ラオス人民民主共和国労働法が2006年12月に改訂された。1994年に改訂された旧労働法との比較を以下に示す。
図表 52 ラオス人民民主共和国労働法における主な改正点
事項 | 2006年改正 | 1994年改正 |
---|---|---|
適用範囲 | (登録された)事業所で労働する全ての者。それ以外の者でも書面による契約に基づき3ヶ月以上労働する者は労働法を援用できる。 | (登録された)事業所で労働する全ての者 |
労働者の訓練 | 事業所は労働者の訓練に関する計画を策定し、労働者の給与又は年間人件費の1パーセントに相当する額を積み立てなければならない。 事業所自ら訓練ができない場合、国家技能開発基金に預託しなければならない。 |
事業所は労働者の訓練に関する予算を確保しなければならない。 |
雇用に関する情報 | 事業所は労働行政当局に対して定期的に雇用に関する情報を提供しなければならない。 | (特段の規定なし) |
時間外労働 | 月45時間が上限。1日当たりの上限、継続的な時間外労働の禁止は撤廃。 | 月30時間、1日3時間が上限。毎日の継続的な時間外労働を禁止。 |
外国人労働者 | 労働行政当局の承認を要することには変わりないが、ブルーカラー職は当該事業所労働者総数の10%、ホワイトカラー職は同20%まで外国人を雇用できる。 それ以上の割合の場合には上級機関の承認が必要。 |
人数制限があるが、具体的には労働行政当局の個別判断。 |
障害者雇用 | 能力及び技能に応じて障害者を優先的に雇用。 | (特に規定なし) |
期間の定めのない労働契約の終了 | ホワイトカラー職は45日前、ブルーカラー職は30日前までに予告。 | ホワイトカラー職は45日前、ブルーカラー職は15日前までに予告。 |
解雇による労働契約の終了 | 上記内容に従う。 | 45日前までに予告。 |
女子労働者 | 禁止を撤廃。(ただし妊産婦に関する就業制限は継続。) | 健康に害のある重労働、午後10時から翌日午前5時までの間の工業部門での労働を禁止。 |
年少者労働 | 14歳以上18歳未満の者は条件付で雇用を承認。 | 15歳未満の者を働かせることを禁止。 15歳以上18歳未満の者は条件付で雇用を承認。 |
年少労働者雇用容認の条件 | 1日8時間が上限。週の上限は撤廃。 危険な業務、深夜労働、過酷な業務に加え時間外労働、騒音・飲酒・賭博を伴う場所での業務も禁止。 |
1日6時間、週36時間が上限。 危険な業務、深夜労働、過酷な業務は禁止。 |
源泉徴収 | 労働行政当局への事後報告を義務付け。 | (規定なし) |
業務災害の種類 | 通勤途中の災害を業務災害として規定。 | 通勤途中の災害については業務災害としての規定なし。 |
業務災害の報告 | 死亡者を伴う業務災害及び重大な業務災害は発生後48時間以内に労働行政当局に報告。 | (規定なし) |
社会保障 | 社会保障基金の創設等を義務付け。 | |
実施体制 | 概括的な規定のみ。 |
(出所)中村信太郎[2008]「ラオスの労働事情」鈴木基義・山田紀彦編『内陸国ラオスの現状と課題』JICAラオス事務所・ラオス日本人材開発センター。2008年3月。pp. 171~195。