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年頭のご挨拶

今年は、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN・アセアン)が友好協力関係を結んで50周年の節目の年を迎えます。日本とASEANの関係性・双方の立場が、この50年の間に、著しく変化しており、2023年は「日本がASEANにとって最適で信頼できる真のパートナーであることを示す」、戦略的に大変重要な年です。

なぜ、ASEANは日本にとって重要なパートナーなのでしょうか。

ひとつは、ASEANの経済規模です。パンデミックの影響により、ASEANの2021年の域内名目GDP総額は、およそ3.3兆ドル(2021年の平均為替レート[i]で362兆円)で、2019年のレベルから減少したものの、日本の2022年度の実績見込み[ii]GDP 560.2兆円のおよそ65%にあたります。仮にASEANを一国とみなした場合、アメリカ、中国、日本、ドイツに次いで、世界で第5位にあたります。

また、エネルギーや食料品の物価高騰や、世界的な景気後退への懸念、地政学的リスクの増大などの課題にもかかわらず、2022年12月時点でのアジア開発銀行による2022年の東南アジア諸国のGDP成長率予測[iii]では5.5%、2023年には4.7%と、ASEANは、世界の成長センターとして、今後も高い潜在能力を維持すると予想されています。このような堅調な経済成長は、購買力が旺盛な多くの中間層を形成する結果にもつながっており、ASEANは、日本にとって、かつての生産拠点から、魅力のある市場へと急速に変化しています。

もうひとつの理由は、およそ半分が30歳未満[iv]という ASEAN域内の人口です。若者が人口の中核をなしており、また、ASEANの若者たちの多くは、デジタルデバイスでの情報収集、コミュニケーションに精通しており、都市部へ移住する傾向があるため、デジタル技術などを利用したスタートアップ企業が勃興し、ASEANへの対外直接投資を大幅に押し上げている要因[v]にもなっています。

さらに、ASEANは、21世紀におけるグローバル競争の中⼼舞台となっているインド太平洋地域で、地理的な意味でも中心に位置しており、ASEANの日本および世界にとっての地政学的重要性は、今後、ますます高まっていくものと考えます。

2023年、日本とASEANの今後の50年に向け、国際社会で偏狭な利己主義や覇権主義が顕在化している今、日本アセアンセンターは、新しい経済発展の恩恵を受けられない可能性のある人たちの声なき声に共感し、人々の多様性を互いに尊重し、地域・国境を越えて結びつき、結束する「対等のパートナー」としての日ASEAN関係を推進する役割を担えるよう、誠心誠意努力します。

2023年1月
事務総長 平林国彦

日本アセアンセンターは中期戦略計画「AJC 5.0」を活動の礎とします。
AJC5.0 はこちら


[i] IMF data https://data.imf.org/regular.aspx?key=61545850 1 US$=JPY109.75, 2021 Average
[ii] https://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2022/r041222mitoshi.pdf
[iii] https://www.adb.org/publications/ado-supplement-december-2022 
[iv] https://www.aseanstats.org/wp-content/uploads/2022/12/ASEAN-Highlights-2022-v03.pdf 
[v] ASEAN Investment Report 2022, September 2022, https://asean.org/book/asean-investment-report-2022/