第6章 銀行・金融・為替管理

1. マレーシアの銀行制度

商業銀行、マーチャントバンク、金融会社からなる銀行制度が、マレーシアの経済セクターへの主要な信用供与の源泉となっています。さらに、特に経済の特定戦略分野に対する信用供与を行っている開発金融機関もあります。

1.1 中央銀行

中央銀行であるバンク・ネガラ・マレーシアは、マレーシアの通貨安定の維持と健全な金融制度の確保に対する責任を担っています。このためバンク・ネガラ・マレーシアは、マレーシアの銀行制度や、特定の開発金融機関および保険会社を規制し監督しています。バンク・ネガラ・マレーシアは、マレーシアの通貨(リンギット)を発行し、政府に対する銀行および経済財務アドバイザーとしての役割を担い、外国為替管理規制を執行し、マレーシアの銀行制度に対する最終的な貸手としての役割を担っています。

1.2 金融機関

商業銀行が、マレーシアの銀行制度の主要な担い手です。2005年12月末現在、10行の国内商業銀行と13行の外資系商業銀行が、国内にある1,963の支店ネットワークを通じて営業を行っています。6行の国内商業銀行は、支店、子会社、合弁会社などを21カ国に設けています。さらに、23行の外資系銀行がマレーシアに駐在員事務所を持っています。駐在員事務所は通常の銀行業務は行いませんが、連絡サービスを提供したり、マレーシアのビジネス関係者と取引先との情報交換を促進しています。

2004年には、同一銀行グループ内の商業銀行と金融会社の統合によって小売銀行業務の合理化を可能にする法的枠組みが改正されました。この取組みによって、国内商業銀行グループがビジネスを合理化し、規模の経済による利益を得ることを可能にしました。現在までに、すべての国内銀行グループが、グループ内の商業銀行と金融会社のビジネスを合理化しています。

現在、10行のマーチャントバンクが 19の支店を通じて広範囲のサービスを提供しています。マーチャントバンクは、短期の金融市場での業務や、アンダーライティング、シンジケートローン、法人向け財務経営アドバイス・サービス、株式の発行や上場の準備業務、投資信託管理業務などの資金調達活動における役割を担っています。投資銀行設立の枠組みの導入によって、マーチャントバンクは投資銀行へと変換されるでしょう。本格的な投資銀行として、商取引や仲介業などを含むより多くの活動を実施することができるようになるでしょう。

現在では、6行のイスラム銀行があり、イスラム法の原理に基づいてあらゆる金融サービスを提供しています。さらに、7行の一般銀行も、専門のイスラム窓口を通してイスラム銀行サービスを提供しています。イスラム金融商品とサービスは、国内にある548の支店を通じて提供されています。

また、建設金融会社、クレジット・トークン会社、ファクタリング会社、リース会社など一般への信用貸しや融資を提供する655社の指定機関があります。

マレーシアには、経済の特定戦略的分野の発展を促進するために特別に設立された開発金融機関(DFI)が数社あります。開発金融機関は、中長期資金融資、資本貸出し、信用保証の提供を専門としています。また、財務・技術・経営のアドバイス支援に加え、新規事業の立ち上げや開発におけるコンサルタント・アドバイス・サービスも提供しています。さらに開発金融機関は、農業、インフラ、海運業、製造業、輸出産業、中小企業などの戦略的分野に対して融資の提供を行い、銀行機関を補完しています。

2005年12月のマレーシア輸出入銀行(Export-Import Bank of Malaysia)とマレーシア輸出信用保険会社(Malaysia Export Credit Insurance Berhad, MECIB)の合併は、商品やサービスの輸出入や非従来市場に焦点をあてた海外プロジェクトに対して融資や促進を行い、輸出信用に対する保険、輸出金融、海外投資保険保証制度などを提供する輸出入銀行(Exim Bank)の設立をもたらしました。また2005年10月には、「Bank Perusahaan Kecil dan Sederhana Malaysia Berhad」(SME銀行または前「Bank Industri dan Teknologi Malaysia Berhad」)が設立され、包括的な金融サービスや補助的サービスを中小企業に提供しています。

2. 輸出信用リファイナンス

輸出信用リファイナンス(ECR)とは、マレーシア輸出入銀行が、直接または間接輸出業者に対する短期融資を、商業銀行を通じて提供するものです。融資は商業銀行によって提供され、その後輸出入銀行によりリファイナンスされます。

輸出信用リファイナンスの利用を希望する直接または間接輸出業者は、輸出信用リファイナンスの融資限度を商業銀行と取り決め、その後輸出入銀行から輸出信用リファイナンス活用の認可を取得します。

