 橋架を含むアクセス道路の建設、建物(福利厚生用または居住用を含む)の建設や購入、また、作物栽培、動物飼育、養殖、内陸漁業、その他農業・牧畜業事業で使用される土地やその他構築物の構造的改良。このような道路・橋架・建物の建築、土地・構築物の構造的改良は、作物栽培、動物飼育、養殖、内陸漁業、その他の農業牧畜業事業の目的で使用される土地の一部になされたものでなければなりません。
対象となる食品は財務省によって認可されます。これらは、ケナフ、深海漁業、野菜、果物、ハーブ、スパイス、水産養殖、牛やヤギや羊の飼育などです。
子会社に投資する会社に対する上述の出資比率の条件は、2004年9月11日以降から適用されます。これらの優遇措置を受けた会社は、優遇措置認可日から1年以内に食品生産を開始しなければなりません。これらの優遇措置が受けれられる期間は、2010年12月31日までに申請されたものが対象となるよう延長されました。
申請書は、農業農工省に提出します。
- (iii)投資税額控除
-
a) 新規事業に対する優遇措置
食品生産を促進するために、食品生産に従事する子会社に投資する会社は、その子会社とともに、下記の優遇措置パッケージの対象となります。
優遇措置パッケージA:
- 食品生産に従事する子会社に70%以上出資する親会社は、該当子会社への投資額に相当する税額控除が与えられます。
- 子会社は、黒字化初年度から10年間、法定所得に対する法人税の全額免税が得られます。
- 免税期間前か期間中に発生した損失は、10年間の免税期間終了後に繰り越すことがきます。
- 株主が非課税所得から配当を受けた場合、その所得は所得税支払済みと扱われます。
優遇措置パッケージB:
- 食品生産に従事する子会社に70%以上出資する親会社は、子会社が黒字化するまでの損失に対してグループ控除が与えられます。
- 子会社は、法定所得に対する法人税の全額免税が10年間得られます。これは、会社の黒字化初年度から開始されます。
- 食品生産に従事する子会社に70%以上出資する親会社は、子会社が黒字化するまでの損失に対してグループ控除が与えられます。
- 子会社は、法定所得に対する法人税の全額免税が10年間得られます。これは、会社の黒字化初年度から開始されます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
農業事業の利益を増大するために、政府は適格資本的支出の定義を下記に対する支出にまで広げました。
- 免税期間中に発生した損失は、10年間の免税期間終了後に繰り越すことがきます。
- 株主が非課税所得から配当を受けた場、その所得は所得税支払済みと扱われます。
対象となる食品は財務省によって認可されます。これらは、ケナフ、深海漁業、野菜、果物、ハーブ、スパイス、水産養殖、牛やヤギや羊の飼育などです。
子会社に投資する会社に対する上述の出資比率の条件は、2004年9月11日以降から適用されます。これらの優遇措置を受けた会社は、優遇措置認可日から1年以内に食品生産を開始しなければなりません。これらの優遇措置が受けれられる期間は、2010年12月31日までに申請されたものが対象となるよう延長されました。
申請書は、農業農工省に提出します。
b) 再投資を行う既存企業に対する優遇措置
既存の企業で上記の食品生産に再投資する場合も、5年間同一の優遇措置が与えられます。
新規企業や既存企業が行う食料品生産プロジェクトは、いずれも優遇措置の認可日から1年以内に開始されなければなりません。申請書は、2005年12月31日までに農業農工省に提出します。
c) 「ハラル」食品製造に対する優遇措置
輸出向けハラル食品製造への新規投資を促進し、国際基準に適合した高品質のハラル食品の製造に近代的で最新鋭の機械設備を導入することを奨励するため、ハラル食品製造に出資する企業あるいは既にマレーシア・イスラム開発局(JAKIM)による「ハラル」認証を取得した企業は、5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除の対象となります。
この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。2004年9月11日以降に受理された申請が対象になります。
申請書はマレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (iv)食品加工業への再投資に対する優遇措置
-
マレーシア人が資本の60%以上を保有するマレーシア製造業企業が奨励対象の食品加工事業に再投資する場合は、再度パイオニア・ステータスあるいは投資税額控除の対象となります。サバ州、サワワク州、半島マレーシアの「東海岸奨励地域」などの奨励地域に立地する場合は、より優遇されたパイオニア・ステータスあるいは投資税額控除の対象となります。
この優遇措置は、2002年9月21日以降にマレーシア工業開発庁(MIDA)に受理された申請に適用されます。
2.2 農業部門に対する追加的優遇措置
- (i)再投資控除
-
主要食糧である米、とうもろこし、野菜、根菜類、家畜、水産物の生産や、その他財務大臣が認める事業に、少なくとも12ヶ月間従事している個人や企業は、再投資控除(RA)が得られます。
対象となる適格資本的支出は以下の通りです。
- 土地の開墾と整地。
- 作物の植え付け。
- 作物の栽培、牧畜、養殖、内陸漁業、深海漁業、その他農業・牧畜業のためにマレーシアで使用されるプラントや機械設備の導入。
- 橋架を含むアクセス道路の建設、建物(福利厚生用または居住用を含む)の建設や購入、また、作物栽培、動物飼育、養殖、内陸漁業、その他農業・牧畜業事業で使用される土地やその他構築物の構造的改良。このような道路・橋架・建物の建築、土地・構築物の構造的改良は、作物栽培、動物飼育、養殖、内陸漁業、その他の農業牧畜業事業の目的で使用される土地の一部になされたものでなければなりません。
再投資控除は、初めて再投資が行われた年から15年間に発生した適格資本的支出の60%に相当する控除枠という形で与えられます。この控除枠で、賦課年度の法定所得の70%を相殺できます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に再投資する企業は、賦課年度の法定所得の100%を相殺することができます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (ii)資源利用型産業への再投資に対する優遇措置
-
この優遇措置は、輸出される可能性があるゴム、パーム油、木材関連産業の地元資本の企業(マレーシア資本が最低51%の会社)に対して与えられます。拡張目的で再投資を行うこれらの産業の企業は、再度のパイオニア・ステータスか投資税額控除(ITA)の対象となります。奨励地域(サバ州、サラワク州、半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」)に立地する企業は、奨励地域向け更に優遇されたパイオニア・ステータスか投資税額控除の対象となります。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (iii)養鶏業およびアヒル/カモ飼育業近代化に対する優遇措置
-
近代化を促進し、環境に配慮した生産方法を農業部門に普及するため、従来型の屋外から室内での飼育に切り替えるための再投資を行う業者に対し、初めて再投資が行われた年から連続15年間の再投資控除が認められることとなりました。
この優遇措置は、室内での生産量が下記の生産量以上の場合適用されます。
- ブロイラー用の鶏およびアヒル/カモの場合は、1サイクルあたり20,000羽以上。
- 産卵用の鶏およびアヒル/カモの場合は、1サイクルあたり50,000羽以上。
- 鶏およびアヒル/カモの親鳥(またはその親)畜産の場合は、1サイクルあたり20,000羽以上。
このブロイラー用および産卵用の鶏およびアヒル/カモに対する優遇措置は、2003年課税賦課年度から適用されています。一方、鶏およびアヒル/カモの親鳥(またはその親)の畜産の場合は、2005年賦課年度から対象となります。
対象となるプロジェクトは、農業農工省の認定を受けなければなりません。
申請書は国税局(IRB)に提出します。
- (iv)加速減価償却
-
再投資控除(RA)が満了した後に、奨励農業活動や食品に再投資する企業は、加速減価償却(ACA)を申請することができます。農業活動には、米、とうもろこし、野菜、根菜類、家畜、水産物の生産や、その他財務大臣が認める事業が含まれます。
資本的支出に対する加速償却制度は、初年度償却20%、年次償却40%となりますので、2年で全額を償却することができます。
申請書は、企業が奨励された農業活動を行っているか奨励された食品を生産していることを証明したマレーシア工業開発庁(MIDA)発行の文書を添えて、国税局(IRB)に提出します。
- (v)農業控除
-
農業活動を行う個人や会社は、1967年所得税法に基づき、特定の資本的支出に対して税制上の減価償却や特別産業建築物に対する税制上の減価償却を申請することができます。税制上の減価償却の対象となる適格資本的支出は以下の通りです。
- 土地の開墾と整地。
- 作物の植え付け。
- 作物の栽培、牧畜、養殖、内陸漁業、深海漁業、その他農業・牧畜業のためにマレーシアで使用されるプラントや機械設備の導入。
橋架を含むアクセス道路の建設、建物(福利厚生用または居住用を含む)の建設や購入、また、作物栽培、動物飼育、養殖、内陸漁業、その他農業・牧畜業事業で使用される土地やその他構築物の構造的改良。このような道路・橋架・建物の建築、土地・構築物の構造的改良は、作物栽培、動物飼育、養殖、内陸漁業、その他の農業牧畜業事業の目的で使用される土地の一部になされたものでなければなりません。
企業は上記の支出が発生した場合、既にパイオニア・ステータスや投資税額控除(ITA)を利用しているか否かに関わらず、この控除を受けることができます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (vi)ゴム・プランテーションに対する農業加速減価償却
-
家具産業へのゴム材の材料供給を確保するため、これまでゴムの木を植えていなかった会社がプランテーション総面積の 10%以上にゴムの木を植林した場合、農業加速減価償却の対象となります。これにより土地の開墾、ゴムの植林およびゴムの栽培維持にかかった経費の償却期間は、これまでの2年から1年に短縮されます。
