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マレーシアの投資ガイド Country Profile and Investment Guide (Malaysia)

第1章 事業を始める

1.製造業プロジェクトの認可

1.1 1975年工業調整法

マレーシアの1975年工業調整法(ICA)は、マレーシアにおける製造業の調和のとれた発展と成長を確保することを目的としています。

株主資本(shareholders’ funds)がRM250万以上、またはフルタイム(常勤)有給従業員を75人以上雇用する製造業企業は、1975年工業調整法(ICA)に基づき、国際通商産業省(MITI)に対し製造ライセンスの取得を申請する必要があります。

製造ライセンスの申請は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に提出します。マレーシア工業開発庁(MIDA)は、マレーシアの工業発展の促進と調整を担う、国際通商産業省(MITI)傘下の政府機関です。

工業調整法(ICA)には、以下の通り規定されています。

  • 「製造活動」とは、物品や物質を使用、販売、輸送、引き渡し、処理する目的で、それらを製作、加工、混合、装飾、仕上げまたは処理、適合することを指し、これには部品の組立てや船舶の修理は含まれますが、通常小売りや卸売業に分類される活動は含まれません。
  • 「株主資本(shareholders’ funds)」とは、企業の払込資本金、剰余金、払込剰余金残高、利益処分勘定残高の総計と定義されています。
    – 払込資本金とは優先株と普通株の合計で、固定資産の再評価で得た資本準備金により発行された特別配当株(ボーナスシェア)は含まれません。
    – 剰余金には、固定資産の再評価で得られた資本準備金、償却、更新、補充の積立金、資産価値の減少に当 てる引当金は含まれません。
    – 払込剰余金残高には、固定資産の再評価で得た資本準備金により特別配当株(ボーナスシェア)をプレミアム発行した際に計上された分は含まれません。
  • 「フルタイム有給従業員」とは、通常該当事業所での労働時間が1日6時間以上、且つ年間平均労働日数が月20日以上で、当該事業所から給与を受け取っているすべての者と定義されています。

これには、出張販売、エンジニアリング・サービス、メンテナンス、修理に携わる者で、該当事業所の管理下にあり給与を受け取っている者も含まれます。

また、会社の取締役で経営に参加し報酬を受け取っている者は、役員会に出席するだけの役割に対して取締役料を受け取っている場合以外、フルタイム有給従業員に含まれます。定期的に給与や手当を受け取っている家族従業員で、被雇用者退職積立基金(EPF: Employees Provident Fund)や、他の退職年金制度に加入している人もフルタイム有給従業員に含まれます。

1.2 製造業プロジェクト認可のガイドライン

マレーシアは過去10年間に急速な工業成長を遂げました。そのため、製造業分野での労働力需要は高まり、結果として労働力市場の状況はタイトになっています。

これを考慮して、マレーシアにおいて、投下資本(Capital Investment)と従業員(Employee)の比率:C/E比率に基づき工業プロジェクトとして認可の対象とするかどうかのガイドラインを設けています。C/E比率がRM55,000以下のプロジェクトは労働集約型産業とみなされ、製造ライセンスや税制優遇措置の対象にはなりません。しかし、以下のいずれかの条件を満たす場合は、上記のガイドラインが免除されます。

  • 付加価値が30%以上の場合。
  • 経営(Managerial)、技術(Technical)、管理(Supervisory)に従事する者の全従業員に占める割合:MTSインデックスが15%以上の場合。
  • ハイテク企業のための奨励事業および奨励製品リストに該当する奨励活動や製品に従事するプロジェクト。
  • プロジェクトが半島マレーシア東海岸投資奨励地域(クランタン州、トレンガヌ州、パハン州、ジョホール州メルシン地区)、およびサバ州、サラワク州に立地する場合。

 

生産能力の拡張と生産品目の多角化
生産能力の拡張や、追加製品の製造による生産品目の多角化を希望する製造ライセンス取得済み企業は、マレーシア工業開発庁(MIDA)に申請する必要があります。