2.1 資格

輸出信用リファイナンスは、直接的または間接的に輸出活動に従事し、商業銀行から輸出信用リファイナンスの融資限度額を取得した直接輸出業者と間接輸出業者が利用することができます。

2.2 制度の形態

  1. 船積み前輸出信用リファイナンスとは、直接または間接輸出業者が、海外バイヤーへの商品出荷前に、国内または海外のサプライヤーからの購入に対する支払いのために利用できるローンです。
  2. 船積み後輸出信用リファイナンスとは、海外バイヤーへの商品出荷後の、直接輸出業者への前金または融資です。

 

2.3 融資の方法

船積み前輸出リファイナンスを受けるには二つの方法があります。すなわち輸出受注書による方法と輸出実績証明書(CP)による方法です。

輸出受注書による方法では、船積み前輸出リファイナンスは輸出または購入注文を担保として行われるのに対して、輸出実績証明書(CP)による方法では、輸出入銀行によって発行される輸出実績証明書(CP)を担保として行われます。

船積み後輸出リファイナンスにおける融資の方法は割引手形によって行われ、商業銀行に提出された輸出関係書類一式を担保として融資されます。

2.4 融資期間と融資額

融資の最長期間は、船積み前輸出信用リファイナンスの場合は4ヶ月間、船積み後輸出信用リファイナンスの場合では6ヶ月間です。

輸出受注書による方法の場合は、輸出受注額の95%の融資を受けることができ、輸出実績証明書(CP)による方法の場合の融資額は、輸出入銀行によって与えられたCP限度額によります。

輸出信用リファイナンスにおける1回の融資額は、最低RM1万、最高RM5,000万です。

3. マレーシアの証券市場

3.1 証券委員会

1993年に設立された証券委員会(SC)は、1993年証券委員会法、1983年証券産業法、1993年先物取引法、1991年証券産業(振替決済)法に基づき、マレーシアの資本市場を規制しています。証券委員会のもう一つの主な役割は、マレーシアの資本市場が革新的で競争力のある市場として秩序ある発展を促進することです。証券委員会は、調査権と執行力を持つ独立採算制の国家機関で、財務大臣の監督下にあります。

証券委員会は、上場企業による証券や民間企業による社債のオファーや発行を規制しています。また、そのような株式のブルサ・マレーシアへの上場や、証券取引と先物取引、企業買収と合併、ユニット・トラスト発行などに関する事項についても規制しています。証券委員会は、全ての証券(非上場のレクリエーション・クラブは除く)の目論見書にとって唯一の認可登録機関です。証券委員会は、証券取引所、手形交換所、中央決済振替を管理監督し、証券取引免許取得者への免許の交付と監督の任務も担っています。

証券委員会は、2001年に資本市場マスタープラン(CMP)を発表しました。これは、今後10年間のマレーシア資本市場の戦略的位置付けと将来の方向性を示す総合的な計画です。このマスタープランは、資本市場の当面のニーズに優先順位を置きつつ、マレーシアの資本市場環境に影響を与える世界の発展を予測したうえでの方向性と長期的発展を計画したものです。

証券委員会および資本市場マスタープランの詳細情報については、証券委員会のホームページ(www.sc.com.my)をご参照ください。

3.2 ブルサ・マレーシア社(Bursa Malaysia Berhad)

最初の正式な証券取引所であるマラヤ証券取引所は、1960年に設立されました。シンガポールとクアラルンプールのトレーディングルームを直通電話で繋ぎ、双方の証券取引所に単一系列の価格で上場された同一証券を取り扱う単一市場とするシステムが、1961年に設立されました。1965年にシンガポールがマレーシアから分離した際に、マレーシア・シンガポール証券取引所(SEMS)が設立されました。しかし、1973年にマレーシアとシンガポールの通貨相互交換性に終止符が打たれたと同時に、マレーシア・シンガポール証券取引所(SEMS)はクアラルンプール証券取引社(KLSE)とシンガポール証券取引所に分離されました。

株式会社化法に従って株式会社化されたクアラルンプール証券取引所(KLSE)は、2004年1月5日に公開株式有限責任会社に転換されました。この転換に伴い、クアラルンプール証券取引所(KLSE)は100%子会社であるブルサ・マレーシア証券社(Bursa Malaysia Securities Sdn Bhd)(ブルサ証券)に権限を委譲して証券取引業務を移譲し、2004年4月14日に証券取引持ち株会社となり、名称をブルサ・マレーシア社(Bursa Malaysia Berhad)と変更しました。

ブルサ・マレーシアは、取引、精算、決済、保管などの完全な取引関連サービスを提供する、完全に統合された取引所を運営しています。また、ブルサ・マレーシアは、マレーシアの証券デリバティブ・マーケットに関する情報サービスも提供しています。