この優遇措置は、2002年9月21日以降にプランテーション・一次産品省に受理されたプロジェクトに適用されます。
申請書はプランテーション・一次産品省に提出します。
- (vii)認可対象の農業事業の資本支出に対する100%控除
-
1967年所得税法の付表4Aは、財務大臣に承認された認可農業事業における資本支出に対して100%の控除を認めています。財務大臣によって定められているように、一定の期間内に財務省が定めた最小面積以上の農地を開拓し利用する農場によって、発生した適格資本的支出が対象となります。
認可農業事業とは、野菜・果物(パパイヤ、バナナ、パッション・フルーツ、スターフルーツ、グアバ、マンゴスティン)・芋類・根菜類・ハーブ・スパイス・飼料用穀物・水耕作物の耕作、観賞魚の養殖、魚と海老の養殖(池養殖、水槽養殖、海洋ケージ養殖、沖合海洋ケージ養殖)、トリガイ・蛎・ムール貝・海苔の養殖、小海老・海老・魚の孵化場、森林植林事業の特定の品種などです。
この優遇措置により、上記の事業を営む個人は、該当事業に関連して発生した資本的支出を、他の事業活動からの所得を含む総所得から控除することができます。総所得が少ない場合は、控除されなかった支出を次の賦課年度に繰り越すことができます。この控除を選択した場合、同一の資本的支出に対して他の資本控除や農業控除を得ることはできません。
控除の対象となる適格資本的支出は以下の通りです。
- 土地の開墾と整地。
- 作物の植え付け。
- 作物の栽培、牧畜、養殖、内陸漁業、深海漁業、その他農業・牧畜業のためにマレーシアで使用されるプラントや機械設備の導入。
- 橋架を含むアクセス道路の建設、建物(福利厚生用または居住用を含む)の建設や購入、また、作物栽培、動物飼育、養殖、内陸漁業、その他農業・牧畜業事業で使用される土地やその他構築物の構造的改良。このような道路・橋架・建物の建築、土地・構築物の構造的改良は、作物栽培、動物飼育、養殖、内陸漁業、その他の農業牧畜業事業の目的で使用される土地の一部になされたものでなければなりません。
この優遇措置は、1986年投資促進法の規定による優遇措置を受け、その納税優遇期間が開始または満了していない企業は対象外となります。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (viii)輸出増加価値に対する免税
-
生の果物、ドライフルーツ、生花、ドライフラワー、観賞植物、観賞魚を輸出する企業は、輸出増加価値の10%相当額の法定所得控除が得られます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (ix)食品用の冷蔵保存施設やサービス(コールドチェーン)を提供する企業に対する優遇措置
-
冷凍倉庫や冷凍車両設備や、国内生産された生鮮食品の収集や処理などの関連サービスを提供する企業は、パイオニア・ステータスか投資税額控除(ITA)の対象となります。奨励地域に立地する事業は、さらに有利なパイオニア・ステータスか投資税額控除が受けられます。
2003年9月13日以降にマレーシア工業開発庁に受理された、腐敗しやすい農産物用のコールドチェーンの設備・サービスに再投資する既存の企業からの申請は、以下の優遇措置の対象となります。
または、b) 5年間の追加的適格資本的支出の60%(奨励地域の場合は100%)に相当する投資控除枠。この控除枠で、各賦課年度の法定所得の70%(奨励地域の場合は100%)を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (x)ハラル認証、品質システム基準認証の取得費用に対する二重控除
-
「ハラル」食品を含む「ハラル」製品(イスラム教徒が消費する基準を満たす製品)の世界市場において、マレーシア企業の競争力を増強するため、以下の認証取得にかかる経費支出に対して、税務計算上の二重控除が与えられます。
この優遇措置は、2005年賦課年度から適用されます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (xi)ラタンおよび木製品の輸出の際の運送料に対する二重控除
-
ラタンおよび木製品(製材とベニアは除く)の輸出に従事する製造業者は、運送料に対する二重控除を受けることができます。
注:農業部門におけるその他の優遇措置については、セクション16をご参照ください。
3.観光産業に対する優遇措置
エコ・ツーリズムやアグロ・ツーリズム等を含む観光事業を対象とした優遇措置があります。対象となる事業には、ホテル業、ホリデーキャンプ場の建設、サマーキャンプ場などのレクリエーション事業、3,000人以上の収容規模を持つコンベンションセンターの建設が含まれます。
ホテル業とは以下の事業です。
- 中規模で低価格なホテルの建設(観光省によって認定された三ツ星以下のホテル)。
- 既存ホテルの規模拡大や近代化。
3.1 観光産業に対する主な優遇措置
- (i)パイオニア・ステータス
-
パイオニア・ステータスを認められた企業は、法人税の一部免税を5年間受けることができます。国際通商産業大臣によって定められる生産日から始まる免税期間中、法定所得の30%に対してのみ課税されます。
サバ州、サラワク州、ラブアン連邦直轄区、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に投資する企業は、5年間の優遇期間中、法定所得全額が免税となります。この優遇措置は、2010年12月31日までに受理されるすべての申請に適用されます。
2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (ii)投資税額控除
-
パイオニア・ステータスの代わりに、投資税額控除(ITA)を申請することもできます。投資税額控除を認められた企業は、最初に資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の60%に相当する控除枠が得られます。
企業は、この控除枠で賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。法的所得の残りの30%には、現行の法人税率が課税されます。
サバ州、サラワク州、ラブアン連邦直轄区、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」へ投資する企業は、5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する控除枠が与えられ、賦課年度の法定所得の100%を相殺することができます。既にこの優遇措置を認められているが操業を始めていない場合、あるいは申請済みで審査中のプロジェクトにも適用されます。この追加的優遇措置は、2010年12月31日までに申請されるすべてのプロジェクトに適用されます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (iii)ホテル・観光事業に対する追加的優遇措置
-
ホテルや観光事業において事業拡張・近代化・改修などに再投資する企業から、マレーシア工業開発庁に受理された申請は、再度のパイオニア・ステータスあるいは投資税額控除の対象となります。しかし、奨励地域に立地するホテルや観光プロジェクトは、奨励地域に与えられる優遇措置に従ったパイオニア・ステータスの対象となります。
または、b) 100%の投資控除枠が認められ、各賦課年度の法定所得の100%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
- (iv)豪華ヨット関連産業に対する優遇措置
- この産業は、観光産業の一貫として促進され、下記の優遇措置が与えられます。
- 豪華ヨットを建造する企業は、パイオニア・ステータスの対象となります。
- マレーシアのランカウイ島で豪華ヨットの修理とメンテナンスを行う企業は、5年間の法人税全額免税の対象となります。
- 豪華ヨットのチャーター・サービスを行う企業は、5年間の法人税全額免税の対象となります。
3.2 観光産業に対する追加的優遇措置
- (i)海外でのプロモーション活動に対する二重控除
- ホテルや旅行会社は、海外でのプロモーション活動に伴う支出に対して、二重控除を得ることができます。対象となる支出は以下の通りです。
- マレーシア国外でのマスメディアを使った広報費や広告費。
- 海外顧客への無料配布の配達料を含んだ、冊子、雑誌、ガイドブックの出版費。
- 観光大臣の事前許可を得た、新しい海外市場の市場調査費用。
- 広告の契約交渉や締結のためや、観光大臣によって認められたトレード・フェア、会議 フォーラムに参加するためのマレーシア国外への渡航費を含む費用。この経費は、海外滞在期間中の宿泊費は1日RM300まで、食費は1日RM150までを条件としています。
- 観光大臣が認可するトレード・フェア、会議、フォーラムの開催費。
- マレーシアへの観光促進を目的とする海外営業所の維持費。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (ii)認可トレード・フェア参加に対する二重控除
- 企業は、マレーシア国内で開催される優遇対象として認可された国際トレード・フェアへの参加に伴う支出に対して、二重控除が得られます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (iii)旅行会社に対する免税
- a) 外国人観光客
空路、陸路、海路でマレーシアに入出国する団体包括旅行を通じて、少なくとも年間500人以上の外国人観光客を入国させる旅行会社は、ツアーアレンジで得た収益に対して免税が得られます。この優遇措置は、観光省に認可を受けた旅行会社に適用されます。b) 国内観光客
少なくとも年間1,200人の旅行者に対する国内のパッケージ・ツアーをアレンジする企業は、収益に対して免税が得られます。国内旅行とは、地元の旅行者による、最低一泊を伴う空路、陸路、海路によるマレーシア国内のパッケージ・ツアーのことです(マレーシア人の海外からの帰国に伴う旅行を除く)。
この優遇措置は、2006年賦課年度まで適用されます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (iv)国際会議と国際見本市の促進に対する免税
