4. 観光産業と農業・牧畜業

鈴木・ケオラ[2005b]は、タイの投資家に対する聞き取り調査から、ラオスの観光産業の将来性について以下のごとく述べている。

専門家が見て観光の潜在価値が最も期待できる地域はチャンパーサック県であろうチャンパーサック県はラオスの南西部に位置し、タイとカンボジアに国境を接している。同県の人口は58万9,300人 (Statistic Center of the Lao PDR [2003]) と少ない。ラオスの動脈となる国道13号線が同県を南北に縦断している。メコン川とセドン川の合流するパークセー郡に県庁所在地がおかれている。ここから国道10号がタイのウボンラーチャターニーへ通ずる。また国道10号線はパークセーから東へ延びると、肥沃なボーラヴェン高原をなすパークソーン郡に至る。メコン川はチャンパーサック県でラオス領に大きく入り込み、国道13号線と併走する。チャンパーサック県はメコン川と切り離して考えることはできず、支流や沼、密林が原始的な自然を形成し、世界的な水棲動物や野生動物の宝庫として自然愛好家からその価値が高く認められている。カンボジアに至る最南端35kmの流域ではメコン川の川幅はおよそ25kmに(ティーラプット[2003: 71-92])広がり、「シーパーン・ドーン」(四千の島)と呼ばれる数多くの島を形成する。メコン川にかかる世界一幅の広い滝「コーン・パペン」(パペンの滝)や「コーン・ソムパミット」(ソムパミットの滝)は絶景をなす。その上、「淡水いるか」(イラワジイルカ)が生息しているので、アトラクションとしても期待できる。バードウオッチングなどエコ・ツーリズムに適する地域としても注目されている。

チャンパーサックはカンボジアにアンコールワットを建設したクメール民族の発祥の地と言われている。「パサート・ヒン・ワット・プー」寺院は、クメ-ル様式の寺院として11~12世紀に建立された。2002年ユネスコ世界文化遺産に指定されたパサート・ヒン・ワット・プー級の水準に至らなくともこの寺院の周辺村にはクメール様式の石造寺院遺跡が数多く残っている。

チャンパーサックは、冷涼な気候で、最低気温が摂氏5-6度になることもあるが、年平均25~27度で安定している。19世紀末よりフランスがラオスを植民地化して以来、数多くのフランス人がこの地に住居を構えたほど、自然環境がすばらしいことは歴史が証明している。タイは6,000万人の人口を抱え、富裕層のみならず、拡大してきた中間所得層の観光需要も期待される。その上タイにはおよそ25万人に上るアメリカ人、イギリス人、日本人、台湾人、韓国人といった外国人が居住しており、避暑地需要が存在する。パークセー空港の拡張工事が完了し、ヴィエンチャンやカンボジアのシェムレアップから空路でもパークセーに行けるようになった。もちろん陸路はタイと陸続きであるからアクセスの問題はない。問題は雨季の4か月間は観光客を集客できないので、カジノ、テニス、ゴルフ場、乗馬などのスポーツ施設を作る必要がある。このように総合的な施設を作るならば、チャンパーサックには大きな観光需要が生まれる可能性を秘める。

ラオス南部のメコン川流域地域は肥沃な耕地が展開している。冷涼な気候により輸出用コーヒーの栽培が盛んになりつつある。タイ企業によるポテトチップスの原料としてポテトの大規模な栽培が行われており、タイで生産コストが高くなってきた原料の下請け生産が今後活発化するであろう。またこの地域は牧草地が広がるうえ、タイ市場にも近いことから畜産業に期待がもたれている。

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