現在ブルサ・マレーシアは、1,023社(2006年1月中旬現在)が上場するアセアンにおける最大規模の証券取引所となっています。マレーシア経済の多様性と広領域性を反映した上場企業は、例えばプランテーション、鉱業、貿易/サービスから、テクノロジー、インフラ、金融などに至るまで50種類の異なる経済活動からなる15の業種に分類されています。

(i) ブルサ・マレーシアのコーポレート・ガバナンス

株式会社化された組織構造では、単独の取締役会がブルサ・マレーシア・グループを管理しています。全ての株主の利益を守るために、取締役会はバランスのとれた代表者構造となっており、公益担当取締役、独立担当取締役、株主担当取締役、最高経営責任者から構成されています。ブルサ・マレーシアのコーポレート・ガバナンスの実践は、コーポレート・ガバナンス基準に示されている目標と目的に沿っています。

(ii) ブルサ・マレーシアのグループ会社

ブルサ・マレーシアのグループ企業は、証券取引持ち株会社と下記のビジネス部門によって様々なビジネスを所有し運営している数多くの子会社によって構成されています。

a) 取引業務部門

ブルサ・マレーシアの取引業務部門は、3つの取引により構成されています。

  • 証券取引
    証券取引を構成している市場は、一部、ニ部、MESDAQ市場です。そのうち最大なのが一部で、646社が上場しており、二部には268社が上場し、 MESDAQ市場には109社が上場しています。2006年1月中旬現在、市場評価総額はRM7,037億に相当します。この取引は、ブルサ・マレーシア証券社(ブルサ証券)により運営されています。
  • デリバティブ取引
    デリバティブ取引は、金融、株式、商品関連証券を網羅する先物オプション契約を提供しています。2005年12月現在、7種類の先物取引と1種類のオプション契約が取引可能となっています。これにより、2005年12月におけるオープン・インタレストの総計は84,848件でした。この取引は、ブルサ・マレーシア・デリバティブ社(ブルサ・デリバティブ)により運営されています。
  • オフショア取引
    オフショア取引とは、マレーシアの国際オフショア金融センターであるラブアンにある国際オフショア金融取引のことです。2005年12月現在、21種類の従来型の債券、4種類の投資信託、5種類のイスラム証券(Sukuk)、1種類の優先株がオフショア取引に上場しており、時価総額US$115億相当になっています。この取引は、ラブアン国際金融取引所(LFX)が運営しています。
b) 精算・決済・保管業務部門

精算・決済・保管サービスは、ブルサ・マレーシア証券決済社、ブルサ・マレーシア・デリバティブ決済社、ブルサ・マレーシア・デポジトリー社(ブルサ・デポジトリー)により提供されています。

c) 情報サービス業務部門

情報サービス業務部門は、上場証券の価格やインデックスの総合的な情報を、リアルタイムまたは遅延ベースで集積し普及しています。また購読者のために、情報商品やサービスを開発し提供しています。この事業は、ブルサ・マレーシア情報社が運営しています。

(iii) 参加機関

a) 株式仲介業社

現在、ブルサ証券に上場している証券の取引サービスを提供する株式仲介業社は37社(5社の外資仲介業者を含む)あります。このうち6社は、ユニバーサル・ブローカーとしての認可を受けています。ユニバーサル・ブローカーは、コーポレート・ファイナンス、債権証券取引、株取引などの総合的な資本市場サービスの全てを提供することができます。2005年末現在、58の支店があります。

b) トレーディング参加企業

トレーディング参加企業とは、少なくとも一株の優先株を保有し、先物取引産業法に基づきライセンス認可された先物取引ブローカーとしてビジネスを行っている企業で、ブルサ・デリバティブにおいて取引される先物取引契約の売買を行う企業です。トレーディング参加企業は、証券委員会に登録しなければなりません。現在、15社のトレーディング参加企業が登録されています。

(iv)  投資家保護

投資家保護のため、現在ブルサ・マレーシアは、関連する証券法や規則において特定された状況下における損失に苦しむ投資家を補償するために、ブルサ証券による補償基金、ブルサ・デリバティブによる身元保証基金、ブルサ・デポジトリーによる補償基金といった3つの補償基金を運営しています。基金は補償委員会によって管理されています。

(iv)  リスク・マネージメント

ブルサ・マレーシアは、グループに対するリスクの適切なマネージメントと管理を目的とした企業リスク・マネージメント(ERM)の枠組みを設置しています。主要なリスクと重大な残存危険性を管理するために作成された適切な行動計画が共に特定され、発生の可能性と影響の規模に応じてランク付けされます。

4. オフショア金融サービス

4.1 ラブアン・オフショア金融サービス庁(LOFSA)