- a) マレーシアでの国際会議を促進する地元の企業は、500人以上の外国人参加者の国内への動員によって得た収益に対して、免税を受けることができます。b) マレーシアでの国際見本市の開催による収益は、展示会がマレーシア貿易開発公社(MATRADE)によって認可され、開催者が年間500人以上の外国人訪問者を動員するものであれば、免税の対象となります。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (v)文化的パフォーマンスに対する控除
- 観光省によって認可された音楽や文化グループ設立や運営や、国内や海外の文化パフォーマンスのスポンサーとなることによって支出があった企業は、その支出を全額経費として控除することができます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (vi)レンタカー業者に対する優遇措置
-
観光客対象のレンタカー業者は、国産車の購入に対して物品税の免税が得られます。
申請書は、財務省に提出します。
注:観光業に対するその他の優遇措置については、セクション16をご参照ください。
4.環境マネージメントに対する優遇措置
4.1 森林プランテーション事業に対する優遇措置
森林プランテーション事業を行う企業は、戦略的プロジェクトとしての優遇措置が適用されます。このプロジェクトは、下記の優遇措置の対象となります。
- 10年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は、期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除(ITA)で、該当賦課年度の法定所得の全額を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
4.2 危険廃棄物の貯蔵・処理・処分に対する優遇措置
有害で危険な廃棄物の貯蔵、処理、処分施設の設立を促進するための優遇措置がもうけられ、この3つすべての活動に統合的な方法で直接携わる企業は、下記の優遇措置の対象となります。
- 5年間の法定所得の70%が免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した資本的支出の60%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
サバ州、サラワク州、半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域に立地する事業は、より優遇された奨励地域対象のパイオニア・ステータスあるいは投資税額控除が得られます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
4.3 エネルギー保存に対する優遇措置
稼働コストを減らすと同時に環境保護を促進するために、エネルギー保存サービスを提供する企業は、下記の優遇措置の対象となります。
- 5年間の法定所得の70%が免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した資本的支出の60%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に投資する企業は、奨励地域に与えられる優遇措置に従ったパイオニア・ステータスや投資税額控除(ITA)の対象となります。
企業は、認可から1年以内に事業を開始しなければなりません。この優遇措置は、2010年12月31日までに受理される申請に適用されます。
自社内でエネルギー保存を行う企業もまた、5年間に発生した適格資本的支出の60%に相当する投資税額控除(ITA)の対象となります。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に投資する企業は、奨励地域に与えられる優遇措置に従った投資税額控除(ITA)の対象となります。
この優遇措置は、2005年10月1日から2010年12月31日までに受理される申請に適用されます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
4.4 廃棄物リサイクルに対する優遇措置
高付加価値でハイテク技術を使った廃棄物リサイクル事業を行う企業は、パイオニア・ステータスや投資税額控除(ITA)を得ることができます。サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」での活動に対しては、パイオニア・ステータスや投資税額控除で、より有利な免税や控除が与えられます。対象事業には、農業廃棄物、農業副産物、化学製品のリサイクル、再生木材パネルボード・その他木製品の生産などが含まれます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
4.5 再生可能なエネルギー資源使用促進のための優遇措置
再生可能で環境に優しいバイオマス、水力(10メガワット未満)、太陽熱などを活用したエネルギー発電を行う企業は、下記の優遇措置の対象となります。
- 5年間の法定所得の100%が免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した資本的支出の100%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の100%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
これらの優遇措置は、2005年10月1日から2010年12月31日までに申請されるプロジェクトに適用されます。既にこの優遇措置を認められているが操業を始めていない企業も、この優遇措置の対象となります。企業は認可日から1年以内にプロジェクトを開始しなければなりません。
この優遇措置においては、「バイオマス源」とは、パームオイル搾油工場や農園の廃棄物、精米所の廃棄物、サトウキビ圧搾所の廃棄物、木材や製材工場の廃棄物、再生紙工場の廃棄物、地方自治体の廃棄物とバイオガス(埋立地、パームオイル搾油工場排水(POME)、動物の排泄物などからのもの)を指し、この優遇措置におけるエネルギーの形態は、電気、スチーム、冷却水、熱を指します。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
4.6 環境マネージメントに対する追加的優遇措置
- (i)加速減価償却
- この優遇措置により、機械や設備に対する資本的支出に対して、初年度40%、次年度以降20%(3年間で償却)の特別控除が、下記に対して与えられます。
- その会社自体が廃棄物の発生元で、その廃棄物を貯蔵、処理、処分するための設備を敷地内か敷地外に設置する企業。
- 廃棄物リサイクル事業を行う企業。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
自社のエネルギー消費を削減するための設備投資を行った企業の場合、2003年度の賦課年度より償却期間が1年に短縮されました。該当機材がエネルギー削減目的のためだけに使用されることを証明したエネルギー・水道・通信省発行の手紙を申請書に添えて、国税局に提出しなければなりません。
- (ii)自社用の再生可能なエネルギーの発電用機材に対する加速減価償却
-
再生可能なエネルギーの使用をさらに促進するため、企業が自社で消費するために再生可能なエネルギー源からエネルギーを発電する際に使用する機材に対して、一年間に渡る加速減価償却が、2005年賦課年度から与えられます。
加速減価償却の対象となる機材は、財務省により定められます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
注: 環境マネージメントに関するその他の優遇措置については、セクション16をご参照ください。
5.研究開発に対する優遇措置
1986年投資促進法は、研究開発(R&D)を次のように定義しています。「科学技術分野における系統的あるいは集約的な研究で、その研究結果を、材料、装置、製品、生産物、加工品の生産や改善のために利用することを目的とした活動。ただし、以下は除きます。
- 製品の品質管理や、材料、装置、製品、生産物の定期的な検査
- 社会科学や人文学における研究
- 定期的なデータ収集
- 効率調査や経営研究
- 市場調査や販売促進
マレーシアのより統合された研究開発の基盤をさらに強化するために、設計や試作を独立した企業活動として行う企業もまた、優遇措置を得ることができます。
5.1 研究開発に対する主な優遇措置
- (i)請負(コントラクト)研究開発(R&D)企業
- 請負(コントラクト)研究開発(R&D)企業(自社関連会社以外の外部の会社に対して研究開発サービスをマレーシアで行う会社)は、下記の優遇措置の対象となります。
- 5年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 10年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除で、賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (ii)研究開発(R&D)企業
-
研究開発(R&D)企業(自社の関連会社および外部の会社双方に対して研究開発サービスをマレーシアで行なう会社)は、10年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除(ITA)を得ることができます。この投資税額控除枠で、賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。研究開発企業が投資税額控除を利用しないことを選択した場合は、顧客となった関連会社はサービスの対価として支払った研究開発企業への支払いに対して、二重控除を受けることができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- 資格:
- 請負研究開発(R&D)企業と研究開発(R&D)企業は、以下の基準を満たすことにより、様々な優遇措置を申請することができます。
a) 実施される研究が国家のニーズに沿い、マレーシアの経済に恩恵をもたらすこと。 b) 企業の所得の少なくとも70%が、研究開発活動から得たものであること。 c) 製造業関連の研究開発の場合は、従業員の少なくとも50%が研究や技術的職務を行う適切な資格を持った人材であること。 d) 農業関連の研究開発の場合は、従業員の少なくとも5%が研究や技術的職務を行う適切な資格を持った人材であること。