2. 会社設立

2.1 マレーシアでの事業形態

マレーシアでの事業形態は以下の通りです。

  1. 自営の個人事業。
  2. 2人以上(ただし20名以下)によるパートナーシップ。
  3. 1965年会社法の規定に基づき登記された現地法人や外国企業。

マレーシアにおけるすべての個人事業およびパートナーシップは、1956年事業登記法に基づきマレーシア企業委員会(CCM)へ登録しなければなりません。パートナーシップの場合、その資産が不十分である際には、個々の各パートナーは負債や債務に対して共同または別々に責任を負います。法的強制ではありませんが、各パートナーの権利義務を規定するために正式なパートナーシップ証書を作成することもできます。

2.1.1 会社形態

1965年会社法は、マレーシアにおけるすべての会社を管理しています。どのような事業を行う際にも、マレーシア企業委員会(CCM)に会社の登記を行わなければならないことが会社法により規定されています。

以下の3つの会社形態が会社法により規定されています。

  1. 出資者の個人責任が、所有するあるいは所有することが同意された株式額面と株数に限られる、株式有限責任会社。
  2. 1965年会社法の規定に基づき登記された現地法人や外国企業。
  3. 出資者の責任に限度がない、無限責任会社。

2.1.2 株式有限責任会社

マレーシアで最も一般的な会社形態は、株式有限責任会社です。株式有限責任会社は、非公開会社(Sendirian Berhad、またはSdn. Bhd.)か、公開会社(Berhad、またはBhd.)のいずれかの形態を取っています。

基本定款や付属定款に以下のような記載がある場合は、非公開会社として株式会社を設立することができます。

  1. 株式譲渡の権利を制限している。
  2. 株主の数を50人以下に制限している。ただし、当該企業またはその子会社の従業員および元従業員を除く。
  3. 株式および社債の公募を禁止している。
  4. 供託金の公募を禁止している。

公開会社として会社を設立することも可能ですし、あるいは、非公開会社として設立された会社を1965年会社法第26条の規定に従って公開会社に変更することもできます。公開会社は、下記の条件を満たすことによって株式を一般公募することができます。

  1. 発行目論見書が証券委員会に登録されている。
  2. 交付日または交付日前に、発行目論見書がマレーシア企業委員会(CCM)に提出されている。

公開会社は、クアラルンプール証券取引所の規定に従うことを条件として、クアラルンプール証券取引所への株式の上場を申請することができます。株式の追加発行(有利発行やボーナス発行、買収時の株発行)については、証券委員会の承認が必要となります。

2.2 会社設立手続き

会社を設立するには、設立会社の予定社名使用可否を確認するために、所定の書式13Aに手数料RM30を添えてマレーシア企業委員会(CCM)に申請しなければなりません。希望の会社名が使用可能である場合、申請は認可され、その社名は申請者のために3ヶ月間保持されます。

希望する社名を確保し会社を設立するために、3ヶ月以内に下記書類をマレーシア企業委員会(CCM)に提出しなければなりません。

  • 基本定款と付属定款(Memorandum and Articles of Association)。
  • 規定遵守に関する宣言書(Declaration of Compliance)(書式6)。
  • 取締役または発起人として就任する者の法定宣言(書式48A)。

基本定款(The Memorandum of Association)には、登録時に提案された会社の社名、事業目的、授権資本金(該当する場合)や、一株当たりの金額、株式発行予定数を記載します。

付属定款(The Articles of Association)には、会社運営と事業活動に関する社内管理規定を記載します。

会社設立証書が交付されたら、基本定款の署名者と将来会社の株主となる者は法人として機能し、訴訟を起こしたり告訴されたりすることが可能となります。また、会社の社印(common seal)により、例えば土地保有など永久継承権を有することができます。将来会社を解散する場合には、株主は1965年会社法の規定に従い会社の資産を供出し負債弁済の義務を負います。

2.2.1 現地法人が守るべき要件

会社は、会社法の規定で求められているすべての帳簿や文書を保管する事務所をマレーシア国内に登録しておかなければなりません。社章と書類には、ローマ字ではっきりと明記された会社名と会社番号が表示されていなければなりません。

会社は自己株式を取引きしたり、持株会社の株式を保有したりすることはできません。公開会社の株式は、株主総会での投票時に一株につき一議決権を有します。しかし、非公開会社は株主の議決権を多様に規定することができます。