ラブアン・オフショア金融サービス庁(LOFSA)は、国際オフショア金融センター(IOFC)としてのラブアンの開発とプロモーションを先導し調整するワンストップ運営機関です。

ラブアン・オフショア金融サービス庁は、政府機関がオフショア金融サービス産業を監督するのを能率化し、研究開発活動を実施し、業務効率を向上し、ひいては国際オフショア金融センター(IOFC)に貢献するビジネス環境を生み出しています。さらにラブアン・オフショア金融サービス庁は、中核分野の一つとしてイスラム金融の育成も行っており、ラブアン国際オフショア金融センターは現在、従来型金融活動とイスラム金融活動にとって主要なオフショア・センターとして認知されています。

ラブアンで事業を行う企業の設立と登記は、ラブアン・オフショア金融サービス庁でできます。ラブアン・オフショア金融サービス庁は、銀行、保険、有価証券、信託ファンド・マネージメントなどのオフショア産業を監督管理しています。ラブアン国際金融取引所もラブアン・オフショア金融サービス庁の管轄下にあります。

ラブアン・オフショア会社が行うオフショア事業活動は、商業活動と非商業活動に分類することができます。オフショア商業活動には、銀行、保険、ファンド・マネージメント、仲介業務、他の商業関連活動などがあります。オフショア非商業活動とは、オフショア会社自身による、証券、株式、ローン、預金、不動産への投資に関する活動のことです。

ラブアンでのオフショア事業の本質として、基本的に外国通貨に基づき非居住者によって運営されるため、ラブアン国際オフショア金融センターに対しては、マレーシアの為替管理規則や規制は適用されません。

4.2 オフショア金融サービスに対する優遇措置

(i) 最低限の課税

  • オフショア商業活動を行うオフショア会社は、毎年の法人税として、監査済み純利益の3%か定額RM20,000のどちらかを選んで納税することができます。
  • オフショア非商業活動を行うオフショア会社は非課税です。

(ii) 専門業務サービスに対する減税

ラブアンのオフショア会社に対して適格専門的業務を提供する個人、その従業員、または企業は、法定所得の65%まで法人税が免除されます。これには、法律、会計、財務、秘書業務のサービスが含まれます。

(iii) 最低限の課税

  • ラブアンのオフショア会社で経営者的地位に雇用された外国人は、総給与所得の50%まで所得税が免除されます。
  • ラブアンの信託会社に勤務する外国人信託部門担当者は、総給与所得の50%まで所得税が免除されます。

(iv) 所得税の免税

1967年所得税法に基づき、オフショア会社は下記の免税が得られます。

  • ラブアン・オフショア会社によって居住者または非居住者である個人に支払われた配当金。
  • ラブアン・オフショア会社から受け取った配当金の中から支払われ、マレーシア居住会社から受け取った配当金。
  • 外国人の取締役に支払われた取締役料に対して100%の免税。
  • オフショア会社に勤務するマレーシア国民に支払われた住宅手当に対して50%の免税。

オフショア会社は、下記に対する源泉税が免除されます。

  • 銀行、金融、保険などの事業に従事していない居住者または非居住者に支払われた利子。
  • 非居住者または他のオフショア会社に支払われた利子。
  • 非居住者に支払われた賃貸料。
  • 非居住者または他のオフショア会社に支払った技術料やマネージメント料。
  • 非居住者または他のオフショア会社に支払ったロイヤリティ。
  • 非居住者である受益者へのオフショア信託によって発生した分配金。

(v) 印紙税の免除

オフショア会社によるオフショア・ビジネス取引(オフショア会社のM&Aやオフショア会社の株式譲渡を含む)は、印紙税の支払いを免除されます。

5. 為替管理制度

マレーシアの外国為替管理規定は、国内の財政的安定と経済的安定を推進するため、資本の流れに影響を与え通貨リスク管理を促進する適切な枠組みを提供することを目的としています。

この規定は、全体的なマクロ経済政策を補完するもので、環境の変化に応じて定期的に改定されています。改定は、国内の財政的安定と経済的安定を推進するため、事業経費の削減、規制実行システムの向上、居住者や非居住者によるリスク・マネージメント活動改善の推進、国内における外国為替市場の発展の推進などを目的としています。

全ての規定は、特別規制が課されているイスラエル国を除き、あらゆる国との取引に対して一律に適用されます。

外国為替管理における居住者と非居住者の定義は、下記の通りです。

居住者:
  • マレーシア国民(マレーシア以外の国の永住権を取得し、海外に居住している者を除く)。
  • マレーシア永住権を取得している国民ではない者で、マレーシアに恒久的に居住する者。
  • 法人か非法人かにかかわらず、マレーシアの監督官庁により登録または認可された者。
非居住者:
  • 居住者ではない者。
  • 居住会社の海外支店、海外子会社、海外地域事務所、販売事務所、駐在員事務所。
  • マレーシア政府により認知された大使館、領事館、高等弁務官、国家間機関、国際機関。
  • マレーシア以外の国の永住権を取得し、海外に居住しているマレーシア国民。