- (iii)社内研究開発
-
社内研究開発を行う企業は、10年間に発生した適格資本的支出に対する50%に相当する投資税額控除(ITA)を申請することができます。この投資税額控除枠で、賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (iv)二回目の優遇措置
-
2003年5月21日より、上記(i)から(iii)に該当する事業を行う研究開発企業は、更に5年間のパイオニア・ステータスあるいは10年間の投資税額控除の対象となります。
- (v)公的研究機関の商業化に対する優遇措置
-
公的研究機関が開発した資源利用型の研究開発成果の商業化を奨励するため、以下の優遇措置が導入されました。
a) 研究開発成果の商業化に従事する子会社に投資する会社は、子会社への投資額に相当する税額控除を受けることができます。 b) 研究開発成果の商業化に従事する子会社は、10年間の法定所得が全額免除となるパイオニア・ステータスを受けることができます。
この優遇措置を受けるためには、下記の条件を満たす必要があります。
- 投資会社(親会社)および商業化に従事する子会社の70%以上がマレーシア資本であること。
- 研究開発成果の商業化に従事する子会社に対する親会社の資本保有比率が70%以上であること。
- 研究開発成果の商業化事業が、優遇措置の認可日から1年以内に開始されること。
この優遇措置は、2004年9月11日以降に受理された申請が対象となります。
5.2 研究開発に対する追加的優遇措置
- (i)研究開発に対する二重控除
- 企業は、財務大臣の認可対象となる研究開発を直接行った際の収益的(非資本的)支出に対して、二重控除を受けることができます。
- 二重控除は、認可研究機関に対する寄付金や献金、および認可研究機関、認可研究会社、研究開発会社、、請負研究開発会社から受けたサービスに対する支払いにも適用されます。
- 2003年5月21日以降認可された研究開発事業を実施している期間中に発生した経費の累積支出は、パイオニア・ステータス期間終了後に再度損金処理することが出来ます。
- マレーシア人の従業員を海外でトレーニングした場合も含め、海外で支出した研究開発のための支出はケース・バイ・ケースで二重控除することができます。
この申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (ii)研究成果を商業化するための研究者に対する優遇措置
-
2004年賦課年度から、付加価値の創出に焦点をあてた研究に従事している研究者は、その研究成果の商業化により報酬として受け取る所得に対して、50%の免税を5年間受けることができます。対象となる事業は、科学技術・技術革新省の証明を受ける必要があります。
この申請書は、国税局(IRB)に提出します。
注: 研究開発に関するその他の優遇措置については、セクション16をご参照ください。
6.研修に対する優遇措置
6.1 研修に対する主な優遇措置
人材開発を推進するために、以下の優遇措置が与えられます。
- 投資税額控除
-
技術や職業訓練施設を設立した企業は、10年間100%の投資税額控除(ITA)が得られます。 この控除枠で、該当賦課年度の法定所得の70%を相殺することができます。
技術や職業訓練を提供している既存企業で、トレーニング設備の向上や規模拡大のために新たに投資する企業も、この優遇措置の対象となります。
2005年10月1日から、下記の分野も優遇措置の対象となっています。
- 科学分野の私立高等教育機関(PHEI)。
- 科学分野の既存の私立高等教育機関(PHEI)で、研修機器の改良や研修分野の拡張などに新規投資する場合。
対象となる科学科目は下記の通りです。
- i. バイオテクノロジー
- 医療保健バイオテクノロジー
- 植物バイオテクノロジー
- 食品バイオテクノロジー
- 工業・環境バイオテクノロジー
- 製薬バイオテクノロジー
- バイオインフォマティクス・バイオテクノロジー
- ii. 医療保健サイエンス
- 老化学における医療サイエンス
- 臨床研究における医療サイエンス
- 医療バイオサイエンス
- 生化学遺伝学
- 環境衛生
- 地域医療
- iii. 分子生態学
- 免疫学
- 免疫遺伝学
- 免疫生物学
- iv. マテリアル科学とテクノロジー
- v. 食品サイエンスとテクノロジー
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
6.2 研修に対するその他の優遇措置
- (i)特別産業建物控除
-
技認可された産業訓練、技術訓練、職業訓練に使用される建築物に支出した企業は、10年間控除枠10%の特別産業建物控除(IBA)を申請することができます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (ii)教育施設に対する免税
-
認可された研修機関や企業内研修事業以外の、民間の高等訓練機関は、実験機器、作業場、スタジオ、語学実習教室などの教育設備に対する、輸入税、販売税、物品税の免除が受けられます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (iii)ロイヤリティ支払いの免税
-
教育省が認可したフランチャイズされた教育プログラムのために、教育機関が非居住者(フランチャイズ主宰者)に支払ったロイヤリティは、源泉税の免除を申請することができます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
注:研修に対するその他の優遇措置は、セクション16をご参照ください。
7.情報通信技術(ICT)に対する優遇措置
7.1 情報通信技術(ICT)に対する主な優遇措置
- ソフトウェア開発に対する優遇措置
-
コンピュータ・ソフトウェアの開発を奨励する政府の方針に基づき、オリジナル・ソフトウェアの開発や、すでに確立済と思われるソフトウェア以外の既存ソフトウェアの大幅な改造を行う企業は、法定所得の70%が5年間免税となるパイオニア・ステータスを申請することができます。この優遇措置は、下記のガイドラインに基づき与えられます。
コンピュータ・ソフトウェアは汎用性を持つものであり、特定の顧客用のものであってはなりません。既存のソフトウェア・パッケージの改造を行う企業は、既存のソフトウェアの取得費用が、ソフトウェアツール、人件費、設備費を含む改造に要する費用の25%を超えてはいけません。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
7.2 情報通信技術(ICT)の使用に対する追加的優遇措置
- (i) 加速減価償却
-
ソフトウェアを含むコンピュータや情報通信機器に対して、企業は、初年度償却20%、年次償却40%の控除枠が得られます。従って、2年間で全額を償却することができます。
ホームページの開発に伴う費用は、20%の年間控除が得られ、5年間で全額を償却することができます。 - (i) 情報通信技術(ICT)に対するその他の優遇措置
- 下記の費用に対して、単純控除が与えられます。
- 経営管理や生産工程の改善のため情報技術(IT)を利用する際に伴う、コンサルタントへの支払いを含む運営費。
- 賦課年度2003年までの、地元地域社会における情報通信技術(ICT)啓蒙プロジェクトに対する、現金または現物による寄付。
- 雇用者から従業員に与えられたコンピュータは、賦課年度2003年までは現物給与とはみなされません。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (iii)輸出増加価値に対する免税
-
情報通信技術(ICT)部門の企業は、輸出増加価値の50%に相当する法定所得の免税に申請することができます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
注:情報通信技術(ICT)部門に対するその他の優遇措置は、セクション16をご参照ください。
8.認可サービス事業に対する優遇措置
認可サービス事業(ASP)や、財務省に認可された輸送、通信、公益事業サブセクターのプロジェクトは、下記の税制優遇措置の対象となります。
8.1 認可サービス事業に対する主な優遇措置
- (i) 1967年所得税法第127条による免税
-
通常、1967年所得税法第127条に基づいて認可サービス事業を行う企業は、5年間の法定所得の70%相当が控除される措置を申請することができます。しかし、サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に立地する会社は、5年間法定所得に対して85%の控除が得られます。国家的戦略的重要性をもつ認可サービス事業を行う企業は、10年間の法定所得が全額免税となります。
申請書は、財務省に提出します。
- (ii) 1967年所得税法第7B条の投資控除(IA)
-
1967 年所得税法第7B条の投資控除(IA)は、127条で提供される所得税控除優遇措置の一つです。通常、認可サービス事業を行う企業は、資本的支出が最初に発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の60%に相当する投資控除枠を得ることができます。この控除枠で法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
しかし、サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に立地する会社は、80%の投資控除枠(IA)が認められ、法定所得の85%を相殺することができます。
国家的戦略的重要性のある認可サービス事業を行う企業は、資本的支出が最初に発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の全額の投資控除枠が与えられます。この投資控除枠で、法定所得の100%を相殺することができます。
申請書は、財務省に提出します。
8.2 認可サービス事業に対する追加的優遇措置
原材料/コンポーネント/機械/装置/スペアパーツ/消耗品に対する輸入税、販売税および物品税の免除。
会社は、認可サービス事業で直接使用される、国内で入手不可能な原材料/コンポーネントに対する輸入税と販売税の免除を受けることができます。会社は、認可サービス事業で使用される、国内で購入した機械/装置についても販売税と物品税の免除が受けられます。