会社秘書役は、マレーシアに居住する成年たる自然人でなければなりません。秘書役は規定された組織(会社秘書役協会など)の会員か、マレーシア会社登記局により許可を得た者でなければなりません。また会社は、マレーシアにおける会計監査人として認定された会計監査会社を任命しなければなりません。

さらに会社は、マレーシアに居住する取締役を最低2名指名しなければなりません。公開会社やその子会社の取締役は、通常70歳を超えてはなりません。取締役が株主にもなることは義務づけられていません。

2.3 外国企業の登録

マレーシアでの事業経営や拠点の設置を希望する外国企業は、マレーシア企業委員会(CCM)に登録しなければなりません。前述の登記手続と同様に、所定の書式13Aに手数料RM30を添えて、クアラルンプールにあるマレーシア企業委員会(CCM)かマレーシア国内にある支部に提出しなければなりません。外国企業が希望する会社名が使用可能である場合、申請は認可され、その社名は3ヶ月間保持されます。

認可が得られ次第、以下の書類をマレーシア企業委員会(CCM)に提出しなければなりません。

  1. 交付日または交付日前に、発行目論見書がマレーシア企業委員会(CCM)に提出されている。
  2. 登録された定款、約定、またはそれに代わる設立を制定または定義している法律文書。
  3. 本社の取締役リストと取締役に関する法的特記事項(書式79)。
  4. マレーシア人の取締役がいる場合は、その取締役の権限について明示した書類。
  5. 会社に代わって令状や通知を受け取る、マレーシアに居住する一名以上の代理人(エージェント)を指名した任命書または委任状。
  6. 会社の代理人によって作成された所定様式の法定宣言書(書式80)。この代理人は、1965年会社法に基づき会社が行わなければならないすべての必要手続きを遂行します。代理人に関する変更事項は、変更日から一ヶ月以内に必要な手数料を添えてマレーシア企業委員会(CCM)に報告しなければなりません。

すべての外国企業は、マレーシアでの事業拠点の設置後または事業の開始後1ヶ月以内に、マレーシアの登録事務所の状況についての通知を所定の様式でマレーシア企業委員会(CCM)に提出しなければなりません。

マレーシアで法人格を取得した外国企業は、年次株主総会後1ヶ月以内に年次申告書を毎年提出しなければなりません。また年次株主総会後2ヶ月以内に、本社の貸借対照表、マレーシアでの事業活動で発生した資産と負債に関する監査済賃借対照表、監査済損益計算書を提出しなければなりません。

3. 出資比率政策のガイドライン

3.1 製造業における出資比率政策

マレーシアは常に製造業への投資を歓迎しています。また、製造業事業へのマレーシア人の参画が高まることを願って、マレーシア政府はマレーシア企業と外国投資家との合弁を奨励しています。

新規、拡張または多角化事業に対する出資比率政策

製造業事業における外資出資比率は、輸出比率に応じて決定されてきました。しかし1998年7月31日以来マレーシア政府は、製造業事業の新規投資、拡張、多角化事業へのすべての申請に対して出資比率政策ガイドラインを緩和しました。この緩和策により外国投資家は、輸出比率にかかわらず100%の資本を保有することが出来るようになりました。

しかしながら、この緩和措置は、2003年12月31日までに受理された製造業プロジェクトの申請に対してのみ適用されていました。また、この緩和措置はマレーシアの中小企業が熟練している特定の業種や製品には適用されませんでした。これらの業種および製品とは、紙製パッケージ、プラスチック製パッケージ(ボトル、フィルム、シート、袋)、プラスチック射出成形品、金属プレス加工とメタル・ファブリケーション、ワイヤー・ハーネス、印刷、スチールサービスセンター(鉄板加工業)でした。これらの業種には、特定の出資ガイドラインが適用されていました。

マレーシアの投資環境を更に向上させるため、2003年6月17日より、政府はすべての製造業に対して出資比率規制を完全に緩和しました。したがって、現在では輸出比率や製品/業種にかかわらず、すべての新規投資、既存事業の拡張や多角化のための再投資において、100%の外国資本保有が認められます。

