2. 為替リスク等

(1) 国際取引における外国為替の使用制限の有無

【外国為替の販売】

個人および法人は以下の目的に合致すれば、商業銀行は外国為替を販売(大統領政令第01/OP号『ラオス外国為替および貴金属管理令』(2002年)第5条「外国為替の販売と使用の目的」)できるとともに、商業銀行において第5条の目的に合致すれば外国為替を購入(第6条「外国為替購入の権利」)することができる。
同政令第5条「外国為替の販売と使用の目的」のなかで、商業銀行は以下の目的で外国為替を販売できる。

  1. 財の輸入に対する支払い。
  2. 輸出入に関連したサービスに対する支払い。ただしトランジット輸送料、保険料、トランジット倉庫料を除く。
  3.  

  4. ラオス政府によって承認された協定もしくは、ラオス政府が許可した機関によって承認された協定に基づいた外国債務の返済。
  5. ラオス政府の承認あるいはラオス政府が許可した機関による承認に基づいた外国に対する援助の供与。
  6. 「ラオス外国投資奨励管理法」に規定されているような、外国投資家による利潤ならびに配当金、資本、利子、その他のサービス料の第3国への送金および移転。外国人労働者の給与・賃金の送金および移転。
  7. ラオス政府が許可した外国への投資。
  8. 国家予算に対する支出。
  9. 外国における医療サービスや留学、訪問などのために、ラオス銀行の規則に合致した目的に使用される支出。

【外国為替の購入】

許可を受けた外国為替両替所においても外国為替を購入できる。
大統領政令第01/OP号『ラオス外国為替および貴金属管理令』(2002年) 第5条「外国為替の販売と使用の目的」および第6条「外国為替購入の権利」において「ラオスに設立された個人および法人、政府機関、市民社会組織は、ラオス銀行の規則に基づき、本政令の第5条に規定された目的に合致して、商業銀行および許可を受けた外国為替両替所より外国為替を購入できる」。

(2) 内貨預金の開設および外貨への換金

大統領政令第01/OP号『ラオス外国為替および貴金属管理令』(2002年)第10条「ラオス人民民主共和国における非居住者による内貨預金の開設および使用」によれば「ラオス人民民主共和国における非居住者は、商業銀行や外国為替両替所において外国為替を販売して得たキープを銀行預金勘定として開設できる。また残高を利用して外国為替に換金することができる」。

(3) 外国為替相場の変動リスク

1990年代の前半では、キープ相場は1ドル720キープで安定していたが、1996年当たりから下落し始め、1997年7月のタイを震源地とするアジア通貨危機の影響を受け、1998年には1ドル3,298キープに下落した。貿易赤字と財政赤字に改善があまり見られないためさらに下落が進み、2002年には1ドル1万キープを突破した。しかしその後は2005年12月現在まで1ドル10,500キープ前後を安定的に推移している。過去10年間に為替レートが14.6倍下落した事実は、ラオスの基本的マクロ経済に問題があることを示していた。しかし、2006年度の貿易の黒字化は、外国為替レートの改善にも現れ、2008年7月には1ドル=8700kipへとkip高が進行している。

図表 51 ラオスの為替レートの推移

  2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
為替レート (Kip/Dollar) 7,888 8,955 10,056 10,569 10,586 10,655 10,095 9,680 8,700

(出所) Asian Development Bank, Key Indicators 2006 より筆者作成。

(4) 実物投資保証

大統領政令第01/OP号『ラオス外国為替および貴金属管理令』(2002)第25条「外国投資」によれば、外国投資家は機械などを本国などで購入したものをラオスに持ち込むことができる。その際実物による投資は、投資家が外国において設備や機械を購入した際に支払った金額と等価とし、許可を受けた事業の目的にラオス人民民主共和国においてそれらを合法的に輸入できる。

(5) 送金制限

外国投資家によるラオスから本国もしくは第3国への送金は、改正外国投資奨励法、外国為替および貴金属管理令、首相政令第46号『ラオス外国投資奨励管理法施行細則』(2001)のなかで完全に認められている。
まず『改正ラオス外国投資奨励法(2004)』では、第12条第8項「外国投資家の権利及び恩恵」において「法規に基づいて、関税、租税及び他の手数料に関する責務を完全に果たした後、利潤、資本及び他の収入は、ラオス国内の銀行を通して本国又は第三国に送金することができる。

大統領政令第01/OP号『ラオス外国為替および貴金属管理令』(2002年)第27条「外国への資金の移転」のなかで「財務上の義務を果たした後、外国投資家は、事業活動から得られた利潤や配当金、その他の合法的な所得を、銀行制度を利用して本国もしくは第3国へ移転することができる。
 
投資期間が満期を迎えるか、投資活動が部分的もしくは全面的に終了した場合、すべての財務上の義務を果たし、他の債務を返済したのち、外国投資家は、ラオス銀行の発布した規定に従い、投資資金を本国もしくは第3国へ送金できる」として利益の本国送金が認められている。

外貨送金拒否の事例としてシナワット・テレコム事件があげられる。1997年5月、シナワット・テレコムがタイへ90億kip分の利潤送金をするため、外国貿易銀行に換金を申し入れたが、外国貿易銀行はこれを一切拒否したため、同社はパラレル市場で40億kipをドル貨に換金した。残りの50億kip分については換金できたかどうかは不明である。その後、ドル交換に応じた「タラッド・サオ」(朝市)で貴金属店を営む華僑両替商5人が警察当局に逮捕された。この直後、為替レートが1ドル=900kipから1ドル=1,200kipに下落した(鈴木[1996:35-91])。筆者は外貨送金拒否の事例はこの他に耳にしたことはない。またSuzuki et al [2002:166-191] による在ラオス外国企業50社に対する調査においても、72.7%の外国企業が利潤の送金に「それほど困難でない」「ほとんど困難でない」と回答している。

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