輸送サービス、通信サービスを供給する会社、発電所の運営および港湾の運営を行う会社は、国内で生産されていないスペア・パーツや消耗品の輸入税および販売税の免除を受けることができます。
申請書は、財務省に提出します。
注:認可サービス事業(ASP)に対するその他の優遇措置は、セクション16をご参照ください。
9.船舶・輸送機器産業に対する優遇措置
9.1 船舶運営に対する免税
マレーシア船舶の運営に伴う船舶会社の所得は免税です。この優遇措置は、居住者にのみ適用されます。「マレーシア船舶」とは、1952年商船法令(改定)に基づき遠洋航海船として登録された船のうち、フェリー、遊覧船、タグボート、補給船、乗組員用ボート、はしけ、浚渫船、釣り舟やその他これらに類する船以外のものを指します。
「マレーシア船舶」の船上での雇用から得た個人所得は免税です。マレーシア船舶へのISOコンテナーのレンタルによる非居住者の所得も免税になります。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
9.2 コンテナー先頭車やトレーラーに対する輸入税と販売税の免税
コンテナー運送業者は、国内で生産されていないコンテナー先頭車やトレーラーに対する輸入税と販売税の免税を得られます。国内で生産されているコンテナー先頭車とトレーラーについても、販売税の免税が考慮されます。
申請書は、財務省に提出します。
9.船舶・輸送機器産業に対する優遇措置
9.1 船舶運営に対する免税
マレーシア船舶の運営に伴う船舶会社の所得は免税です。この優遇措置は、居住者にのみ適用されます。「マレーシア船舶」とは、1952年商船法令 (改定)に基づき遠洋航海船として登録された船のうち、フェリー、遊覧船、タグボート、補給船、乗組員用ボート、はしけ、浚渫船、釣り舟やその他これらに類する船以外のものを指します。
「マレーシア船舶」の船上での雇用から得た個人所得は免税です。マレーシア船舶へのISOコンテナーのレンタルによる非居住者の所得も免税になります。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
10.マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)に対する優遇措置
マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)は、マレーシアの現在の首都でありビジネスの中心地であるクアラルンプールから南へ広がる東西15km南北 50km(9マイルx30マイル)の地城を指し、マルチメディア製品やサービスを創出し、流通させ、また利用する企業にとって、完璧な環境を提供している地域です。
MSCステータスは、情報通信技術事業に参加し実施する企業を対象としたマルチメディア開発公社(MDC)を通じ、マレーシア政府により認定される資格です。MSCステータスを取得した企業は、マレーシア政府の公約に基づいた一連の優遇措置と恩典を得ることができます。
10.1 MSCステータス企業に対する主な優遇措置
サイバージャヤ、テクノロジーパーク・マレーシア、クアラルンプール市街地、クアラルンプール・タワー、ペナン州のバヤンレパス、ケダ州のクリム・ハイテクパークなどのサイバー・シティー内で事業をしているMSCステータスのマルチメディア企業や、サイバー・シティー域外の高等教育機関内のマルチメディア施設は、下記の優遇措置の対象となります。
- 初回として、10年間の法定所得の全額が免税となるパイオニア・ステータスまたは5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除で、賦課年度の法定所得の100%を相殺することができます。
- 研究開発助成金の受給資格(マレーシア資本がマジョリティーのMSCステータス企業対象)。
MSCステータスの申請はマルチメディア開発公社(MDC)に提出します。
その他のメリット
- マルチメディア機器の免税輸入。
- 知的所有権の保護とサイバー法の先駆的包括的枠組み。
- インターネットに対する検閲を行わない。
- 世界水準の物理的インフラと情報インフラの提供。
- 世界的に競争力のあるテレコミュニケーション・インフラ使用料と質の高いサービス。
- マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)内でのコンサルタントやアシスタントを提供する強力な実施機関としてのマルチメディア開発公社(MDC)のサポート。
- 質の高い計画された都市開発。
- 優れた研究開発施設。
- 緑豊かな環境の保護。
10.2 サイバー・シティー域外の情報通信技術(ICT)やマルチメディア事業に対する優遇措置
サイバー・シティー域外でのシェアサービスを含む、情報通信技術(ICT)やマルチメディア事業を行う特定の企業は、下記の優遇措置の対象となります。
- 5年間の法定所得の50%が免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した適格資本的支出の50%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除で、賦課年度の法定所得の50%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
この優遇措置は、2005年10月1日以降にマルチメディア開発公社(MDC)に受理された申請に適用されます。
11.知識集約型経済の発展に寄与する事業活動に対する優遇措置
マレーシアは、従来の生産重視型産業から知識重視型産業への転換を図りつつあります。これらの知識集約型事業活動の発展を奨励するため対象としての基準を満たす企業は「戦略的知識集約産業」としてのステータスが認定されます。そのためには下記の基準を満たす必要があります。
- 知識集約事業を行う能力。
- 高付加価値な業務。
- ハイテク技術の利用。
- 知的活動に従事する従業員を数多く雇用。
- 知的集約事業実行の企業マスタープランを保持。
この「戦略的知識集約産業」としてのステータスを認定された企業は下記の優遇措置を受けることができます。
- 5年間の法定所得が全額免税となるパイオニア・ステータス。2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
または、 - 5年間に発生した適格資本的支出の60%に相当する投資税額控除(ITA)。この控除枠で、賦課年度の法定所得の100%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。
この優遇措置は、2002年9月21日以降にマレーシア工業開発庁(MIDA)に受理された申請に適用されます。
2003年賦課年度から、経済の知識集約化に貢献するための企業マスタープランを作成する場合は、税務申告の際にその経費を控除することが可能になります。会社は、その企業マスタープランを実行する賦課年度から控除を要請することができます。
12.製造関連サービスに対する優遇措置
下記の付加価値製造関連サービスを提供する企業は、優遇措置の対象となります。
- ソフトウェアとハードウェアの調達、倉庫業、流通(輸送・貨物運送)、梱包作業、税関手続きなどを含む、全体的なサプライチェーン・マネージメントから構成される統合的ロジスティック・サービス。
- ブランド開発、消費者開発、パッケージ・デザイン、広告、プロモーションなどの事業から構成される統合的マーケット・サポートサービス。
- スチーム、脱塩水、工業用ガスの供給などのサービスを提供する統合的セントラル・ユーティリティー施設。
- 冷凍室、冷蔵トラックや、国内生産の生鮮食品の集配、保存、流通などの関連サービスを含む広範囲なサービスを提供するコールドチェーン施設。
- (i) パイオニア・ステータス
-
製造関連サービス企業は5年間の法定所得の70%が免税になるパイオニアステータスの対象となります。
サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に投資する企業は、5年間の法定所得100%が免税となります。この優遇措置は、2010年12月31日までに申請されるすべてのプロジェクトに適用されます。
2005年10月1日以後にパイオニア・ステータスの期限が終了する企業の、認可期限内に発生する累積損失や未控除の減価償却は期限終了後に繰り越され、同じ奨励事業や奨励製品に関連する事業によるパイオニア・ステータス終了後の所得を相殺することができます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (ii) 投資税額控除
-
パイオニア・ステータスの代わりに、投資税額控除(ITA)を申請することもできます。投資税額控除を認められた企業は、適格資本的支出が発生した日から5年間に発生した適格資本的支出の60%に相当する投資税額控除が得られます。
この投資税額控除枠で、毎賦課年度年の法定所得の70%を相殺することができます。未利用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。法定所得の残り30%は、現行の法人税率が課税されます。
サバ州、サラワク州、ラブアン連邦直轄区、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に投資する企業は、5年間に発生した適格資本的支出の100%に相当する控除枠が与えられます。この控除枠で、賦課年度の法定所得の100%を相殺することができます。既にこの優遇措置を認められているが操業を始めていない場合、あるいは申請済みで審査中のプロジェクトにも適用されます。この追加的優遇措置は、2010年12月31日までに受理されるすべての申請に適用されます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
注:その他の製造関連サービスセクターに関する優遇措置は、セクション16をご参照ください。
13. 経営統括本部に対する優遇措置
認可経営統括本部(OHQ)とは、マレーシア国内で設立された現地法人で、マレーシア国内外の関連事務所や関連会社に適格サービスを提供するビジネスをマレーシアにおいて行う企業のことです。