5.1 非居住者

非居住者は、どんな形態であれマレーシアに自由に投資することできます。投資戦略を補完するため、非居住者は認可オンショア銀行(認可商業銀行とイスラム銀行)からリンギット建てや外貨建ての貸付を得ることができます。また、リンギット建て投資から生じる為替リスクの危険性を積極的に管理するため、認可オンショア銀行と外国為替契約を結ぶこともできます。非居住者は、金額にかかわらず外貨とリンギットを相互に自由に交換したり、マレーシアで獲得した外貨建ての資本、利益、所得を本国送金したりすることができます。詳細は下記の通りです。

5.1.1 マレーシアへの投資

(i)マレーシアで事業を始める(直接投資)

  • 非居住者は、マレーシア企業委員会で、マレーシアで会社を設立したり、支店を登録したり、個人事業体やパートナーシップを設立することができます。詳細については、 http://www.ssm.com.myをご参照ください。
  • マレーシアの政府機関に登録された会社や事業は、その企業/事務所の所有や管理が居住者か非居住者かにかかわらず、マレーシア居住会社となります。それらの事業は居住者に関連する規則によって管理されます。

(ii)マレーシアで発行されたポートフォリオや債券証券の購入

非居住者は、マレーシアの債権証券(非居住者が発行したリンギット建て社債を含む)などのリンギット建ての証券を自由に購入することができます。

(iii)マレーシアの不動産の購入

  • 非居住者は、マレーシアの不動産を購入するために、最高3件までのローンをマレーシア金融機関から自由に取得することができます。借入れの金額は、金融機関独自の規定と外国投資委員会(FIC)のガイドラインによって決定されます。借入れは、住居用不動産と商業用不動産の双方に対して適用されます。非居住者が3件以上の不動産ローンが必要な場合は、その旨が考慮されます。
  • 非居住者による不動産購入に関する外国投資委員会(FIC)のガイドラインについては、 http://www.epu.jpm.myをご参照ください。

(iv)リンギット建てまたは外貨建て預金の保有

(a) リンギット建て口座(外部口座)
  • 非居住者は、マレーシアにある認可オフショア銀行、認可金融会社、認可マーチャントバンクに、リンギット建て口座をいくつでも開設し保持することができます。
  • 非居住者が所有する、または非居住者が預金の受取人となるリンギット建て口座は、外部口座といいます。
  • 外部口座で保持できるリンギット預金の金額に関する規制は全くありません。
  • 外部口座のリンギット預金は、リンギット建て資産の購入やマレーシアで受けたサービスに対する、居住者への支払いに使用することができます。
  • 外部口座の預金は、いつでも認可オンショア銀行で外貨に変換したり、本国送金したりすることができます。
(b) 外貨建て口座(FCA)
  • 非居住者は、マレーシアにある認可オンショア銀行や認可マーチャントバンクに、外貨建て口座をいくつでもまた金額にかかわらず開設し保持することができます。
  • 外貨建て口座の外貨預金の使用に関する規制は全くありません。外貨建て口座の預金は、いつでも認可オンショア銀行でリンギットに変換したり、本国送金したりすることができます。

(v)居住者に対する融資

(a) リンギット建て信用供与

非居住者は、外国為替監督官庁(監督官庁)の事前許可を得た居住者に対して、リンギット建ての融資をすることができます。

(b) 外貨建て信用供与

非居住者は、その居住者の外貨建て信用供与の総額が、居住会社の場合は企業グループにつきRM5,000万相当額、個人の居住者の場合はRM1,000万相当額を超えない限り、居住者に対して外貨建て信用供与を提供することができます。上記の額を超える外貨建て信用供与の提供について考慮されることもあります。

5.1.2 投資の支払い

非居住者は、マレーシアへのリンギット建て投資の支払いを、外部口座から、または外貨で行うことができます。

5.1.3 居住者からの借入れ

(i)リンギット建て信用供与

非居住者は、下記の通り、リンギット建て信用供与を自由に得ることができます。

  • マレーシア国内で使用する目的に対して、マレーシアの認可銀行機関から総額RM1,000万まで。
  • 居住保険会社から、非居住者が購入した保険契約の解約払戻金に相当する額まで。
  • 非居住者である株式仲買会社または証券保管銀行による日計り取引やオーバーナイト取引につき、認可オンショア銀行からRM2億まで。この供与は、ブルサ・マレーシア(マレーシアの証券取引所)における決済との関係で、決済時期の不一致、予期せぬまたは不慮の技術的管理上の過失、時差による遅れになどによる資金不足に対する融資目的にのみ限られます。
  • 居住者である株式仲買会社から、マージン融資形式で。
  • 居住者であるノン・バンクから、RM1万まで。
  • マレーシアの不動産購入に対する融資用のローン3件まで。

