銀行
ブルネイには中央銀行は存在せず、中央銀行の役割の多くは大蔵省、財務局、通貨局によって果たされている。通貨の流通と管理はブルネイ通貨局が担い、最優遇貸出金利(プライムレート)を決めるのはブルネイ銀行協会に委ねられている。
銀行業は現在、ローカル銀行2行(バイデュリ銀行、イスラム・ブルネイ・ダルサラーム銀行)、外資銀行8行と信託資金(ブルネイ・イスラム信託資金)から成る。バイデュリ銀行は1994年に設立され、資本の15%は仏系BNPパリバが出資している。イスラム・ブルネイ・ダルサラーム銀行はブルネイ銀行とブルネイ・イスラム開発銀行の合併により誕生した。
外資銀行には、シティバンクN.A.、香港上海銀行(HSBC)、マラヤン・バンキング、華僑銀行(OCBC)、RHB銀行、カナダ・ロイヤル銀行、スタンダード・チャータード銀行、大華銀行(UOB)が含まれる。
金融企業には、バイデュリ・ファイナンス、HSBCファイナンス、IBBクレジット、SGファイナンシャル・コンサルティング・サービス、タブン・アマナ・イスラム・ブルネイ(TAIB)がある。
ブルネイ国際金融センター(BIFC)は次のサービスを提供する。
- 国際ビジネス企業の登録
- 国際有限パートナーシップの登録
- 国際銀行免許
- 国際イスラム銀行免許
- 信託管理
- 国際保険免許
- 投資信託
- 株式
税制
ブルネイでは、地域のどの国と比べても税の種類が少ない。個人所得税、輸出、販売、給与、製造税は存在せず、1949年所得税法で規定されて納税対象者は法人だけである。
外国投資にかかる税の種類
A.法人税
国内および海外で設立された企業がブルネイでの所得税納税の対象となる。居住会社は、ブルネイで発生、派生、受領した所得について課税される。非居住会社については、部で生じた所得についてのみ課税される。
会社が税を課せられる対象となる所得は以下の通りである:
- 取引、ビジネス、職業から生じる利得または利益
- 配当金、利子、割引
- 賃貸料、ロイヤリティ、権利金など有形資産から生じる利益
キャピタルゲイン税は存在しない。ただしそのキャピタルゲインが、会社の通常の取引活動から生じる営業収入の一部とみなされる場合は除く。
ブルネイ・ダルサラーム政府は、国の経済的競争力と民間部門の強化を絶え間なく続けており、特に民間部門が経済を牽引する触媒となるべく努力している。その為にスルタン・ハサナル・ボルキア国王 (His Majesty The Sultan and Yang Di-Pertuan of Brunei Darussalam)(以下ハサナル・ボルキア国王)はブルネイ法第35条所得税法(Chapter 35 Income Tax Act)へいくつかの修正を加えることに同意した。修正箇所では、会社に現在課せられている30パーセントの法人所得税が段階的に減額することが明記されており、2008年税査定分は27.5パーセント、2009年税査定分は25.5パーセントとなる。
法人所得税の減額に加えて、新設の中小企業を支援する目的で、段階的な税率を適用するという新しい枠組みが導入された。最初に課税が発生する50,000ドルに課せられる税率は、通常税率の25パーセント、次の50,000ドル以降は通常税率の50パーセントとなる。
一方、ブルネイ・ダルサラームで法人格を得た新設(の中小)企業は、会社が法人格を取得してから3年間、最初に課税が発生する100,000ドルに対しての課税が免除される。
(すなわち2008年中に資格を取得すれば、それに続く2年間は免除を受けられる)
配当金の扱い
ブルネイで発生したまたは受け取った法人の受取配当金は課税所得に含まれる。ただし、ブルネイで課税対象となっている法人からの受取配当金はこれに含まれない。ブルネイの法人が支払う配当金から税金が源泉徴収されることはない。
ブルネイ・ダルサラーム国内で英連邦諸国または租税条約加盟国から受け取った配当金は、税額算定に際して税額相当分の加算をされたうえ、英連邦の税額控除または租税条約の規定によって課せられる納税義務に対して税額控除を主張できる。それ以外の配当金は純課税査定額に含まれ、他の外国税控除は適用されない。ブルネイ・ダルサラームは、配当金に対する源泉徴収税を一切課していない。
税の控除
A.控除が認められる経費
課税所得の生産にかかったすべての経費が、税制上、控除として認められる。これらの控除には下記のものが含まれる:)
- 借入金の利息
- 業務やビジネスに使用する土地・建物の賃貸料
- 構内・工場・機械類の修理費
- 貸倒れおよび一定の不良債権(ただし、その後回収されたものは受領時に所得として取り扱われる
- 適格年金または退職積立基金への雇用主拠出金
B.控除が認められない経費
所得税法では一定の経費は税控除の対象にはならない。控除対象にならない経費には、社内または私的経費、減価償却費、ブルネイ・ダルサラーム内外で支払われた所得税、不適格な年金または準備基金への拠出金などが含まれる。
損失の繰越
会社が出した損失については、6年間繰り越して将来の利益と相殺することが可能。また一年繰り戻すこともできる。法人の所有権が継続している必要はない。損失の相殺は同じ取引に制限されない。
外国税控除
ブルネイ・ダルサラームは英国、インドネシア共和国、中華人民共和国、シンガポール共和国、ラオス人民民主共和国と二重課税防止協定を結んでいる。税額控除は居住法人に対してのみ適用される。居住法人および非居住法人も、互恵的外国税控除制度のある英連邦諸国で生じた所得に対して、片務的外国税控除を申請することができる。
A.印紙税
様々な証書に対して印紙税が課せられる。印紙税が従価税になるかは、証書の性質によりそれぞれ異なる。
B.源泉徴収税
負債、社債または融資に関して、非居住法人に支払われる利息については、20パーセントの源泉徴収課税が課せられる。これ以外に源泉徴収はない。
C.輸入課税
ASEAN 統一関税品目表(AHTN: ASEAN Harmonised Tariff Nomenclature)の採択に伴い、多くの品目に対する関税が引き下げられた。関税率は商品の種類によって異なるが、0パーセントから20パーセントの間である。AFTA共通実効特恵関税(AFTA: ASEAN Free Trade Area)(CEPT: Common Effective Preferential Tariff)の枠組みのもと、ASEAN 加盟国の産品は、関税がさらに引き下げられる可能性がある。
詳細情報の問い合わせ先:
財務省
Ministry of Finance
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Fax:(673)238 3934
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