マレーシアで経営統括本部(OHQ)を設立する企業は、OHQ優遇措置プログラムのもと、税制優遇措置と便益の対象になります。企業には、OHQステータスと、マレーシア国内外の事務所や関連企業に対して提供する適格サービスに関して1967年所得税法の第127条に基づく税制優遇措置が与えられます。
13.1 OHQステータスと優遇措置とその他の便益の認可
下記の適格基準を満たしている企業は、OHQステータスと優遇措置に申請することができます。
- 1965年会社法に基づき設立された現地法人。
- 払込資本金がRM50万以上。
- 年間総支出(運営費)がRM150万以上。
- 3名以上の管理職/役職クラスの従業員がいること。
- マレーシア国外にある3社以上の関連企業にサービスを提供していること。
- マレーシア国外にある親会社、本社、関連会社を含む、相当大きな企業ネットワークがあること。
- 資格を持った専門家、技術者、職員など相当多数の従業員を抱える企業間のネットワークが確立していること。
- 3種類以上の適格サービスを実施していること。
- 適格サービスとは、下記の通りです。
- -全般的なマネージメントと管理。 -ビジネス・プラン作成とコーディネーション。 -原材料、コンポーネント、完成品の調達のコーディネーション。 -技術サポート・サービスとメンテナンス。 -マーケティング管理と販売促進プランニング。 -データ/情報の管理と処理。 -マレーシア国内外にある関連事業所や関連企業に代わってマレーシアで実施される研究開発(R&D)活動。 -マレーシア国内外にある関連事業所や関連企業に対する従業員の訓練と人事管理。 -マレーシア国外にある関連事業所や関連企業に対する、下記の財務ファンドマネージメント・サービス。 -外国政府、マレーシア国外の外国銀行、マレーシアの現地法人や居住会社でない企業によって発行された外貨建ての株式や有価証券(国債、手形、預金証書や国庫証券証書を含む)を取引または投資するための信用供与の提供。 -ラブアンにあるオフショア銀行によって発行された、外貨建ての預金証書、手形、国債の取引や投資。 -マレーシア国内の指定された銀行やラブアンにあるオフショア銀行での外貨預金への投資。 -外貨建てで、認可を受けたディーラーやラブアンにある認可オフショア銀行を通して実施される、ヘッジを目的とした外国為替取引や金利/通貨スワップ。 -マレーシア中央銀行であるバンク・ネガラ・マレーシア(BNM)によって認められた取引メンバーとの、ヘッジを目的とした金融先物契約やオプションの取引。
財務ファンドマネージメント・サービスの運用資金は、マレーシアにある認可を受けた銀行やラブアンにあるオフショア銀行からの借入れ金、経営統括本部(OHQ)の払込資本金、認可活動から得た利益剰余金、当該事務所の利益剰余金、マレーシア国外からの借入れ金などを通じてのみ取得されます。
金融機関によって設置された経営統括本部(OHQ)は、その関連会社が1989年金融ファイナンシャル機関法(BAFIA)に基づきライセンスを取得した金融機関でない限り、財務ファンドマネージメント・サービスをマレーシア国内にある関連会社に提供することが禁止されています。
- -マレーシア国外にある関連事業所や関連企業に対する、下記のコーポレート金融アドバイザリー・サービス。 -関連会社に対するマレーシア・リンギット以外の通貨建ての与信管理の提供。 -関連会社に対するマレーシア・リンギット以外の通貨建ての信用供与のアレンジ。 -マレーシア・リンギット以外の通貨での金利スワップや通貨スワップのアレンジ。 -経営統括本部(OHQ)は、関連会社が抱える損失やマレーシア国外の第三者からの損失を、割引価格で引き受けることができます(ファクタリング)。 -関連会社間で請求された製品やサービスを、経営統括本部によって再度請求することもできます。(リインボイス)。 -マレーシアから輸出された製品の輸出売上高以外であれば、関連会社と経営統括部間との支払いのネッティングは自由に認められています。 -経営統括本部(OHQ)は、機械、機器、不動産を、関連会社にリースすることを目的として購入することができます(リース)。 -経営統括本部(OHQ)は、関連会社が保有する機械、機器、不動産を、関連会社にリース・バックすることを目的として購入することができます(リース契約付き売却)。
13.2 出資比率条件
1967年所得税法の第127条に基づいてOHQステータスと優遇措置を得た企業は、100%の外国資本保有が認められます。
13.3 優遇措置
経営統括本部(OHQ)と認められた場合は、下記による所得に対して、1967年所得税法第127条に基づいて10年間の免税の対象となります。
-営業所得
経営統括本部(OHQ)がマレーシア国外にある関連事務所や関連会社に提供したサービスによる所得。 -利息
経営統括本部(OHQ)がマレーシア国外にある関連事務所や関連企業に貸し付けた外貨ローンの利息から得た所得。 -ロイヤリティ
マレーシア国外にある関連事務所や関連企業に代わって経営統括本部(OHQ)がマレーシアで実施した研究開発活動から得たロイヤリティ。
経営統括本部(OHQ)が、マレーシアの関連事務所や関連会社に提供したOHQ適格サービスによって発生する所得は、その所得が適格サービス提供による全所得の20%を超えないことを条件に、その免税期間中は課税されません。20%の限度を超過した所得は、免税対象になりません。
既存の経営統括本部(OHQ)には、残りの免税期間中、100%の所得税免除が与えられます。
申請書は財務省に提出します。
13.4 その他の便益
経営統括本部(OHQ)に与えられるその他の便益は、下記の通りです。
- 輸出収益を外貨で金額にかかわらず保持するため、認可オンショア銀行における外貨建て口座(FCA)の開設。
- 輸出収益以外の外貨売掛金を預金するため、認可オンショア銀行、ラブアンにおける認可オフショア銀行、海外銀行などに、翌日繰越保有残高の制限がない外貨建て口座(FCA)の開設。
- リンギット建て国内信用供与を、金額の制限無く取得。
- 経営統括本部(OHQ)が居住者の代わりに貸出しを行ったり資金を募ったりしないことを条件に、外貨建て信用供与をマレーシアの認可オンショア銀行、認可マーチャントバンク、非居住者などから、金額の制限無く取得。
- 外貨基金または借入れによって出資される、関連会社への信用供与提供を含む、金額の制限のない海外投資。また、国内信用供与がない場合、または国内信用供与があっても暦年RM1,000万までの場合、海外投資のために、リンギットを金額の制限無く両替することができます。
- マレーシア国内ではそのサービスが受けられない場合、外国企業の専門サービスを利用することができます。
- 経営統括本部(OHQ)の運営のために使用する目的であれば、固定資産を保有することが認められています。
- 経営統括本部(OHQ)の駐在員は、マレーシア滞在日数に基づく課税対象所得に対してのみ課税されます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
14. 国際調達センター/地域流通センターに対する優遇措置
- 国際調達センター(IPC)
-
国際調達センター(IPC)とは、マレーシア国内で設立された現地法人で、国内外の関連企業や非関連企業のグループに、原材料、部品、完成品の調達や販売などのビジネスをマレーシアで行う企業のことです。これには、マレーシア国内および第三国の供給元からの調達や販売も含みます。
- 地域流通センター(RDC)
-
地域流通センター(RDC)とは、自社グループにより自社ブランドとして生産された完成品、コンポーネント、スペアパーツを、国内外のディーラー、輸入業者、子会社、その他非関連会社に流通する目的で設立される集貨・統合センターのことです。そのような付加価値
活動には、バルクブレーク、再包装、ラベリングなどが含まれます。
14.1 IPC/RDCステータスの認可
下記の適格基準を満たしている企業は、IPC/RDC ステータスに申請することができます。
- 1965年の会社法にに基づき設立された現地法人。
- 払込資本金がRM50万以上。
- 年間総支出(運営費)がRM150万以上。
- マレーシアの港湾、空港施設を使用すること。
- 操業3年目までに、年間総売上がRM5,000万以上。
- 国内売上が年間総売上の20%を超えないこと。
- 海外直送向けとしてマレーシア国外からの製品調達による所得が、年間総売上の30%を超えないこと。
14.2 出資比率条件
1967年所得税法の第127条に基づいてIPC/RDCステータスや優遇措置を得た企業は、100%の外国出資保有が認められます。
14.3 優遇措置
認可されたIPC/RDCステータス企業は、下記の優遇措置の対象となります。
- 1967年所得税法の第127条に基づき、10年間の法定所得税の全額免除。
- 免税所得からの配当は所得税支払済みの所得とみなされます。
- 適格資格:
-
しかし、上記の優遇措置の対象となるには、認可IPC/RDCステータス企業は下記の追加条件も満たさなければなりません。
- 年間売上がRM1億以上であること。
- 自由地域(FZ)や保税倉庫(LMW)に対する販売を含む国内市場向けの売上が、総売上の20%以下であること。国内市場での売上が20%を超える場合は、超過した売上は免税対象になりません。
14.4 その他の便益
認可IPC/RDCステータス企業は、下記の便益を受けることができます。
- 国際調達センター/地域流通センター(IPC/RDC)の要求に基づく外国人駐在員ポスト。
- 輸出収益を無制限に保持するために、認可商業銀行に複数の外貨口座(FCA)の開設。
- 予想売上に基づく輸出収益を先売りするため、認定商業銀行と外国為替先物契約の締結。
- 最終消費者に配送する前の再梱包、貨物混載や貨物統合のため、原材料、コンポーネント、完成品を、自由工業地域(FIZ)、自由商業地域(FCZ)、保税倉庫(LMW)、認可をうけた倉庫などに持ちこむ際の関税免除。
14.5 外国人就業者雇用
IPC/RDCステータスを申請する企業は、キーポストやタイムポストと呼ばれる、外国人駐在員ポストを同時に申請できます。入国の際、企業は雇用パスの申請を裏書保証のため入国管理局に提出します。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
15. 駐在員事務所と地域事務所のための優遇措置