(ii)リンギット建て債権証券の保険

マレーシアは、多国間開発銀行や外国多国籍企業がマレーシア国内でリンギット建て債を募ることを認めています。リンギット建て債の発行申請は、各ケースがもたらすメリットによって考慮されます。詳細については、http://www.bnm.gov.my/fxadminをご参照ください。

(iii)外貨建て信用供与

非居住者は、認可オンショア銀行や認可マーチャントバンクから、金額にかかわらず外貨建て信用供与を得ることができます。

5.1.4 投資のヘッジ

  • 非居住者は、居住者への支払いのためにリンギットを購入するため、認可オンショア銀行と外国為替の現物契約または予約契約を自由に結ぶことができます。
  • 非居住者は、マレーシアでの取引から得たリンギット建て資金を売却するために、認可オンショア銀行と外国為替の現物契約または予約契約を自由に結ぶことができます。
  • 外国為替契約の満期日は、原取引の支払いあるいは受入れ予定日でなれけばなりません。
  • 外国為替契約の金額は、原取引の支払いまたは受入れの見積合計を超えてはいけません。

5.1.5 投資の売却

  • 非居住者は、ブルサ・マレーシアに上場していない証券などを含むマレーシアにおける投資を、居住者や他の非居住者に対して、どれでも売却することができます。
  • 居住者は、非居住者である販売者からの購入に対する支払いまたは精算を、リンギットか外貨で行うことができます。
  • 非居住者である購入者は、非居住者である販売者からの購入に対する支払いまたは精算を、外部口座にあるリンギットか外貨で行うことができます。

5.1.6 資金の本国送金

非居住者は、資金、投資引き揚げ金、利益、配当金、賃貸料、手数料、マレーシアでの投資によって発生した利子などを、自由に本国送金することができます。

5.2 居住者

事業経費の削減とリスク・マネージメント活動改善の推進に向けた継続的な取組みのひとつとして、居住者は、国内や海外で外貨基金を設置することによって資金管理を行うこと、マレーシア国外での投資活動を実施すること、マレーシアにある認可オンショア銀行とリスク・マネージメント協定を結ぶことなどが認められています。詳細は下記の通りです。

5.2.1 商品やサービスの輸入に対する支払い

  • 居住者が、商品やサービスの輸入のために非居住者対して支払いを行うことに関して、規制は全くありません。
  • そのような支払いは、イスラエル国の通貨以外の外貨で行わなければなりません。イスラエル国の通貨での支払いや、イスラエル国に居住する人への支払いについては、事前許可が必要です。
  • 居住者は、非居住者からの輸入に対する支払いために、外貨でリンギットや他の外貨を購入するため、認可オンショア銀行や認可マーチャントバンクと外国為替の予約契約を結ぶことができます。

5.2.2 商品の輸出により発生する売上高(輸出売上高)

  • 全ての輸出売上高は、販売契約に規定されている支払い日程に沿って、マレーシアに本国送金されなければならず、輸出日から6ヶ月を超えてはいけません。
  • 輸出売上高は、外貨で受け取らなくてはなりません。リンギットに変換したり、認可オンショア銀行や認可マーチャントバンクの外貨建て口座(FCA)に保管することができます。外貨建て口座に保管する資金の金額に上限はありません。
  • 居住者は、輸出売上高をリンギットや他の外貨に変換するために、認可オンショア銀行と外国為替の予約契約を結ぶことができます。
  • 年間の総輸出がRM5,000万相当を超える輸出業者のみが、監督官庁に四半期報告書を提出しなければなりません。