新しい出資比率ガイドラインは次のケースにも適用されます。

  1. これまで製造ライセンスの取得が免除されていた会社が、株主資本金をRM250万以上に増資したことにより、または従業員の数が75人以上に達したことにより、製造ライセンスの取得が必要となった場合。
  2. 製造ライセンスを取得している既存の会社で出資比率条件の適用を除外されていた場合で、株主資本金がRM250万以上に達したため、出資比率の条件を遵守することが要請される場合。

 

既存企業に対する出資比率政策

2003年6月17日以前に既に企業に課された出資比率や輸出比率は、そのまま継続されます。

しかし、企業はこれらの条件を取り除くよう申請することができます。政府は、企業からの申請に柔軟に対応し、それぞれのプロジェクトがもたらすメリットに応じて認可します。輸出条件を課されている企業が、国内市場への販売許可をマレーシア工業開発庁(MIDA)に申請する場合は以下のガイドラインにより認可されます。

  • 関税が掛からない製品、または国内で生産されていない製品の場合は、生産量の100%までの国内向け販売が認可されます。
  • 国内での供給が不十分な製品、または共通実効特恵関税(CEPT)が5%以下でアセアンからの輸入が増加している製品の場合は、生産量の80%までの国内向け販売が認可されます。

 

3.2 外国投資の保護

安全な投資環境を創出しようとするマレーシアの政策が評価され、現在マレーシアには50カ国以上から4,000社以上の国際的企業が海外拠点を設置しています。

株主所有権

出資が認められた企業は、当初の認可条件を守り、認可された事業内容を維持している限り、その出資比率の変更を求められることはありません。

投資保証協定

投資保証協定(IGA)の締結に対するマレーシアの取り組みは、マレーシアに対する外国投資家からの信頼を高めたいという政府の願いのあらわれです。

投資保証協定は以下のことを保証しています。

  • 国有化や収用からの保護。
  • 国有化あるいは収用があった際、迅速かつ適切な賠償を保証。
  • 利益、資本、その他支払いの送金の自由を保証。
  • 1966年以来マレーシアが加盟している投資紛争解決協定(Convention on Settlement of Investment Dispute)に基づく投資紛争解決を保証。

マレーシアは以下の国やグループと投資保証協定を締結しています。(アルファベット順)

グループ

  • 東南アジア諸国連合(ASEAN)
  • イスラム諸国会議機構(OIC)

 

アルバニア、ドイツ、パキスタン、アルジェリア、ガーナ、パプア・ニューギニア、アルゼンチン、ギニア、ペルー、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、バーレーン、インド、ルーマニア、バングラデシュ、インドネシア、サウジ・アラビア、ルクセンブルク、イラン、セネガル、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イタリア、スペイン、ボツワナ、ヨルダン、スリランカ、ブルキナ・ファソ、カザフスタン、スーダン、カンボジア、北朝鮮、スウェーデン、カナダ、大韓民国、スイス、チリ、クウェート、台湾、中国、キルギス共和国、トルコ、クロアチア、ラオス、トルクメニスタン、キューバ、レバノン、アラブ首長国連邦、チェコ共和国、マケドニア、英国、デンマーク、マラウィ、アメリカ合衆国、ジブティ、モンゴル、ウルグアイ、エジプト、モロッコ、ウズベキスタン、エチオピア、ナミビア、ベトナム、フィンランド、オランダ、イエメン、フランス、ノルウェー、ジンバブエ

投資紛争解決協定

外国投資を促進し保護するために、マレーシア政府は、投資紛争解決協定を1996年に批准しました。この協定は国際復興開発銀行(IBRD)の支援により制定されたものであり、ワシントンにあるIBRD本部内の投資紛争解決国際センターを通じて、国際的調停や仲裁を処理しています。

クアラルンプール地域調停センター

クアラルンプール地域調停センターは、マレーシア政府が協力・支援している政府間機関であるアジア・アフリカ法律諮問委員会(Asia-African Legal Consultative Committee (AALCC))の主導のもと、1978年に設立されました。

非営利機関であるこのセンターは、アジア・太平洋地域をカバーしています。このセンターは、この地域内や地域間の貿易、通商、投資に従事する当事者の利益のため、紛争を解決するシステムを提供することを目的としています。

契約締結、契約違反、契約終結、契約無効、またはそれに関連して生じるいかなる紛争、論争、要求は、クアラルンプール地域調停センターの調停規定に従い、調停によって解決することが可能です。