駐在員事務所(Representative Office)および地域事務所(Regional Office)とは、本社/本店に代わって認められた活動を行う、マレーシアにおいて設立された外国企業の事務所のことです。このような事務所は、すべてマレーシア国外の出資元から資金提供されなければならず、1965年会社法に基づきマレーシア企業委員会(CCM)に登録したり、現地法人を設立する必要はありません。
- 駐在員事務所
-
駐在員事務所とは、二国間貿易関係を促進したり、マレーシア製品の輸出を促進するために、投資やビジネス機会に関する情報を収集する事務所です。
- 地域事務所
-
地域事務所とは、アジア大洋州地域にある自社の関連企業、子会社、代理店の調整センターとしての役割を担う事務所です。地域事務所は、運営地域における指定された活動の運営について責任を担っています。
駐在員事務所/地域事務所の設立と外国人駐在員雇用の認可は2年間有効で、その後更新が可能です。
15.1 認められる活動範囲
駐在員事務所/地域事務所は、下記の活動を行うことが認められています。
- 事業活動の企画や調整。
- 情報の収集分析およびマレーシアまたは地域における投資やビジネス機会についてのフィージビリティ・スタディ。
- 原材料、コンポーネント、その他工業製品の発掘。
- 研究および製品開発の実施。
- 地域における関連会社、子会社、代理店の調整センター。
15.2 認められない活動
駐在員事務所/地域事務所は、下記の活動を行うことが禁止されています。
- 商取引(輸出入を含む)、ビジネス活動またはその他すべての商業活動。
- 倉庫施設のリース。商品の発送/積換えや保管は、現地のエージェントまたはディストリビューターによって取り扱われなければなりません。
- 外国企業に代わってビジネスの契約にサインすること、あるいは対価を目的としてサービスを提供すること。
- マレーシアにある関連会社、子会社、支店などの通常業務に関わること。
- 商取引を行ったり、活動を通じて収益をあげたりすること。
15.3 出資比率条件
駐在員事務所/地域事務所はマレーシアで資本発行していないので、出資比率条件が課せられることはありません。
15.4 優遇措置
地域事務所の駐在員は、に対する課税対象所得は、マレーシア滞在日数分に基づく課税対象所得に対してのみ課税されます。
15.5 外国人就業者雇用
駐在員事務所/地域事務所は、管理職レベルか技術者レベルの駐在員を雇用することができます。
駐在員事務所/地域事務所設立や外国人駐在員ポストに対する申請は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
入国の際に、企業は雇用パスの申請書を裏書証明のため入国管理局に提出します。
マレーシアでの生活環境の詳細につきましては、「マレーシアでの外国人駐在員生活」をご参照ください。
16. 一般優遇措置
ここでは、これまで記載されなかったその他の優遇措置で、次の部門に適用できるものを取りあげます。製造業、農業、観光業、環境マネージメント、研究開発、研修、情報通信技術、認可サービス事業、製造関連サービス。
16.1 産業建物控除
産業建物控除 (IBA)は、製造業、農業、鉱業、インフラ設備、研究、認可サービス事業、観光省に登録されたホテルなどを含む、特別な目的に使用される建物の建設か購入のために資本的支出を伴う企業に与えられます。これにより、企業は初年度償却10%、年次償却以降3%の控除を得られます。この産業建物控除は30年間で償却することができます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.2 MSC内の産業建物控除
サイバージャヤ内にMSCステータス企業使用の建物建設を促進するため、サイバージャヤ内のMSCステータス企業が占有する新規建物の所有者に対して、産業建物控除(IBA)が10年間与えられます。新規建物とは、完成建物で、MSCステータス企業にまだ占有されていない建物です。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.3インフラ控除
サバ州、サラワク州、指定された半島マレーシアの「東海岸投資奨励地域」に立地する企業は、100%のインフラ控除枠を得られます。対象となる企業は、製造業、農業、ホテル、観光業、その他産業・商業活動に携わる企業で、橋架、埠頭、港、道路を含む耐久構築物の再建、増築、改築などインフラ設備に伴う適格資本的支出を負う企業です。
企業は、この控除枠で賦課年度の法定所得の85%を相殺できます。残りの15%の法定所得には、通常の法人税率が課されます。未使用の控除枠は、全額が利用されるまで、翌年以降に繰り越すことができます。この優遇措置は、2005年12月31日までに申請されるすべてのプロジェクトに適用されます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.4 マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)発行の「ハラル」証書取得の費用に対する二重控除
2005年賦課年度から、所得税算定の目的として、下記の取得にかかる経費を支出する企業に対して、二重控除が与えられます。
a) 品質システム基準承認や、マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)発行の「ハラル」証書。 b) 国際的な品質システムや標準規格認証。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.5 監査費用に対する控除
マレーシアでの事業コスト削減と企業コンプライアンスを高めるため、監査費用に対する支出は所得税算定の際、控除の対象となります。
この優遇措置は2006年賦課年度から有効です。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.6 上場企業の合併・買収に対する税制優遇措置
上場企業のグローバルな拡張と競争を促進するため、ブルサ・マレーシアの上場企業による企業合併・買収(M&A)に対して、印紙税や不動産取得税 (RPGT)の免除が与えられます。2005年10月1日から2007年12月31日までに証券委員会が承認したM&Aに与えられ、 M&Aは遅くとも2008年12月31日までに完了しなければなりません。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.7 外国資本企業買収に対する優遇措置
マレーシア国内生産のためのハイテク技術を取得するため、または国内製品の新規輸出市場を確保するために、海外の外国資本企業を買収するマレーシア資本企業に対して、5年間の買収コストに相当する控除が与えられます。この優遇措置は、2002年9月21日以降にマレーシア工業開発庁によって受理された申請プロジェクトに適用されます。
16.8 所有権取得に対する優遇措置
特許、デザイン、模型、設計図、商標、ブランド、その他同様の権利を、外国人から取得する際に発生する資本支出は、所得税算定の際に控除の対象となります。この控除は、5年間にわたり20%の年間控除という形で与えられます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.9 関税に関する優遇措置
- (i)原材料やコンポーネントに対する輸入税の免除
-
完成品が国内市場向けか輸出向けかに係わらず、原材料やコンポーネントに対する輸入税全額免税が考慮されます。
輸出向け製品の場合、原材料やコンポーネントが国内で生産されていないか、生産されていても品質や価格の点で要求水準を満たしていない場合は、原材料に対する輸入税の全額免税が通常認められます。
国内市場向け製品の場合、国内で生産されていない原材料とコンポーネントに対する輸入税の全額免税が考慮されます。また、関税対象の原材料やコンポーネントで作られた完成品が輸入税を課されていない場合も、輸入税の全額免税が考慮されます。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
ホテルや観光事業では、特定の輸入品や機材に対する輸入税や販売税の全額免税と、現地購入された特定の機材に対する販売税の免税が得られます。
この事業の場合、申請書は財務省に提出します。
- (ii)製造活動のアウトソースに対する優遇措置
- ビジネス・コストを削減し競争力を高めるため、マレーシア資本が60%以上のマレーシア・ブランドのオーナーが、製造活動をアウトソースする場合、下記の優遇措置の対象となります。
a) 国内あるいは海外のアウトソース契約先で完成品を製造する際に使用される原材料やコンポーネントに対する輸入税と販売税の免除。 b) 海外のアウトソース契約先から半製品を輸入し、国内のアウトソース契約先に供給し完成品を製造する際の輸入税と販売税の免除。
この優遇措置は、2004年9月11日以降に受理された申請が対象となります。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (iii)機械・機器の輸入に対する輸入税と販売税の免除
- マレーシア政府は、製造工程で直接使用される機械・機器でマレーシア国内では生産されていないものについては、非課税とする方針をとっています。したがって、ほとんどの機械・機器が非課税となっています。マレーシア国内では生産されていないが輸入税の対象になっている機械・機器を輸入する場合は、輸入税および販売税が全額免除されます。また、国内で購入された機械・機器に対しては、販売税が全額免除されます。
- (iv)スペア・パーツや消耗品に対する輸入税と販売税の免除
- 製造業企業は、国内で生産されていないスペア・パーツや消耗品に対する輸入税や販売税が免除されます。 免税は、以下の基準に沿って与えられます。
- 生産の80%以上が輸出向けであること。
- そのスペア・パーツや消耗品の需要が限られていて、国内生産の可能性がないもの。
- その製品に対する輸入税が5%を超えていること。
- (v)輸入税、販売税、物品税の払戻し
-
1967年関税法第99条、1972年販売税法第29条、1976年物品法第19条の規定により、輸入された部品、原材料、包装材料が、上記の法で規定されている条件に基づき、1年以内に輸出される製品の製造に使用された場合、製造業者は納付済みの輸入税と販売税、物品税の払い戻しが得られます。
マレーシアで製造された特定の物品に対し物品税が課せられています。対象となる物品は酒類、たばこ、自動車、トランプそしてマージャン牌です。