5.2.3 居住者による海外投資

  • 国内でのリンギット建て信用供与のない居住会社や個人は、自由に海外投資することができます。投資は、国内またはオフショアで保管されている外貨資金から、またはリンギットの両替によって行うことができます。
  • 国内でのリンギット建て信用供与を抱える居住者も、国内またはオフショアで保管されている外貨資金を、自由に海外投資することができます。
  • また、国内でのリンギット建て信用供与を抱える居住者は、非居住者に対する外貨建て信用供与の提供を含む海外投資のために、下記の限度額までリンギットを外貨に両替することができます。
    1. 会社は、企業グループにつき暦年あたりRM1,000万まで。
    2. 個人は、暦年あたりRM10万まで。
  • 海外投資のためにリンギットを両替する企業は、最低株主資金としてRM10万を保持し、少なくとも1年間運営されていなければなりません。
  • 個人は、個々の雇用者の海外親会社または関連会社によって提供される、従業員の株式オプション/購入制度に基づく外貨証券への投資に必要とされる金額まで、リンギットを外貨に両替することができます。
  • 居住者は、外貨建て信用供与を合わせて総額RM1,000万相当まで、海外投資に出資することが認められています。
  • 居住者であるユニット型投資信託管理会社は、下記の通り海外投資することができます。
    1. 非居住者に帰属する純資産価値(NAV)の全額。
    2. 居住者に帰属する純資産価値(NAV)の30%。
  • 海外投資の際に規模の経済による利益を享受するため、他のユニット型投資信託管理会社からの資金をプールすることができます。そのような投資は、証券委員会のガイドラインにより規定されます。
  • 居住者である資金/資産マネージャーは、下記の通り海外投資することができます。
    1. 非居住者であるクライアントや、国内での信用供与のない居住者であるクライアントによる投資の全額。
    2. 国内での信用供与を抱える居住者による投資の30%。
  • 異なるクライアントまたは企業によるこのような資金は、海外投資の際に規模の経済による利益を享受するため、プールすることができます。そのような投資は、クライアントの資産運用委託から構成され、証券委員会のガイドラインに適合したものでなければなりません。
  • 居住保険会社は、支払余力の5%まで海外投資することができます。タカフル(takaful)運営者は、全資産の5%まで海外投資することができます。
  • 居住保険会社またはタカフル(takaful)運営者は、投資関連資金の純資産価値(NAV)の30%まで海外投資することができます。このような投資は、バンク・ネガラ・マレーシアによって発行されたガイドラインまたは規制に適合していなければなりません。
  • RM5万を超える海外投資のための支払いは、支払日より少なくとも7営業日前に監督官庁に届け出なければなりません。

5.2.4 居住者によって取得された信用供与

(i)外貨建て信用供与

  • 居住者は、認可オンショア銀行から、外貨建て貿易金融融資を金額にかかわらず得ることができます。
  • さらに居住会社は、認可オンショア銀行、認可マーチャントバンク、非居住者などから、総額RM5,000万相当までの外貨建て信用供与を得ることができます。
  • 居住者である個人も、認可オンショア銀行、認可マーチャントバンク、非居住者などから、総額RM1,000万相当までの外貨建て信用供与を得ることができます。
  • 信用供与が認可額を超える場合は、監督官庁からの事前許可が必要です。総額がRM100万相当を超え且つ認可額以下の場合は、居住者(会社または個人)は、ローンの実行の前に監督官庁に信用供与について届け出なければなりません。
  • 居住者は、海外投資活動に出資するために、外貨建て信用供与を総額RM1,000万相当までのみ活用することができます。
  • そのような信用供与が関連する外国為替管理規定に従って取得されたものである限り、信用供与の返済や前払いについて、規制は全くありません。居住者である借り主は、前払いを行う前に、信用供与の前払い申請について監督官庁に届け出なければなりません。

(ii)リンギット建て信用供与

 

居住者は、非居住株主や非居住取締役を含む非居住者から、リンギット建て信用供与を取得する場合、金額にかかわらず、監督官庁からの事前許可が必要です。

5.2.5 外国為替予約契約

  • 居住者は、下記の通り、外貨とリンギットまたは他の外貨を両替するために、認可オンショア銀行や認可マーチャントバンクと、外国為替予約契約を結ぶことができます。

    1. 確約または見込みベースでの、商品やサービスの輸出入に伴う支払または受入、および所得。
    2. 非居住者への信用供与の提供を含む、認可された海外投資の外貨残高のヘッジ。
    3. 認可された外貨建て信用供与の実施や、24ヶ月以内の借入金額までの外貨建て信用供与の返済や、認可された海外投資への支払いを含む、資金の流入または流出。
  • 外国為替予約契約の満期日は、原取引の支払いあるいは受入れの予定日でなれけばなりません。外貨売掛金を事前に受け取った場合、居住者は、外国為替予約契約の満期を待つ間、その受入金を外貨建て口座に一時的に保持することができます。
  • 輸出収益の予約購入については、外国為替予約契約の満期日は、輸出予定日から6ヶ月以上遅れてはいけません。
  • 2種類の外貨を含む外国為替予約契約については、居住者によって購入された外貨の使用または保持は、現外国為替管理規定に適合していなければなりません。
  • 居住者も、確実な原取引契約に裏付けられた取引であることを条件に、認可オンショア銀行、認可マーチャントバンク、ラブアンにある認可オフショア銀行などと、金利スワップを行うことができます。