主関税地域(PCA)や認可施設(物品税対象の製品用)から、自由地域(FZ)、保税倉庫(LMW)、ランカウイ島、ラブアン島、ティオマン島に立地する工場に対する他の製品を製造するための物資の移動は、輸出とみなされます。
申請書は、工場が立地する最寄の関税局事務所に提出します。
- (vi)販売税の免除
-
1972年販売税法によりライセンスを受けた製造業者は、投入資材に対する販売税の免税が得られます。年間総売上高RM10万以下の製造業者は、販売税ライセンス取得からは免除されているため、その完成品に対する販売税の納付が免除されます。 しかし、こういった製造業者も販売税ライセンスを取得し、投入資材に対する販売税の免除を得ることを選ぶこともできます。
特定の種類の製品は、資材の購入時(input)と完成品の出荷時(output)の両方において販売税が免除されます。これには、規制品目、医薬製品、乳製品、バティック生地、香水、美容・化粧品、写真用カメラ、腕時計、ペン、コンピュータと周辺機器・部品・アクセサリー、段ボール箱やケース、印刷産業の製品、農業・園芸用散布機、ベニヤ板、再生タイヤ、無停電電力システム、機械、輸出用製品などの製造に使用されたすべての物品(梱包材料を含む)が含まれます。
申請書は、関税局に提出します。
- (vi)キッティングのための医療機器・用品の輸入に対する輸入税の免除
-
国内の医療機器・用品メーカーが付加価値を高め競争力を強化するために、用具をセット化することを奨励するため、それらの医療機器が国内で製造されていないことを条件に、海外からの輸入品と自らの製品と組み合わせたり(キッティング)完全処置セットを生産することを目的として輸入される医療機器に対する輸入税が全額免除されます。
この優遇措置は、2004年9月11日以降に受理された申請が対象になります。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
16.10 輸出に対する優遇措置
- (i)輸出促進に対する二重控除
-
マレーシア居住会社が、マレーシアの製造品、農業製品、サービスの輸出の可能性を探るために費やした特定の経費は、二重控除の対象となります。
対象となる経費は、下記の通りです。
- 海外での広告費、広報、広報関連業務費。
- 配送料を含む、海外へのサンプルの提供費。
- 輸出市場調査費。
- 海外での商品入札応募の準備費。
- 海外への技術情報の提供費。
- 貿易・産業展示会、バーチャル・トレード・ショー、トレード・ポータルへの展示や参加にかかる費用。それに伴う従業員の海外出張の渡航費。
- 従業員の海外出張での1日RM300までの宿泊代と、1日RM150までの食事代等必要経費。
- 海外に設置した輸出促進用の販売事務所と倉庫の維持費。
- 輸出用のパッケージデザインに対する報酬の支払い。ただし、会社がマレーシアの専門デザイナーに依頼した場合。
- 海外における入札の可能性を探るための事前調査費。
- 国際レベルのコンペに参加する際の、建築模型やエンジニアリング・モデル、概念図、3次元アニメの制作費。これは2005年賦課年度から有効。
- 国内外の貿易・産業展示会への参加費。
- マレーシアにおける常設展示や海外のエキシビション・センターで開催される展示会への参加にかかる費用。
2003年賦課年度からの措置として、会社登録局に登録したパートナーシップや個人企業も上記の優遇措置を受けることが可能になりました。この場合、これらの優遇措置を受けることができる対象事業は以下のとおりです。
- 法律。
- 会計(税務、経営コンサルティングを含む)。
- 建築設計(都市開発や土地の造成設計を含む)。
- エンジニアリング、総合エンジニアリング(価格・量の査定サービスを含む)。
- 医療、歯科医療。
パイオニア・ステータスを与えられている企業は、二重控除の権利を累積することができ、パイオニア・ステータス終了後の所得と相殺することが可能です。
- (ii)輸出促進に対する単純控除
-
居住会社が、マレーシアの製造製品、農業製品、サービスの輸出の可能性を探るために費やした特定の経費は、単純控除の対象となります。対象となる経費は下記の通りです。
対象となる経費は、下記の通りです。
- 海外での特許、商標、製品ライセンスの登録料。
- 会社が、マレーシアを訪問する輸入者となる可能性のある人を接客する際の、3泊分までのホテル宿泊費。
- (iii)輸出信用保険料の二重控除
-
輸出信用保険料支払いは、二重控除の対象となります。
- (iv)倉庫に対する特別産業建築物償却制度
-
適格資本支出に対して年次償却10%が、輸出製品や再輸出製品のための保管用倉庫として使用される建築物に適用されます。
- (v)船積み運賃の二重控除
-
サバ州やサラワク州から半島マレーシアに船で製品を送る運送する製造業者は、二重控除の対象となります。
- (vi)ロゼッタネットの実施に対する優遇措置
-
ロゼッタネットとは、世界のサプライヤーとつながるサプライ・チェーン・マネージメントに参入することを目的とした、ビジネス・メッセージを共通化できるインターネットを利用したオープンな標準システムの一つです。
世界市場でさらに競争力を持つように、マレーシアの中小企業のロゼッタネットへの参入を促進するため、企業がロゼッタネット・マレーシアの管理と運営や、マレーシア中小企業のロゼッタネット・システム参入のための支援に費やした費用や寄付は、所得税控除の対象となります。
対象となる経費と寄付は、機材の寄贈(コンピュータやサーバー)、ロゼッタネット・マレーシアに勤務するフルタイム従業員の給与、機材やソフトウェアの寄贈、ソフトウェアやプログラミングの共同利用の費用、マレーシア中小企業従業員を対象としたロゼッタネットの使い方の研修費用などです。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (vii)マレーシア・ブランド名のプロモーションに対する二重控除
-
マレーシア・ブランド名のプロモーションのために、国内で支出した広告費や広告代理店や専門家に支払った経費は、下記の条件で二重控除の対象となります。
a) マレーシア・ブランド名を所有する会社は、70%以上がマレーシア資本であること。b) ブランドがマレーシアや海外で登録されていること。c) 製品の品質が輸出品質基準を満たしていること。 申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.11 研修に対する優遇措置
- (i)認可された研修経費の二重控除
-
人的資源開発基金(HRDF)に拠出していない製造業や非製造業の会社は、認可対象の研修にかかる支出が二重控除の対象となります。
製造業部門の場合は、認可対象研修施設でも社内でも研修を行うことができます。しかし、非製造業部門の場合は、認可対象研修施設で研修を行わなければなりません。認可対象研修施設で行なわれた研修には、二重控除が自動的に与えられます。
ホテルや旅行会社の場合、観光産業の技術や専門性を向上するために、社内あるいは認可対象研修施設において行われる研修プログラムは、観光省による認可を受けなければなりません。
申請書は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。
- (ii)失業新卒生研修プログラムに対する優遇措置
-
上場企業でキャピタルマーケット産業に従事する企業は、証券委員会に承認された失業新卒生研修プログラムの参加者に支払った手当に対して、二重控除の対象となります。この優遇措置は、2005年10月1日から2008年12月31日まで有効で、控除は3年間与えられます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (iii)雇用前研修に対する控除
-
雇用した従業員に対して行った就業前研修費用は、単純控除の対象となります。しかし、企業は研修生が将来従業員として雇用されるこを証明しなければなりません。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (iv)従業員以外の研修に対する控除
-
企業の従業員ではない居住者に対する実習研修に伴う費用には、単純控除が考慮されます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (v)現金による寄付に対する控除
-
非営利目的で運営され、国家機関により設立され維持されている技術職業訓練機関に対する現金による寄付は、単純控除の対象です。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
- (vi)人的資源開発基金(HRDF)
-
第5章の「人的資源」をご参照ください。
- (vii)研修に対する特別産業建物控除
-
認可された産業訓練、技術訓練、職業訓練に使用される建築物に関し支出した企業は、建物の建設や購入による適格資本的支出の10%の年次償却を10年間にわたって受けられる特別産業建物控除(IBA)を申請することができます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.12 環境保全設備の利用に対する優遇措置
環境保全設備を使用する企業は、設備の資本的支出に対して、初年度40%、年次償却20%が得られます。従って、全額を3年で償却することができます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.13 環境保護活動への寄付
環境保全や環境保護のための認可団体への寄付は、単純控除の対象となります。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.14 従業員の住宅施設に対する優遇措置
製造業、認可サービス事業、ホテル、観光業の従業員用の住宅施設として建物が使用される場合、建物の建設や購入に伴う支出に対して10%の特別建築物年次償却が10年間与えられます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。
16.15 従業員の託児所に対する優遇措置
従業員に対して託児施設を提供することを目的とした建物の建設や購入に伴う支出に対して、10%の特別建築物年次償却が10年間与えられます。
また、従業員の福利のために、託児所の提供や維持のための現金や現物による寄付に対して、単純控除が適用されます。
申請書は、国税局(IRB)に提出します。