5.2.6 リンギット建てプライベート債権証券の発行

居住会社は、暦年でRM1,000万を超える額が海外投資のために使用されないことを条件に、リンギット建てのプライベート債権証券を発行することによって、国内の信用供与を、金額にかかわらず募ることができます。

5.2.7 居住者の外貨建て口座(FCA)

  • 国内の信用供与のない居住会社または個人は、マレーシアからの商品輸出によって得た受入金以外の外貨建て受入金を保持するために、認可オンショア銀行、ラブアンにある認可オフショア銀行、または海外銀行に、外貨建て口座(FCA)を自由に開設することができます。
  • 居住輸出業者は、外貨建て輸出受入金を金額にかかわらず保持するために、認可オンショア銀行に外貨建て口座(FCA)を開設することができます。また、認可オンショア銀行に保管されている輸出外貨建て口座と非輸出外貨口座を、それぞれの口座に保持される外貨建て受入金の金額の制限無く、自由に融合することができます。
  • 居住者は、居住者による海外投資の認可限度額を条件に、リンギットを外貨に両替し、認可オンショア銀行、ラブアンにある認可オフショア銀行、または海外銀行に保管されている外貨建て口座に入金することができます。
  • ラブアンにある認可オフショア銀行まはた海外銀行に外貨建て口座を持つ居住会社は、監督官庁に月次決算書(OA決算書)を提出しなければなりません。

5.3 特定企業に与えられる特別ステータス

5.3.1 ラブアン国際オフショア金融センターにおけるオフショア法人

  • 1990年オフショア会社法に基づき設立または登録された法人は、外国為替管理の目的上、非居住者と見なされます。
  • ラブアンにおけるオフショア法人は、認可オンショア銀行、ラブアンにある認可オフショア銀行(認可オフショア投資銀行を除く)、マレーシア国外の非居住者などと、外貨(イスラエル国以外の通貨)を他の外貨に現物か予約で売買することができます。また、許可された目的のために、認可オンショア銀行と、外貨(イスラエル国以外の通貨)とリンギットを売買することができます。
  • すべてのオフショア法人は、マレーシアにおける法定経費や管理費の支払いを円滑にするために、認可オンショア銀行に外部口座を持つことができます。
  • ラブアンにおけるオフショア保険法人も、再保険料の受入れを円滑にするためや、国内保険業務によって発生する請求に対する支払いのために、外部口座を使用することができます。
  • ラブアンにおける認可オフショア銀行は、オフショア金融機関での預金から生じる手数料、コミッション、配当、利子などにより発生したリンギット建ての支払いを、居住者から受け取ることができます。
  • ラブアンにある認可オフショア銀行は、その投資が居住銀行機関または居住仲介業者と直接取引きされることを条件に、自社の利益のために、マレーシアにおける資産/保険に投資することができます。その投資は、リンギットの借り入れによる資金によって行われてはなりません。

5.3.2 マルチメディア・スーパー・コリドー企業

  • 法人組織として設立され、マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)で操業する会社は、マルチメディア開発公社からMSCステータスを授与されると、外国為替管理規定が免除されます。MSC企業に与えられた免除は、自社の利益のために行われる取引に対してのみ適用されます。
  • しかし、イスラエル居住者またはイスラエル国の通貨での取引については、事前許可を取得しなければなりません。
  • MSC企業は、モニタリングの目的のため、必要な統計資料/報告書/決算書を提出しなければなりません。これらの報告書は、バンク・ネガラ・マレーシアのホームページ http://www.bnm.gov.my/fxadminから取得することができます。

5.3.3 認可経営統括本部

認可経営統括本部(OHQ)には、下記が認められています。

  1. 輸出収益を外貨で金額にかかわらず保持するため、認可オンショア銀行における外貨建て口座(FCA)の開設。
  2. 輸出収益以外の外貨売掛金を預金するため、認可オンショア銀行、ラブアンにおける認可オフショア銀行、海外銀行などに、翌日繰越保有残高の制限がない外貨建て口座(FCA)の開設。
  3. リンギット建て国内信用供与を、金額の制限無く取得。
  4. 経営統括本部(OHQ)が居住者の代わりに貸し出しを行ったり資金を募ったりしないことを条件に、外貨建て信用供与をマレーシアの認可オンショア銀行、認可マーチャントバンク、非居住者などから、金額の制限無く取得。
  5. 外貨基金または借入れによって出資される、関連会社への信用供与提供を含む、金額の制限のない海外投資。また、国内信用供与がない場合、または国内信用供与があっても暦年にRM1,000万までの場合、海外投資のために、リンギットを金額の制限無く両替することができます。

外国為替管理規制の詳細については、http://www.bnm.gov.my/fxadminをご参照ください。

 

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